アウディ R8 e-tron(EV)・A3 g-tron(天然ガス車)試乗レポート/川端由美(2/3)
- 筆者: 川端 由美
クドクドと解説を聞くより、乗って楽しむのが正解
ボディにも秘密がある。
3万点とも言われる自動車部品のうち、R8と共通なのはわずか6000点。ルーフやボンネットにCFRPを採用し、ホワイトボディでR8より23kgも軽い199kgに抑えた。その結果、ボディ重量は1780kgと控えめだ。
177kgもの重さのリチウムイオン電池パックを積んでも、だ。
搭載位置にも工夫がある。センターコンソールからシートの背後にT字型に重量物を搭載することで、センターグラビティを低める効果も生んでいる。
530個のセルをあわせて48.6kWhもの大容量になるリチウムイオン電池を搭載し、1回の充電で215km走行できるだけあって、充電に必要な時間は230Vの家庭用電源で12時間(!)。
だが、この手のスーパースポーツEVを日常の足に使うなんて野暮な人は少ないだろうから、23%もカーボン複合材が使われていたり、50km/h以上で19インチホイールのカバーが通気口を塞いでCd値を0.22まで低めるなどの未来感を楽しむ方が正解だ。
動力性能でも、巡行距離を伸ばすために最高速は200km/hに制限されているが、本当はモーターが12500rpmの高回転まで回って250km/h出せる性能があり、スポーツタイヤを履いてニュルブルクリンクを走れば8分09秒099なんてタイムで周回できてしまうことに喝采を送るべきだろう。
実際に走らせてみると、変速の必要がなくシームレスな加速に未来の乗り物であることを感じ、まるで昔のライトウェイト・スポーツカーのように気持よくコーナーをクリアできる乗り味である。クドクドと解説を聞くより、乗って楽しむのが正解だ。
MQBプラットホームを使った最初のPHV
環境のアドバルーンを打ち上げると共に、当然、現実的な回答も用意している。それが、2014年に発売予定の「A3 e-torn」だ。
第一弾はEVだったが、最新の心臓部はPHVになっていた。PHVといえば、ロータリーエンジンを発電機として積んだ「A1 e-tron」を思い出すが、新しい「A3 e-tron」のパワートレーンはむしろ、2007年の東京モーターショーで見た「メトロプロジェクト・クワトロ」に近い。
1.4LTFSIエンジン(150ps/250Nm)にモーター(75kW/330Nm)を内蔵した6速多板DCTを組み合わせてPHV化したパワートレーンは、システムで204ps/350Nmの出力を生む。
1回の充電でEV走行できる距離は50kmに限るが、さらに40Lのガソリンを使って890kmのハイブリッド走行が可能。リチウムイオン電池パック全体で125kgに抑え、それ以上の距離はエンジンを始動してハイブリッド走行することで、コストと実用性のバランスをとっている。
DCT内には元々2組のクラッチがあるが、A3 e-tronではさらにエンジンとモーターの間に1つのクラッチが組み込まれている。EV走行時の他、高速で巡航しているようなシーンでは130km/hまではエンジンを切り離してコースティングができる。
残念ながら今回は「A3 e-torn」を走らせることはできなかったが、試乗できるチャンスがあれば真っ先に試したいのが4種の走行モードだ。
ボタンで切り替え可能で、EVを選べば当然、モーターだけで走る。ブーストモードは、エンジンとモーターの両方を使う”全開”モードであり、チャージモードは充電を行う。ユニークなのは、あとで使うために電池を温存するホールド・モードだ。深夜に自宅に変えるとき、EVしか走れない環境ゾーンを走行するといったときのためにある程度の電力を電池に残しておく。
以前、「A1 e-tron」ではカーナビの地図情報から、走行する道に山道や環境ゾーンがあることを予測して自動で電池を温存する機能を持っていた。時期尚早ということでA3 e-tronへの搭載は今回は見送られたが、現在も鋭意開発中だ。
このクルマがMQBプラットホームを使った最初のPHVであり、当然、フォルクスワーゲン・ゴルフにも同様のシステムが搭載される。が、キャラクターはアウディのほうがよりスポーティに味付けされているという。
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