アウディ R8 e-tron(EV)・A3 g-tron(天然ガス車)試乗レポート/川端由美(3/3)
- 筆者: 川端 由美
いい意味で期待は裏切られた
最後にステアリングホイールを握ったのが、3月のジュネーブ・ショーで発表された「A3 g-tron」だ。
「g」の文字から察する通り、天然”ガス”で走る。
その背後には、2年前にアウディが風力発電の企業に投資したことが見え隠れする。風車から生まれるクリーンな電力といえば聞こえはいいが、風の吹き方にとって発電量はまちまち。
その上、電力は輸送したり、貯めておくことが難しい。そこでアウディが目をつけたのが、天然ガスだ。クリーンな電力を使って合成した天然ガスを「eガス」と名付け、それを使って走る持続可能なモビリティが「A3 g-tron」というわけだ。
運転席に座ってキーシリンダーを捻ると、いつもの耳慣れたTFSIのアイドリング音が聞こえてくる。
空港の敷地を出ると、すぐに赤信号につかまってしまった。気を取り直して、シグナルが青に変わると同時にアクセルベダルを踏み込んで隣のクルマとスタートダッシュを競う。
このとき、いい意味で期待は裏切られた。というのも、ガソリンより、天然ガスの方がエネルギーは少ないため、たいていの天然ガス車は力不足に感じるのだ。
ところが、A3 g-tronはガソリン車と何ら変わらない鋭い加速をする。搭載される1.4TFSIはガソリンでも天然ガスでも、最高出力110ps/最大トルク200Nmを発揮する。市販のA3スポーツバック(125ps/200Nm)と比べても、遜色ない走りっぷりだ。
自動車社会全体で持続可能性を追求することに、メーカーも責任を持って関わっていく
もうひとつ、天然ガス車で気になるのは巡行距離だ。
A3 g-tronでは床下に積まれる2本のタンクに200バールの高圧で圧縮された天然ガスが積まれており、天然ガスだけでも400kmも走れる。その前に40Lのガソリンを積んでおり、エクストラで900kmの巡行距離をアドオンできる。
そうなると、俄然、天然ガスのメリットが前面に出てくる。燃やしてもCO2の排出量が少なく、A3 e-tronでは95g/kmと、かなり低く抑えられている。
さらに、eガスを合成するときにCO2を吸収するから、エネルギー源からテールエンドまで総合で考えれば、30g/kmしかCO2を排出しない計算になる。さらには、eガスの供給の月極契約も用意し、ガスステーションをカーナビで案内するなどの対応まで行うなど、インフラ面でのサポート体制まで整えている。
アウディの「tron」シリーズがユニークなのは、単にクルマをエコにするだけではなく、これからはエネルギー源まで遡って自動車社会全体で持続可能性を追求することに、自動車メーカーも責任を持って関わって行こう!という姿勢が現れている点だ。
こうした先進性こそが、アウディを「都会的で、感度の高い人が選ぶプレミアムカー」に押し上げているのかもしれない。
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