BMW 新型Z4 M40i 試乗レポート|“i8”にも匹敵する実力とは(3/4)

  • 筆者: 山田 弘樹
  • カメラマン:和田 清志・佐藤 正巳

スポーツモードでは圧倒的なグリップ力を発揮する

「Sport+」モードでダンパー剛性とステアリングの抵抗を高めたM40iは、ブレーキングでタイヤを地面へと強烈に押しつける。そのとき発揮されるグリップ力に、オープンボディが負けないことに嬉しくなる。

ターンインは鋭く、旋回スピードは速い。しかし挙動に危うさはなく、旋回を終えてアクセルを踏み始めると、高い旋回Gが縦方向にガッツリと変換される。

街乗りでは意識しなかった高いトラクション性能。これはM40iに標準装備となる電子制御デフの効果だ。ターンインでは旋回性を妨げず、脱出では左右輪差をうまく吸収しながら大地を蹴り出してくれる。

直列6気筒ターボエンジンが感じさせる“突き詰めない余裕感”

デフ同様一般的なクルージングではその旨みがほとんど感じられなかった3リッターの直列6気筒ターボも、こうした局面だと伸びやかに自我を解放する。

シングルターボと8速トルコンATの連携が低回転域では、この素晴らしい運動性能に対して若干レスポンスの鈍さを露呈する場面はあるが、ターボゾーンに入ってからは直列6気筒らしいスムーズな吹け上がりを持って、トップエンドまで突き抜けてくれる。

その過渡特性はMシリーズの「S55」ユニットほど強烈ではないが、むしろその無理の無さとシャシー側の安定感がバランスしており、340PSのパワーを踏み倒せる領域が広くなる。そしてアクセルを緩めても、どこからでも湧き上がる500Nmのトルクが、ドライビングに“突き詰めない余裕”を与えてくれる。

M40iのパッケージングにリアリティを感じられる理由

素材だけで理詰めに考えればS55ユニットを搭載し、トランスミッションに7速DCTを選ぶパッケージングが最上だろう。

しかし運転の楽しさという点では、この刺激を伴いつつもどこかに確信的な詰めの甘さがあるM40iのパッケージングには、リアリティがある。

その理由のひとつは、Z4がオープンカーだからである。屋根を開け放つことによって得られるスピード感。クローズドクーペにはないエンジンサウンドの充足感。こうしたリアリティが、スペックに偏重せずとも乗り手を満足させてくれるのだ。

>>新型Z4は“駆け抜ける喜び”と“高い満足感”を同時に与えてくれる、そんなモデル[次ページへ続く]

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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