ロードスター/S660/コペンセロを徹底比較 ~オープンの解放感を楽しむ国産コンパクトクーペ~(4/4)

ロードスター/S660/コペンセロを徹底比較 ~オープンの解放感を楽しむ国産コンパクトクーペ~
マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック 画像ギャラリーはこちら

運転操作に正確に反応して走りの楽しさを盛り上げる

マツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリックマツダ ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ (MT) ボディカラー:ソウルレッドプレミアムメタリック

「ロードスター」が搭載するエンジンは、直列4気筒の1.5リッター。先代モデル(NC型)が2リッターだったので、実用回転域の駆動力が下がったことを実感する。車両の考え方を大きく変えず、過給器も装着せずに、フルモデルチェンジで排気量を小さくするケースは珍しい。

それでも力不足の印象はない。背景にあるのは軽量化だ。「Sスペシャルパッケージ(6速MT)」の車両重量は1,010kgに収まり、先代型のRSよりも110kg軽い。そのために適度な出力と感じる。4,000回転付近からの吹き上がりも良く、動力性能をフルに引き出す楽しさを身に付けた。

そしてボディが軽く、なおかつサスペンションの取り付け剛性などを高めたから、カーブを曲がる時は楽しい。車両の前方を下げる感覚で、操舵角に忠実に回り込む。ボディの傾き方はあまり小さくないが、内側が持ち上がるのではなく外側が沈む印象だ。カーブを抜ける時の加速では、後輪に荷重が加わっていることが実感され、横滑りなどの挙動変化も分かりやすい。

旋回中の制動、急速な車線変更といった危険回避の操作をすると、今日のクルマとしては後輪の接地性が削がれやすいが、計算された穏やかな動きに抑えた。車両の向きが唐突に変わることはないから、扱いやすく、運転する楽しさも盛り上がる。

「ロードスター」を日常的に使うと運転が上達するだろう。小さな操作の違いが挙動に明確に表現されるから、ドライバーは成功と失敗を実感しやすい。FRといえば後輪を派手に滑らせる走り方を連想しがちだが、今の正確に反応する「ロードスター」では、滑らかにキレイに走らせることが楽しい。

乗り心地は少し硬いが、足まわりが適切に動いて粗さはない。コンパクトなスポーツカーとしては十分に快適だ。

価値観は26年前に登場した初代モデル(NA型)に近い。若年層のファンを増やすには、もう少し新しい提案が必要だと思うが、私のような旧来のクルマ好きは楽しいひとときを過ごせる。特に初代「ロードスター」を運転した経験のある読者諸兄は、その記憶とともに、若かった頃を思い出すだろう。私にとってはちょっと不思議な時間だった。

マツダ ロードスターの画像ギャラリーはこちら(シーン走行)

機敏に向きを変える鋭い操舵感でスポーツ性は抜群

ホンダ S660 アルファ (MT) ボディカラー:プレミアムビーチブルー・パールホンダ S660 アルファ (MT) ボディカラー:プレミアムビーチブルー・パール

「S660」の試乗を開始してまず感じたのは、ドライバーの視線がきわめて低いこと。周囲のクルマが妙に大きく思える。

軽自動車だからエンジンは660ccのターボ。最高出力は自主規制の64馬力(6,000回転)だが、最大トルクは10.6kg-m(2,600回転)に高められ、実用回転域の駆動力に余裕がある。

基本的には低回転域で高トルクを発揮するから扱いやすいが、回転を上昇させると、加速の鋭さが増すターボ車のスポーティな性格も併せ持つ。アクセル操作に敏感に反応するから、イメージしたとおりの走りをしやすい。

ミッドシップとあって3気筒エンジン特有のノイズが響くのは好みが分かれるところだが、ほかの車種では味わえない感覚だ。

操舵感はかなり機敏で、鋭く向きを変える。走行状態に応じて内側のホイールを自動的に緩く制動して、旋回軌跡の拡大を抑えるアジャイルハンドリングアシストも効果的に働く。この刺激的な運転感覚が、ミッドシップを採用する「S660」の個性だろう。旋回速度も相当に高い。

ただし軽自動車のトレッド(左右のホイールの間隔)を考えると、やや「曲がりすぎ」の印象もある。旋回状況によっては後輪の接地性が削がれやすい。旋回速度が高いために、追い込むと路面状況によってはシビアな操作を要求される面もある。

このあたりがVSA(横滑り防止装置)を完全にはカットできない理由だろう。もう少し後輪の接地性を高め、回頭性を緩めてVSAのカットを可能にする手もあったと思うが、あえてこの機能を設けずに鋭い動きを追求した。

乗り心地は路上の細かなデコボコを伝えやすいところはあるが、段差を乗り越えた時の粗さは抑えた。

とても楽しいクルマだが、2015年8月に注文した場合の納期を販売店に尋ねると、「正確には分からないが早くても2016年の10月頃」と言う。1年は軽く超えて1年半前後と考えた方が良さそうだ。「ロードスター」の2か月、「コペン」の4か月と比べてかなり長く、常識の範囲を超えている。納期もクルマの良し悪しを左右する大切な要素だ。

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クーペでありながら運転がしやすく実用性が高い

ダイハツ コペン セロ 660 (MT) ボディカラー:ジョーヌイエローダイハツ コペン セロ 660 (MT) ボディカラー:ジョーヌイエロー

「コペン」が搭載する660ccのターボは、「S660」と違って特別なチューニングを受けていない。最高出力は64馬力(6,400回転)、最大トルクは9.4kg-m(3,200回転)でムーヴカスタムRSなどと同じ数値だ。

それでも動力性能に不満はない。2,500回転以下では駆動力が少し不足するが、軽自動車のギヤ比でこの回転域を使う機会は限られ、大半の走行状態でターボが利いている。4,000回転を超えた時の吹き上がりも満足できる。

低重心のクーペとあって走行安定性も良いが、走りはライバル2車に比べると平凡だ。「ロードスター」ほどドライバーの操舵に対して正確ではなく、「S660」のように鋭く曲がるタイプでもない。峠道を積極的に走れば、旋回軌跡を少し拡大させやすい。

とはいえ、この走りの違いは「コペン」の欠点ではないだろう。電動開閉式ハードトップを備えたスペシャルティ感覚のクーペで、スポーティー走行を追求するクルマではないからだ。運転がしやすく、クーペでは乗降性も良いなど、実用性も兼ね備える。

そこで気になるのが乗り心地だ。やや粗い印象で、路上の細かなデコボコを伝えやすい。このあたりはもう少し洗練させて欲しい。

「コペンローブ」と「コペンエクスプレイ」はスポーティーなSグレードも用意するが、「S660」の登場も考えると、必要なのは内外装や乗り心地を上質にした上級仕様だろう。電動開閉式ハードトップという強みもあるのだから、プレミアム感覚のグレードを加えたい。

それにしても、伝統的なスポーツカーの「ロードスター」、マシンと呼びたくなる運転感覚の「S660」、そしてスペシャルティな「コペン」が出そろって、いよいよ日本のクーペが楽しくなってきた。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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