自動車業界全体のセールス満足度は昨年から低下 -レクサスとMINIがそれぞれ1位を獲得-
消費税増税前の駈込み需要増による影響が濃厚
J.D.パワー アジア・パシフィックは、日本自動車セールス満足度(Sales Satisfaction Index、略称 SSI)調査を発表した。同調査は2014年で13回目の実施となる。
同調査では、新車購入時の販売店の対応に関する顧客の総合的な評価を、4つのファクターに基づいて算出している。それらは「セールス担当者」(34%)、「契約・価格」(26%)、「店舗施設」(21%)、「納車」(20%)となっている(カッコ内は総合満足度に対する影響度)。
これらのファクターにおける複数の詳細項目に対する評価を基に総合満足度(1,000点満点)を算出している。2014年の総合満足度の業界平均スコアは、ラグジュリーブランド平均で718ポイントとなり、2013年より10ポイント、量販ブランド平均は649ポイントで、2014年より15ポイント低下した。
J.D. パワー アジア・パシフィックのオートモーティブ部門 執行役員である木本卓氏は『本年の調査は消費税増 税前の時期と重なったが、その結果は、ほとんどのメーカーにおいて満足度が低下するという異例の事態となっ た。これは、2014 年 3 月までの駆け込み需要から、総じて売手市場の状態となり、そのような環境での顧客対応 が手薄になったことによるものと考えられる。増税後の自動車販売は再び回復傾向に向かうという市場の見方が ある一方、顧客満足度の視点からは、より一層の強い危機意識をもった丁寧な対応が求められる』と述べている。
同調査対象期間の後期(2013年10月から2014年3月まで)において、特に、契約・価格と納車のファクターで満足度が2013年から大きく低下している。事実、納期日数に関しては前期(2013 年4月から 2013 年9月まで)の場合、前年同期間と比べて平均 2.5 日短縮したものの、後期(2013 年 10 月から 2014 年3月まで)では、前年同期間 と比較して平均 5.4 日長くなっており、駆け込み需要による影響が表れていると思われる。
主な調査結果
・ファクター毎の平均でみると、特に2013年調査から低下したのは、ラグジュリーブランドでは、店舗施設で21ポイント、納車で16ポイント、一方量販ブランドでは、契約・価格において19ポイント、セールス担当者で14ポイントのそれぞれ低下となった。
・新車購入時における顧客の販売店対応に対する満足度が、すべてのファクターにおいてラグジュリーブランドが量販ブランドを上回る満足度水準となっている。両セグメント平均でみた場合、特に店舗施設での差が86ポイントと、最も大きい。
・契約に至るまでの過程で、他店との比較検討の実態からみると、比較検討をしなかった顧客の方が全てのファクターにおいて満足度が高い。総合満足度では比較検討をしなかった顧客の平均スコアが664ポイント、比較検討を行った顧客の場合が637ポイントとなっている。
・総合満足度スコアとロイヤルティの相関関係を販売店推奨意向でみると、満足度が高い顧客層(総合満足度800ポイント以上)では、84%の顧客が注)推奨をすると答えているが、満足度が低い顧客層(総合満足度500ポイント未満)では、その割合は35%にとどまる。
総合満足度ランキング
2014年の総合的なセールス満足度(以下、総合満足度)において、ラグジュリーブランドセグメントではレクサスが761ポイントで、第1位となった。レクサスの総合SSIスコアはラグジュリーブランドセグメント平均を43ポイント上まわる。販売店の総合的なセールス満足度に影響を与える4つのファクターの全てで、ラグジュリーブランドセグメントの最高値を獲得した。
第2位はメルセデス・ベンツ(718ポイント)で、第3位にはBMW(714ポイント)、第4位にアウディ(710ポイント)、第5位にはボルボ(681ポイント)が続いた。
量販ブランドセグメントでは、MINI(706ポイント)が昨年に続き首位を獲得した。4つの全てのファクターでセグメントトップスコアを獲得している。
第2位はフォルクスワーゲン(676ポイント)で、第3位には三菱(666ポイント)、第4位に日産(659ポイント)、第5位にトヨタ(653ポイント)となった。
同調査は、乗用車を新車で購入した際の販売店の対応に関する顧客満足度を総合的に分析するもので、自動車メーカーおよび販売業界の現状と、それに対する顧客の満足度を把握するための指標となる。新車購入後2~12ヶ月が経過した国産および輸入車ブランドの乗用車保有者を対象に2014年5月下旬から6月上旬にかけてWEB調査を実施し、7,297人から回答を得た。
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