国産最新ハッチバック 徹底比較(2/4)

名前こそ同じだが全く違うクルマになった

走りに特化した4ドアセダンというイメージが強かったネーミングだけに、この変わりようになじむには少し時間がかかるだろう。

一見したところ、短いワゴンのようでもあり、背の低いSUVのようにも見えるフォルムは、いかにもスペース効率が高そうな印象を受ける。セダンの名残を感じさせるともいえそうだ。

デザインテイストはスポーティなイメージを追求したという。ボディサイドに強いキャラクターラインを入れるとともに、前後ランプ類についても個性的な造形としている。

走りは、ハッチバックとなっても、やはりインプレッサの持ち味であるシンメトリー4WDのよさを継承している。今回の3台の中でも前後重量配分に優れており、コーナリングにおいては、速度を増すほどにバランスの良さが感じられる。

逆に一般走行においては、操舵力が軽すぎるステアリングがやや気になる。動力性能は、エンジン自体は自然吸気ボクサーエンジンとしてそれなりではあるが、4速ATというのが泣きどころ。2速のギア比の設定もあり、もう少し加速感があって欲しい。ちなみに1.5Lモデルでは「その割りにはよく走る」という印象に変わる。

全体として、ルックスにおいても走りにおいても、「スバル」の、そして「インプレッサ」らしい味がもっと欲しいところではないか。

高級車から乗り換えてもあまり遜色なし

兄弟車として先にデビューしたオーリスがあり、それと差別化を図るための処理が随所に見られる。ともすると少々やりすぎにも見えるのだが、それがオーリスよりもブレイドが受けている部分でもあるのだろう。

L字型の造形とし、内部にランプを縦に配したヘッドライトは先進性を感じさせる。個性的なボディカラーの設定も特徴的。フロントマスクだけ見ると、クラウンやマークXのようにも見える。

横から見ると、ほかの2台に比べ寸詰まった印象で、後輪をかなり後ろに配しているのが見てとれる。

2.4Lエンジンによる動力性能には余裕がある。車重は1400kgに達し、前後重量配分はフロント890kg、リア510kgとかなりフロントヘビー。よってハンドリングにおいても、クルマの動きにそれを感じされる面は多々ある。

乗り心地はオーリスよりもソフトに仕上げられている。実際、クラウン等からの乗り換えユーザーにも不満のないよう意図した設定といえる。反面、オーリスで感じられた、欧州車に匹敵するフラットライド感や、ステアリングのしっかり感などは薄れたように感じられた。

楽しいフットワークが身上

全体にエッジを効かせたシャープなラインが特徴的。存在感のあるヘッドライト～フロントマスクを持ち、かなり前傾したウインドウグラフィックとなっている。

アクセラスポーツのイメージリーダー的存在であるスポーティグレードの「20S」に対し、「20C」は上級イメージを高めた位置付けのグレード。エアロバンパーではなく、標準仕様の前後バンパーとなり、ルーフスポイラーが省かれるほか、タイヤが20Sの16インチに対し、20Cは15インチとなり、見た目は幾分大人しい。しかし、走りはスポーティな感覚が損なわれていない。

2L MZRエンジンに、2006年のマイナーチェンジで5速化されたATがもたらす動力性能は、全域フラットトルクであり、必要にして十分といえる。そして、ハンドリングが楽しい。ゲインの高いステアリングに、ロール抑えつつも乗り心地をそれほど不快でなくまとめている。

足まわりがよく踏ん張り、OEMタイヤはそれほどハイパフォーマンスではないが、グイグイと曲がっていく感覚がある。直進安定性もそれなりに高い。この3台の中では、もっとも楽しめるフットワークをも持っており、全体のまとまりもよい。

デザイン・スペックの総評

ハッチバック車という枠の中で、デザインの個性を発揮させることはなかなか難しいと思われるが、今回の3台は実用性を重視したモデル。いずれも欧州プレミアムブランド車ほどのアイデンティティは感じられない。走りについては、それぞれコンフォート性重視で、その意味でのまとまりはよい。その中で、スポーティながら快適性も高いアクセラの素性の良さが光った。