トヨタ 新型アクア実燃費レポート|2017年のマイナーチェンジで本当に燃費は良くなったのか、ノートe-POWERと徹底比較!

トヨタ 新型アクア実燃費レポート|2017年のマイナーチェンジで本当に燃費は良くなったのか、ノートe-POWERと徹底比較!
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トヨタ 新型アクア実燃費レポート|結果まとめ

今回の燃費テストでは、2017年6月19日にマイナーチェンジを受けたコンパクトハイブリッドカーであるトヨタ アクアの標準モデルをテスト。

グレードは最上級グレードとなるG”ソフトレザーセレクション”(車両本体価格208万9800円・JC08モード燃費34.4km/L)を起用した。

新型アクア実燃費レポート結果まとめ
新型アクア(2017年マイナーチェンジモデル)<参考値>アクア(初期モデル)
JC08モード燃費34.4km/L33.0km/L
街乗り実燃費27.0km/L25.0km/L
高速道路実燃費27.7km/L26.9km/L
郊外路実燃費28.1km/L26.8km/L
総合実燃費27.6km/L26.3km/L

初期モデルのアクアは、コンパクトなハイブリッドカーだけに絶対的な燃費は良好であったが、「燃費の王者」といえる同社のプリウスと比べると意外に実燃費が良くない、という声も少なからずあった。

しかし最新モデルのアクアは初期型に対する燃費の向上対策の成果で、後述する各区間の燃費でも新型プリウスには及ばないものの、ハイブリッドやディーゼルエンジンといった飛び道具を持つライバル車と比較してもトップの燃費を記録。燃費に関してはほぼ文句なしと断言できる。

しかし、燃費と動力性能以外の車の質に関しては、注文を付けたい点が多々ある。ここからの高速燃費編、街乗り(市街地)編、郊外路編、それぞれの章で詳細な評価を行っているので、いまアクアの購入を考えている人にはぜひ参考にして欲しい。

>>トヨタ新型アクアがマイナーチェンジで燃費38.0km/L達成。新グレード”クロスオーバー”も徹底解説|最新情報

トヨタ アクアとは

トヨタ 新型アクア

東日本大震災の甚大な津波被害、原発事故により日本がドン底にあった2011年12月にデビューしたトヨタアクア。

車名の由来は、ラテン語で“水”という意味だ。生産を担当するのは、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北・宮城県に本社を構え、宮城県と岩手県に工場を持つ重要な関連会社「トヨタ自動車東日本」。アクアがこちらで生産される点(生産は2016年12月に発表されたC-HRとともに岩手工場が担当)には、何か運命的なものを感じる。

トヨタ アクアは、2010年と2011年のデトロイトモーターショーに出展されたコンセプトカーと、2011年の東京モーターショーに出展されたプロトタイプを経て市販化された。

その成り立ちを簡単に説明すると、ベースは2005年に登場した2代目ヴィッツ(先代モデル)以降でトヨタのコンパクトカーに幅広く使われている、FF小型車プラットフォーム。これに、2代目プリウスに搭載されていた1.5リッターエンジンと、2つのモーター(駆動用と発電用)を持つハイブリッドシステムを、各部の効率の向上や、5ナンバー幅のアクア用に小型化する大改良を施し搭載したハイブリッド専用のコンパクトカー・・・といったところである。

アクアは軽量であるのに加え、(プリウスほどでないにせよ)空気抵抗が小さいこともあり、カタログに載るJC08モード燃費は初期型でも33.0~35.4km/Lという数値を誇った。

アクアはグレードやオプション装備によってカタログ燃費値が異なってくるのが非常に紛らわしいが、多くの人が装着するはずのメーカーオプション付きモデル、33.0km/Lが標準的なところだろう。

またアクア登場時には、エコカー減税に加え政府の景気対策で新車購入補助金があったこともあり、発売から約1カ月で約12万台の受注を集めた。先代プリウスの約18万台ほどでないにせよ、大ヒット作と言っていい。

プリウスと同様にトヨタの全ディーラーで販売。2012年こそ首位のプリウスに及ばなかったものの、軽乗用車以外の登録車の新車販売ランキングでは2013年から2015年の間で首位に君臨し、プリウスのフルモデルチェンジがあった2016年も2位に着けるなど、長期間に渡って好調に売れ続けた。おかげでちょっと街に出ればすぐ見かけるほどの人気車となっている。

このように盤石な売れ行きを誇るアクアだが、今年2017年に入ると「電気自動車の新しい形」というキャッチコピー(本質的にはハイブリッドカーなのだが)でe-POWERを追加したコンパクトカーの日産 ノートが、日産車として約30年ぶりに新車販売ランキングで首位になるという、ちょっとした「事件」が起きた。これにより、相対的にアクアの販売が落ちてきている(絶対的にはかなりの台数であるが)。

