日産がクロスモーションで次世代SUV戦略を示唆、次期型「エクストレイル」はクロスオーバーに?

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:桃田健史/日産自動車

量産を視野に入れたコンセプトモデル「クロスモーション」

日産が放った新たなるSUV戦略。デトロイトショー2018で披露したXmotion(クロスモーション)は、「北米向けSUVのパスファインダーの次世代に違いない。それどころか、次世代エクストレイルの可能性すらある」。

「いや、そんなことはない。外観も内装も、あまりにも大胆であり、これがそのまま量産になるとは思えない」。そう考える方も多いだろう。だが、現実は違う。

>>次期型エクストレイル?日産クロスモーション(画像37枚)

日産が過去に発表したSUV系コンセプトモデルを振り返ってみると、それら発表時の日産側の説明をよく聞けば、量産を視野に入れたものかどうかが判別できてきた。

クロスモーションの広報資料を見ると、最も強調しているのは、日本建築など日本的な文化と、電動化・自動運転化・通信によるコネクティッド化の融合を占める日産インテリジェントモビリティとの融合だ。

その上で、今回の発表現場で日産デザイン部門の幹部の「ひとこと」が気になった。

東京モーターショー2017からの導線

それは、記者発表のあと、クロスモーションを前に日本人メディアに対して、彼がインテリアに関する「裏話」をしている時だった。

なんと、右後席ドアからリアハッチ、そして左後席ドアへと続く赤い内装が、「富士山を表現している」というのだ。言われてみないとまったく気が付かないが、確かに富士山に見えるという憎い演出である。

だが、ここまで露骨に日本を表現することに、日本人としては抵抗感を持つ人も多いはずだ。木工や和紙など、日本の伝統建築の要素を徹底的に組み込んだインテリアに対して「よくここまでしっかりと作り込んだものだ」とは思うが、富士山の演出を含めて、量産に向け現実性が低いと考えるのは、普通だろう。

ところが、日産の本当の狙いは別にある。前出のデザイン部門幹部が、漏らしたもうひとつの言葉が、それを裏付けた。

それは、クロスモーションの内装で使った色味は、前席が黒で後席に向かうにつれて赤くなるが、東京モーターショー2017とは「色味の変化が逆」というのだ。これは、コンセプトモデルのIMxを指している。改めて、IMxの広報資料を見てみると、内装では「伝統的な日本家屋の空間構成」という表現が使われている。

デザイン部門幹部は、さらにこう続けた。「クロスモーションは海外向けの“和の表現”。一方の東京モーターショー2017(発表のIMx)は、日本向けの“和の表現”だ」。

エクストレイルもパスファインダーもクロスオーバーになる?

こうした、東京モーターショー2017からデトロイトショー2018にかけての日産の発表から見えてくるのは、エクスレイルとパスファインダーのモデル融合だ。

周知の通り、アメリカでは90年代頃からピックアップトラックをベースとしたSUV市場が急激に拡大した。その後、小型と中型のSUVは、ピックアップトラック向けのラダー(梯子型)フレームから、CまたはDセグメントの乗用車プラットフォームを併用するケースが増えていった。

そうした中、日産における中型SUVは、エクストレイルとパスファインダーの今後が気になるところだった。

今回、クロスモーションとして具現化された、日産のアメリカ向けSUV戦略によって、エクストレイルとパスファインダーの次世代系は、SUVからクロスオーバーへと大きくシフトすることになりそうだ。

[Text:桃田健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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