日産 マーチ 試乗レポート/藤島知子(2/2)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:島村栄二/柳田由人
クラストップ26km/Lの低燃費と軽快な走りを実現!
今回はアイドリングストップ機構が付いた上級仕様の12Gに試乗した。
新開発の1.2リッター3気筒エンジンは、小型で軽量な副変速機構付きCVTが効率的にパワーを引き出して、出足の加速は想像以上に余裕がある。アクセルを軽く開けるだけで、スッと前に押し出てくれるので、走行中はエンジン音を低めに抑えられて静粛性も高い。
新型マーチには新開発のVプラットフォームが採用されているが、軽量ながら、車体剛性が向上していることもあって、下回りからくる不快な揺れやノイズも上手に抑え込まれている。
足回りについては、サスペンションのストロークが先代よりも15㎜ほどアップしていて、乗り心地が向上した。今回のマーチはキビキビとした走りという感覚とはちょっと違っているが、狭い場所で小回りが効く扱いやすさはそのままに、自然なロール感を与えながら、肩の力を抜いてドライブが楽しめる。
小回りといえば、今回新たに取り回しが苦手な人をフォローするために、新たな機能を追加。その名も『タイヤアングルインジケーター』。狭い場所で車庫入れするさい、「前輪の切れ角が分からない」という女性の不安を受け止め、メーター内に前輪の切れ角や進行方向を表示することで、車庫入れ時の手助けをしてくれる。
また、“12X”と“12G”にはアイドリングストップ機構が組み合わされており、クラストップとなる26km/Lの低燃費を実現している点も見逃せない。
アイドリングストップはブレーキでクルマが停車してから約1秒後にエンジンが停止、再始動はブレーキペダルから足を離して約0.4秒後に軽く掛かり、それらの連携もスムーズ。違和感を覚えることはほとんどなかった。
激戦区のコンパクトカー市場に立ち向かう新型マーチ
コンパクトカー市場は、上級モデルからのダウンサイジング化の波を受け、いまや激戦区に置かれている。
プレミアムな存在がひしめきあう市場で勝負するとなると、今回のマーチは細かなところを厳しく見積もれば、ライバルたちから見劣りしてしまうのも事実だ。
しかし、新世代のプラットフォームがもたらす走りの質、新開発の3気筒エンジン、副変速機構付きのCVT、アイドリングストップ機構によって得られる燃費性能など、今後このセグメントに汎用される技術に、ひとクラス上の進化が見られたことも事実だった。
4代目マーチは、いまの厳しい時代を背負って生まれたばかり。今後の動向に注目が集まることは必至といえそうだ。
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