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自動車評論家コラム 2009/10/11 02:00

爆発的なハイブリッド人気と軽自動車への冷遇/松下宏のコラム

Text: 松下 宏
爆発的なハイブリッド人気と軽自動車への冷遇/松下宏のコラム

9月に3万台超え! 記録的な売れ行きを示したプリウス

トヨタ プリウススズキ ワゴンR

9月の新車販売ではプリウスが3万台を超える圧倒的な登録台数を記録した。

クルマの大需要期である3月には、過去にカローラやフィットなどが3万台を超える登録実績を残しているが、半期決算の月とはいえ9月に3万台超えというのは初めてで、いかにプリウスが良く売れているかを示すものだ。

軽自動車のワゴンRの届け出台数は18,282台にとどまっており、プリウスの販売台数は軽自動車の首位を大きく上回るものだった。1月からの累計販売台数でも、ワゴンRとプリウスとの差は3万台以下にまで縮まっており、場合によっては大逆転もあり得るくらいの状況にまで迫っている。

仮に登録車のプリウスが軽自動車のワゴンRを上回るようなことになれば、これは何十年振りといったことになるはずだ。

登録車と軽自動車を合わせた9月の販売ランキングを見ても、プリウス、ワゴンRの後はフィット、ムーヴ、タント、ヴィッツ、パッソ、ミラ、インサイト、フリード、ノート、セレナ、キューブの順になっていて、ランキングの上位は多くが登録車で占められている。

これはエコカー購入補助金で軽自動車が冷遇される形になっていることが影響しているものと見られる。100万円そこそこのパッソやマーチを買うと10万円または25万円(13年落ち以上の解体車がある場合)の補助金を受けられるのに、150万円を超える軽自動車のターボ車を買っても5万円または12万5000円の補助金しか受けられない。

誰がどんな意図でこうしたルールを設定したのか知らないが、軽自動車がいわれなき差別を受けているといっても過言ではない。

補助金ではなくエコカー減税にしても、軽自動車にはハイブリッド車やディーゼル車がないので100%の減税は受けられないし、また75%低減または50%低減の減税を受けられる場合でも、軽自動車はそもそも税額が低いためにユーザーが感じるお得感が少ない。

9月の新車販売で、登録車は8月に続いてプラスになったのに、軽自動車はマイナス幅が縮小しているとはいえ減少を続けたのは、補助金やエコカー減税の影響があると思う。

コンパクトカーとの比較で考えても、買った後の維持費を考えたら、登録車より軽自動車のほうがまだまだ有利なのだが、エコカー減税と補助金によってその差が大きく縮小したため、クルマの売れ方にバイアスがかかってしまったといえる。

また、今年は軽自動車の新型車が少なく、プリウスやインサイトのような話題になる新型車がなかったことも、売れ行きが伸び悩んでいる理由のひとつ。軽自動車は改めて魅力的なクルマ作りを進めることが求めらる。

当面はハイブリッドの持つ記号性を打ち破るため、ハイブリッド車に匹敵するか、あるいは上回るような低燃費の軽自動車を提示することが必要だろう。

それにしても、レクサスLS600hやメルセデス・ベンツS400ハイブリッドなどは、ハイブリッド車であることからエコカー減税によって自動車取得税と自動車重量税がゼロになり、場合によっては25万円の補助金も加えて100万円級のお得感が得られることを考えると、何かおかしいと思わざるを得ない。

大金持ちというか、儲かっている企業を中心にした法人ユーザーが買う高額ハイブリッド車の税金を安くするより、庶民が選ぶ軽自動車の負担を軽くするほうがはるかに大切なことだと思う。

筆者: 松下 宏
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