これを受けてという訳ではないだろうが、デビューから4年半を過ぎたこともあり、テコ入れのため6月にマイナーチェンジが行われた。

トヨタ 新型アクア

早速2017年6月のマイナーチェンジの内容をお伝えしたいところであるが、順序良く燃費を中心とするアクアの辿った軌跡を振り返るため、アクアがこれまでに受けた変更を振り返ってみよう。

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【トヨタ アクア マイナーチェンジの歴史】

●2011年12月 発売開始 JC08モード燃費:33.0~35.4km/L

●2013年11月 一部改良 JC08モード燃費:33.8~37.0km/L

※JC08モード燃費を33.8~37.0km/L(中心はメーカーオプション装着車の33.8km/L)に向上。スポーツモデルのG’Sの追加(今年6月のマイナーチェンジで残念ながら廃止となった)、乗り心地と静粛性の向上。

●2014年12月 マイナーチェンジ JC08モード燃費:33.8~37.0km/L

※燃費の変更はなし。内外装のデザイン変更、ボディカラーとインテリアカラーの拡充、ハンドリングと快適性の向上。メインとなるのは最低地上高を20mm上げたクロスオーバーに仕立てたXアーバンの追加。

●2015年11月 一部改良 JC08モード燃費:33.8~37.0km/L

※JC08モード燃費の変更はなし。主となるのは搭載が遅れていた自立自動ブレーキの設定。トヨタの中では比較的安価な車に使われるトヨタセーフティセンスCが設定された。

※トヨタセーフティセンスCとは:緊急ブレーキ機能、先行車発進告知機能、レーンデパーチャーアラート、オートマチックハイビームなどの機能を含む安全装備のこと。

4回目の変更として行われた今回2017年のマイナーチェンジでは、ヘッドライトやフェンダー、バンパーといったエクステリアの変更。さらにインテリアでは、今までオプションだったハイブリッドシステムの動きなどを表示する、“TFTマルチインフォメーションディスプレイ”が標準装備化された。

余談だが、後述するように私の実家には初期型アクアがある。仕事柄取材のためにメーカー広報車両のアクア(大抵の場合オプションをふんだんに装着している)にしか乗ったことがなかった筆者は、我が家に納車された“素”のアクアに乗るまで、TFTマルチインフォメーションディスプレイがオプションだったことに気付かず、心底驚いた記憶がある。

0円ではないにせよ、さほどコストの掛からないこんな装備までオプション料金を取るという・・・この点だけでアクアという車のセコさ、ケチぶりを嘆いたものだ・・・。

機能面ではボディ剛性の向上に加え、タイヤサイズが175/65R15から185/60R15に拡大された。

またXアーバンは“アクア クロスオーバー”に名前が変更され、デザイン面も全体的によりクロスオーバーらしいものとなった。 そして肝心のJC08モード燃費だが、エンジンの改良やハイブリッドシステムの制御の見直しなどにより、34.4~38.0km/Lに向上した。

※38.0km/Lは廉価グレードかつ燃費スペシャルのLグレードで、中心は主力となるSやG、クロスオーバーの34.4km/L

>>より詳細なアクアのデータを見たい方はこちら

実燃費の検証環境

テストは変則的となるが、高速道路、郊外路編を6月23日(金)の夜8時~夜11時半の間に行い、市街地編を翌6月24日(土)の朝7時に開始して、午前10時頃帰京するという日程で実施。

テスト中の天候は晴天、最高気温26度という梅雨の晴れ間の中、交通状況は非常にスムースであった。なお、取材を夜間に行ったせいか、高速燃費編は終える寸前の一区間(約10km)がまさかの工事通行止めとなっており、いつも降りるインターチェンジの1つ手前で降りるハプニングがあった。

新型アクア実燃費レポート|街乗り(市街地)編

MCアクア市街地
MCアクア 市街地燃費

トヨタアクア(2017年マイナーチェンジモデル) 市街地での実燃費:27.0km/L

新型アクアとライバル車の実燃費比較|街乗り編
街乗り実燃費JC08モード燃費
新型アクア27.0km/L34.4km/L
アクア(初期モデル)25.0km/L33.0km/L
フィットハイブリッド26.0km/L33.6km/L
ノートe-POWER25.0km/L34.0km/L
デミオ(ディーゼル・AT)19.7km/L26.6km/L
新型プリウス28.1km/L37.2km/L

市街地での燃費も新型プリウスには及ばないものの、初期モデルのアクアの8%向上となる27.0km/Lを記録した。8%向上した要因の3分の1程度は、交通状況が非常にスムースだったことがあるだろう。

