マセラティ グラントゥーリズモS 海外試乗レポート(1/2)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:コーンズ&カンパニーリミテッド
名門マセラティが造るスポーツクーペの最高峰
イタリアのマセラティといえば、1960年代から1970年代のスーパーカーブームの頃はフェラーリやポルシェと並ぶ、人気の中心メーカーだった。
その後、経営不振を経験し、現在はフィアットグループのなかでフェラーリと共通パーツを用いるなどして見事に復活。4ドアスポーツセダンのクアトロポルテのヒットに続き、07年春のジュネーブショーで、4人乗りの2ドアクーペ、グラントゥーリズモを発表した。
このスポーツクーペも欧州市場を中心に好評で、いまでは世界50ヶ国以上に輸出されている。バリエーションの拡大にも積極的で、08年のジュネーブショーにはV8エンジンを4.2Lから4.7LにしたグラントゥーリズモSを発表、そして、09年には6速ATを搭載したグラントゥーリズモS オートマチックを追加した。
6速ATとスポーツクーペ。この組み合わせは、世界のスポーツカーにも多く見られるが、スポーツカーの名門、マセラティのそれは、ひと味違う仕上がりを見せる。
ピニンファリーナが手掛ける美しいプロポーション
ピニンファリーナが手がけたスタイリングは、低く、大きいフロントグリル(50年代の名レーシングカー、「A6G」と同じデザイン)にはじまり、個性的だが誰からも嫌われない美しいプロポーションを持つ。
ボディサイズは意外に大きく、全長4.9m弱、全幅1.85m、ホイールベース2.9mだ。
ジャガーXK、アストンマーチンDB9、ベントレーコンチネンタルGTなどよりも全長、ホイールベースが長い。
当然だが、室内も広い。とくにリアシートは、大人2名が余裕を持って座ることができ、ロングドライブも可能なほどに空間が確保されているのだ。
リアのトランクスペースも、奥行こそ約63cmだが、幅は1.4mあるので、決して狭くはない。
意外に実用性も高いスーパースポーツクーペなのだ。
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