アウディ R8 e-tron(EV)・A3 g-tron(天然ガス車)試乗レポート/川端由美(1/3)
- 筆者: 川端 由美
アウディの考える未来が動き出す
都会的で、感度の高い人が選ぶプレミアムカー。そんなイメージの強いアウディだが、同時にドイツの自動車メーカーらしく、しごく真面目に環境問題に取り組んでいる。
2009年のフランクフルト・ショーで4輪駆動のEV、「e-tron」を発表したのを皮切りに、プラグイン・ハイブリッド(PHV)の「A1 e-tron」、ディーゼルPHVの「e-tronスパイダー」、EVの「A3 e-tron」と電動駆動のシリーズを拡大し続けてきた。
とはいえ、単にエコカーを出すだけでは芸がない。アウディがユニークなのは、エネルギー源まで遡って環境対応していく姿勢だ。
その第一報は、2011年にここベルリンで発表された。あれから丸2年が経ち、次世代エネルギーを使って走る「tron」シリーズが並ぶのを目の当たりにして、アウディの考える未来が動き出そうとしていることを実感した。
当時、アウディが発表したのは北海の洋上で行う風力発電に投資し、そこで生まれたクリーンな電力をフル活用する方法だ。
そのままEVやPHVに充電して使うのはもちろんだが、電気は送るのも大変だし、貯めて置くのも難しい。そこでアウディが目をつけたのが、いま話題の天然ガスだ。
アメリカのシェールガスなどに代表される天然ガスは埋蔵量が多く、温室効果ガスの排出も少ないことで注目されているが、アウディはさらに一歩進んでクリーンな電力を使って天然ガスを作り、その過程でCO2も吸収してしまおうというバラ色のプランを立てたのだ。
今年3月のジュネーブ・サロンで発表した「tron」シリーズは、まさにこの考えを反映したものだった。少々、前置きが長くなったが、今回のアウディ・フューチャー・ラボで発表されたことを理解するには、そうした背景を知っておく必要がある。
4.2秒で100km/hに到達
会場となったのは、世界第二の建築物であり、世界最大の廃墟であるベルリン・テンペルホーフ空港。当時のソ連によるベルリン封鎖の折、英・米・仏の西側陣営が陸の孤島になった西ベルリンへ物資を運ぶべく行ったベルリン大空輸の舞台になった場所だ。余談だが、当時の物資不足から生まれた庶民のおやつ、カリーヴルストの屋台まで用意されるという念の入った演出がなされていた。
元々は飛行機の整備場だったという建物に入ると、時代がかった航空機の前に「R8 e-tron」がズラリと並んでいる。
その原型となったのはもちろん「e-tron」だが、パワートレーンに着目すると、2009年に姿を表した最初のe-tronよりむしろ、2010年のデトロイト・ショーで発表された後輪駆動版を彷彿とさせる。
ベースとなった「R8」が、V8で430ps/430Nm、V10で525ps/530Nmを生むスポーツカーなのだから、EV版たる「R8 e-tron」の出力が380psと聞いても、誰も驚かないだろう。しかしながら、理論上、スタート時に最大のトルクを発生するモーター駆動だけあって、820Nmという巨大なトルクを発揮することには驚きを隠せない。
過日のベルリン大空輸のときに1分あたり1機が離着陸したという伝説の滑走路に出ると、タイトなコーナーが連続するコースが設えられていた。
最初のストレートでアクセルペダルを踏み込む。次の刹那、わずか4.2秒で100km/hに達すると書かれたスペック表がウソではないことを身をもって知った。続くコーナーの手前でブレーキを踏んでステアリングホイールを切ると、全長☓全幅☓全高=4431☓2029(ミラー含む)☓1252mm、ホイールベース=2650mmのボディサイズと思えない軽快な身のこなしをする。
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