残り3分の2に関しては、ハイブリッドシステムやエンジンの改良に加え、ハイブリッドカーやEVといったモーターを使う車の燃費や航続距離の向上に非常に重要な回生制動が、新型プリウス以降のトヨタのハイブリッドカーと同様にブレーキのタッチ(踏み心地)が非常に良くなっており、無駄なくバッテリーに電力を戻す回生制動がやりやすくなってことも大きいように感じた。

ちなみに無駄なくバッテリーに電力を戻し、燃費を向上させるコツは、減速する時間を長めにし、バーの出るモニターでチャージ側に振り切れないように減速やブレーキ操作するのがポイントだ。

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さて、もうすっかりお馴染みになっているが、ここでトヨタの2モーターハイブリッドの動き方を簡単におさらいすると下記のようになる。

(1)モーターでスタート(バッテリー残量が多く、ユックリとした加速であればモーターだけで40km/hくらいまで加速できる)

(2)エンジンが加わり、状況によってエンジンを駆動と発電に使ったり、モーターによるアシストが加わるなど車側がマネージメントする

(3)減速の際は、モーターを発電機として使う回生制動でバッテリーに電気を貯める

トランスミッションがないため、独特の加速のスムースさがある(この点は他のトヨタのハイブリッドカーと同様である)。さらにエアコンもバッテリーの電力を使う電動タイプであるため、テストした程度の気温・湿度であれば、停止中もエンジンが掛かることなく冷房が効き続け、快適に過ごせる点も含め、街乗りは非常に楽である。ただし個体差なのか、街乗りの楽さに貢献しているエアコンからと思われるシャリシャリ、チリチリというごく小さい音が聞こえたのは気になったが。

また、EV走行からアクセルを全開にした際の加速が始まるまでのタイムラグも問題なかった。ここはハイブリッドカーで必ずチェックしたいポイントで、フィットハイブリッドのようにこの点が気になるモデルも少なからずある。

ただし加速のスムースさと、EV走行からアクセルを全開にした際の加速が始まるまでのタイムラグに関しては、EVに近いハイブリッドカーであるノートe-POWERには遠く及ばず、今となってはそんなアクアのアドバンテージがなくなっているのも事実だ。

なお、アクアにもドライバーの任意でEV走行ができる“EVモードスイッチ”があり、オンにするとユックリとした加速であればEV走行はおおよそ60km/hまで可能だ。

エコモードを使うと、アクセル操作に対するレスポンスが適度に鈍くなり、エアコンの作動が控えめになるという効果があるので、基本的にはオンにしておいた方がいいだろう。

新型アクア実燃費レポート|高速道路編

MCアクア インター
MCアクア高速燃費

トヨタアクア(2017年マイナーチェンジモデル) 高速道路での実燃費:27.7km/L

新型アクアとライバル車の実燃費比較|高速道路編
高速道路実燃費JC08モード燃費
新型アクア27.7km/L34.4km/L
アクア(初期モデル)26.9km/L33.0km/L
フィットハイブリッド26.1km/L33.6km/L
ノートe-POWER23.8km/L34.0km/L
デミオ(ディーゼル・AT)26.6km/L26.6km/L
新型プリウス28.3km/L37.2km/L

高速道路での燃費は、初期モデルに対し数%であるが向上した27.7km/Lを記録。

マイナーチェンジされたアクアがこれだけの燃費を記録した要因はいくつか考えられる。まず従来からの車重の軽さや空気抵抗の少なさ。加えて、マイナーチェンジで公表されたハイブリッドシステムの制御の見直し。さらに、エンジンの改良による効率の向上など、これらの効果が地道に積み重なった結果、巡航中のバッテリーの貯まり方が良くなっているように感じた。

さらに、アクセルを全閉にした際の減速感が非常に弱いことから、タイヤなどを含めた転がり抵抗の少なさも実燃費向上へ少なからず寄与していることが考えられる。

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私事であるが、先に軽く触れたように、私の実家には初期型のアクアがある。2013年にフィットハイブリッドの記事で再テストとして燃費計測をした際に使った、レンタカーのように街の景色に同化してしまいそうなシルバーのアクアがそれである。

そのため実家に帰ると、燃費が良く、コンパクトなためどこへ行くにも気を使わなくていいという理由もあって、初期型アクアにはよく乗っており、アクアのことは自動車メディアの人間の中でも詳しい方だと思う。

