2シリーズアクティブツアラー/Bクラス/C4ピカソを徹底比較 ~欧州ブランドの最新スペースハッチバック~(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志
空間効率を高めながら、BMWのブランドをフロントマスクで表現
今のBMW 2シリーズはややこしい。2シリーズのクーペは、1シリーズのプラットフォームを使った2ドアクーペで、後輪駆動(FR)を採用する。
しかし今回取り上げるアクティブツアラーは、同じ2シリーズでもプラットフォームはBMWミニと共通となるため前輪駆動(FF)になる。”2シリーズ”だから、ボディが小さいことは共通だが、クルマの成り立ちはまったく違う。
ボディサイズは、全長が4,350mm、全幅は1,800mm。全長は日本車でいえば「トヨタ カローラフィールダー」と同程度だが、全幅はBMW 3シリーズと同じ数値になる。なので取りまわし性が良好とはいえない。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2,670mmで、最小回転半径は5.5mだから、全長が4,400mm以下の車種では少し大回りになる。
注目されるのは全高で、背が高いものの1,550mmに抑えた。日本では全高が1,550mmを超えると立体駐車場が利用しにくくなることもあり、ミニバンの「ホンダ ジェイド」、SUVの「マツダ CX-3」、「スバル XV」なども全高を1,550mm以下としている。
2シリーズアクティブツアラーは背の高いミドルサイズハッチバックという感じで、外観を後方、あるいは横方向から見ると、ボンネットが短いこともあり、BMWらしさは乏しい。L字型に切れ上がったテールランプなどは、メルセデス・ベンツにも似ている。その代わりフロントマスクでは、BMWであることを明確に表現した。
エンジンは直列3気筒の1.5リッターと直列4気筒の2リッターが用意され、どちらもターボを装着している。1.5リッターのターボは、ノーマルエンジンでいえば2.3リッター、2リッターのターボは3.5リッタークラスの動力性能を発揮する。
試乗車には、1.5リッターターボの「218iアクティブツアラー ラグジュアリー」(381万円)を選んだ。
Aクラスよりもひとまわり大きなボディで後席と荷室を拡大
コンパクトなメルセデス・ベンツとしてはAクラスがポピュラーだが、Bクラスはそれよりボディがひとまわり大きい。ホイールベースは2,700mmでAクラスと共通だが、全長は110mm伸びて4,400mmになる。全幅は1,785mmだからわずか5mmの違いだが、全高は110mm高い1,545mmとなった。全長を伸ばし、天井を高くしたことで、後席の足元空間と荷室の容量を拡大させている。
全高は1,545mmで、BMW 2シリーズのアクティブツアラーと同様に、背を高めながらも立体駐車場を使いやすい。
外観の印象はメルセデス・ベンツ Aクラスに似ているが、天井を持ち上げてリアゲートを直立させたことにより、スペース重視の印象が強くなった。ボンネットを前方に向けて下降させた形状は、ミニバンなどに見られるワンモーションフォルムに近い。そのために従来のメルセデス・ベンツとは、イメージが違って感じられる。
一方、フロントマスクでは、メルセデス・ベンツらしさを分かりやすく表現した。フロントグリルの中央には、メルセデス・ベンツの大きなエンブレムが装着されて存在感が強い。
メルセデス・ベンツの伝統に当てはめれば、グリルの本流は、ボンネットの先端に小さなエンブレムを立てるタイプだ。グリルの中に大きなエンブレムを収めるのは、以前はスポーティークーペに限られた。それが今では、小さなエンブレムを立てるのはSクラスくらい。大半がグリルに内蔵したアバンギャルドマスクで、Bクラスも全グレードがこの形状になる。
用意されるエンジンは直列4気筒の1.6リッターと2リッターで、両方ともにターボを装着した。試乗車にはベーシックな1.6リッターの「B180」(307万円)を選んだ。動力性能はノーマルエンジンでいえば2リッタークラスになる。
シトロエンらしい独特のフロントマスクとボディスタイル
シトロエンのミドルサイズハッチバックの「C4」をベースに、室内をさらに広げたのがC4ピカソと考えれば良い。
C4ピカソの全長は4,430mmで、C4よりも100mm長いが、日本車ならば「マツダ アクセラスポーツ」や「スバル インプレッサスポーツ」と同程度になる。しかし全幅は1,825mmとワイドで、全高も1,630mmに達した。なので外観にはボリューム感があり、かなり大柄に見える。ホイールベースも2,780mmで、全長の割に長い。4輪がボディの四隅に踏ん張り、視覚的な安定感が高まった。
フロントマスクは独特のデザインで、薄型のLEDランプとディスチャージヘッドランプが上下に装着される。シトロエンにはもともと個性的なデザインが多いが、C4ピカソも目を引くスタイルとなった。
ちなみにC4ピカソは2列シート5人乗りだが、荷室にコンパクトな3列目のシートを備える7人乗りの「グランドC4ピカソ」も用意される。このタイプは全長が4,600mm、ホイールベースは2,840mmと長く、「マツダ プレマシー」、「日産 ラフェスタハイウェイスター」などと同等となる。
話をC4ピカソに戻すと、最小回転半径は5.4m。全幅は1,800mmを上まわり、ボンネットの見えない外観デザインと相まって、取りまわし性はあまり良くない。購入するなら、狭い道を通ったり縦列駐車などを試したい。
用意されるエンジンは、C4ピカソ、C4グランドピカソともに1種類。直列4気筒1.6リッターのターボで、動力性能は2.5リッターのノーマルエンジン並みだ。C4ピカソが用意するグレードは、エクスクルーシブ(364万1,000円)だけになる。
デザイン・スペックの総評
3車種に共通するのは、空間効率を重視したことだ。ホイールベースは全長の割に長く、全高も高めに設定して室内空間を広げた。
一方、フロントマスクには各ブランドの持ち味が表現され、遠方から見ただけでメーカーが分かる。
全高の数値は、シトロエン C4ピカソは1,630mmに達するから立体駐車場を利用しにくいが、BMW 2シリーズアクティブツアラーとメルセデス・ベンツ Bクラスは1,550mm以下に抑えた。
そのためにこの2車は立体駐車場を使いやすいが、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)には注意したい。メルセデス・ベンツ Bクラスは105mmにとどまる。全高を下げたために最低地上高も下がり、路上のデコボコや駐車場の段差を乗り越えにくい。BMW 2シリーズアクティブツアラーの最低地上高は165mm、シトロエン C4ピカソは135mmだから一般的な数値になる。
エンジンは、試乗したすべての車種が1.5~1.6リッターのガソリンターボを搭載する。JC08モード燃費はBMW 218iアクティブツアラーが16.8km/L、メルセデス・ベンツ B180が16.7km/L、シトロエン C4ピカソは15.1km/Lだ。
つまり小排気量ターボの採用で、動力性能はノーマルエンジンでいえば2~2.5リッタークラス、燃費は1.8~2リッター並みになる。
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