【ahead femme×オートックワン】-ahead 2月号-「オンナにとってクルマとは」

ナビがあっても迷う女

どんなに運転に慣れても、いまだに克服できないのは道に迷うことである。ナビが進化した今では、いちいち地図を広げていた頃に比べればマシだが、「迷い方」が地図時代とは変わった。

どういうわけか、日本の道路標識には現在地が書いていない。たとえば渋谷という地名を目指して走ってきたのに、渋谷に入った途端にその地名は標識から消えてしまう。でも一口に渋谷と言ったって、広すぎる。行きたいのは広い渋谷の1点なのに、道半ばで目隠しをされてしまう感覚だ。だから地図時代は、現在地を見失って迷うケースが多かった。

ナビ時代の今は、画面を見ればいつでも現在地はわかる。でも今度は、曲がる交差点を間違えたり、オーバーパスにのれなかったり。懇切丁寧にナビの音声が案内してくれているのに、なぜ私は間違えるのだろう。

今までずっと謎だったが、先日パイオニアのサイバーナビという最新ナビを試してようやく謎が解けた。

そのナビには「ARスカウターモード」といって、クルマ側に付けたカメラによって、自分がフロントガラスから見ている風景と同じ映像が映し出される。前を走るクルマも、横を流れる街並も、信号の色もぜんぶ同じ。迷いたくても迷えないくらい、同じである。

その時に、そうか、私には「変換力」が足りないのだと気づいた。今までのナビ画面はイラストだから、その絵と、実際に見ている風景とを重ね合わせて、あの交差点のことだな、と頭の中で変換しなければいけない。その能力が足りないから、いつまでたっても迷っていたのだろう。

サイバーナビがあれば、もう安心だ。…と思っていたら、やはり道を間違えた。本当の原因は、他にあるらしい。

そして思い至ったのは、サハラ砂漠を走った時のことだ。ナビもGPSも禁止され、地図と方位磁石だけでチェックポイントを探す競技だったから、初日は砂漠中を彷徨い続けて終わった。でも2日、3日と経つうちに、方向や距離が感覚だけで当てられるようになった。何がそうさせたかと言えば、ただひとつ。誰にも頼れないという緊張感と、生死にかかわるという危機感である。

「地図の読めない女」もとい「ナビがあっても迷う女」の原因は、心のどこかにある甘えや油断だ。ナビがあるから大丈夫と思っているうちは、道に迷わなくなる日は来ない。

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まるも 亜希子
筆者まるも 亜希子

大学卒業後、編集プロダクション株式会社エディトリアル・クリッパーに就職、自動車雑誌「ティーポ(Tipo )」の編集者として6年間勤務。2003年にフリーランスとして独立。現在は雑誌やウェブサイトの自動車関連記事に出演・寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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