凄いぞ日産! あの世界最大の国「中国」でヒュンダイを抜いた理由/小沢コージ(3/3)
- 筆者: 小沢 コージ
「啓辰」(ヴェヌーシア)のデザインは全て現地の中国人スタッフの手で
実は今回ラッキーにもヴェヌーシアのデザインディレクターでもある東風日産のデザインセンター室長を務める山口勉さんにインタビューできた。すると…
「みなさん、実は私が線を引いてると思うでしょう? 違います。私はディレクションしているだけで後は中国人。デザイナーは20人ぐらいいますけど、私以外はすべて中国人ですし、基本おまかせなんですよ」。
正直、この言葉をどこまで信用していいかはわからない。実際、私は現地へ行くまでは、ほとんど日本人がお膳立てして、現地人に“やらせてあげてる”と思っていた。
ところが、別の部署に聞いても「いや、本当にお任せです。私はエンジンだけが故障しなければいいと思ってますから。でも失敗しないと成長できないでしょう」と答える人がいた。どうやら本当のようだ。
日本人スタッフも驚く開発スピードの速さ
前出山口さんはさらにいう。
「でも、なにが驚きってスピードですよ。私が10年4月に就任してから半年でブランド立ち上げで1年でコンセプトカー、1年半で生産プロトでしょう。最近は日本も早いですけど、ここまではあり得ない(笑)。」
確かに基本となるプラットフォームやエンジンは日産の技術を使うのだろう。実際D50を見ても、おそらく現地でサニーと呼ばれている日産ブランド車がベースで、パワートレインも燃費のいい1.5リッター直4+副変速機付きCVTを載せるに違いない。
ただ、デザインやパッケージングは完全オリジナルで、やっぱり微妙に実用重視でダサい(笑)。でも、それこそが中国のオリジナルを思わせるわけで、やはり日産の勢いは本物なのだ。
世界で最も激しい競争が行われている中国で更なる挑戦を挑む日本メーカー
実は今回、広州では中国版「日産360」とも言える全方位イベント「東風日産 創新之度」が広州アジア大会の巨大跡地で行われ、大盛況だった。そこではブランド館の他、「ヴェヌーシア」の販売一号店や、メインとなる広州の花都工場見学まで出来、私は第1工場と同時に、来春稼働予定の第2工場まで見せて貰った。
「今、中国では2020年には年間3000万台という予測があります。日産はこのままいけるところまで行くつもりですから、ぜひ見ててください」と意気込む日産スタッフ。
そう、最近パッとしない日本人だが、正しい方向性と開拓地を見せられればヤル時はヤルのだ。例え世界で最も競争が激しい国、中国でも! これに負けないでトヨタ、ホンダも頑張って欲しい。そう思ってしまった不肖小沢なのでありました。
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