・・・という筆者の初期型アクアの印象は「燃費はいいけど、乗り心地などの車としての質は低い」というのが率直なところだった。

そこに今年1月に、同じプラットフォームを使うヴィッツがハイブリッドの追加をメインとしたマイナーチェンジを行い、トップクラスとは言えないものの乗り心地などかなり良化していた。試乗したヴィッツハイブリッドが最上級グレードで、16インチタイヤを履くせいも大きかったかもしれないが、今回のアクアのマイナーチェンジには「もしかしたらアクアも」という密かな期待を持っていたのだ。しかしマイナーチェンジされたアクアの総合的な印象を先に言ってしまうと「燃費は頑張ったと思うけど、それ以外の進化はそれほどではなかった」というのが筆者の偽らざる結論だ。

高速燃費編では主に動力性能についてお伝えしよう。

アクアは主力グレードで1090kgというエココンパクトカーの中では軽い車重に、最高出力74馬力&最大トルク11.3kgmの1.5リッターエンジンに61馬力の駆動用モーターという組み合わせ。実質的な最高出力であるシステム出力も100馬力と、数値的に目立つものはない。

しかし、高速道路の本線走行や追い越し加速などを想定した絶対的な動力性能は、プリウスのようにグイグイと車を引っ張るとまではいかないが、モーターのアシストで、スルスルとスピードが乗る感じで「なかなか速い」といえるレベルを備えている。

だが、ライバル車が増えてきたエココンパクトカーの中でこれは並レベルだ。109馬力のモーターを搭載し、アクセルを踏んだ瞬間に反応するノートe-POWERに完敗なのは否めない。とある自動車メディアのテストでは、ノートe-POWERは0-100km/h加速で「速い」と感じる1つの基準となっている10秒を。大幅に切る9秒以下のタイムを記録しているほどだ。

またそれぞれ気持ち程度の差であるが、改良が進んだせいなのかエンジンが軽く回るようになり、アクセルを深く踏んだ際のエンジン音も初期型に比べると澄んだものになっていように感じたことも評価できる。

最近ではもはやエココンパクトカーでも珍しい装備ではないが、Gグレードにはクルーズコントロールと運転席にアームレストが着く点も、高速道路の移動での疲労軽減に役立っていた。

しかし高速道路を走っている際の騒音に関しては難ありで、路面によってはロードノイズが大きく、風切音も少し耳につくため、長時間乗っていると疲労の原因になるように感じた。

新型アクア実燃費レポート|郊外路編

トヨタ 新型アクア
MCアクア郊外燃費

トヨタアクア(2017年マイナーチェンジモデル) 郊外路での実燃費:28.1km/L

新型アクアとライバル車の実燃費比較|郊外路編
郊外路実燃費JC08モード燃費
新型アクア28.1km/L34.4km/L
アクア(初期モデル)26.8km/L33.0km/L
フィットハイブリッド26.1km/L33.6km/L
ノートe-POWER26.7km/L34.0km/L
デミオ(ディーゼル・AT)21.2km/L26.6km/L
新型プリウス30.3km/L37.2km/L

郊外路での燃費は初期型から約5%向上で、燃費志向のコンパクトカー中トップの28.1km/Lを記録した。燃費が向上した要因は市街地と同様だろう。

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これまでのアクアで最大の欠点だったのは、乗り心地に代表される各部の質感の低さ、安っぽさであった。

まず乗り心地に関しては、初期型の標準サスペンションは乗り始めだとそれほど悪く感じないのだが、ある時間、おおよそ3時間も乗っていると、それほど大きくない路面の凹凸でもガタガタとした不快な硬さを常に感じる。大げさに言うと劣悪かつタチの悪いものであった。その点では、今回のマイナーチェンジで廃止となったが、オプションのツーリングパッケージ(16インチタイヤと専用サスペンションを装着するモデル)はそれほど悪くなかった。

それが2015年の一部改良あたりからなのか、いいとは言えないものの悪くないと言えるレベル、初期型を50点とすれば65点くらいまでに改善されており、前述したようにヴィッツのマイナーチェンジでの良化もありアクアの乗り心地の更なる改善も期待していた。

しかし最新モデルの乗り心地は、まず良くはなっているものの大きな進化ではなく、やはり大きな路面の凹凸ではリアの動きに落ち着きに欠け、不快な硬さやバタつきを感じ、上下動の収まりの悪さやブルブルとした振動がある。点数としては70点といったところだろうか。

ハンドリングに関しては初期型からそれほど目立つ部分はなかったが、初期型は駆動用バッテリーを車の中央に置いているせいもあり、レベルや次元は別として軽快で表面的には楽しさもあった。

マイナーチェンジされた最新モデルは、ボディ剛性の向上もありサスペンションが柔らかい方向になっていることや、タイヤが太くなっているせいもあるのか(乗り心地の大きな改善につながってないのが残念なところだが)、「ちょっと柔らかすぎ」と感じるくらいで、シャープさはなくなり、ごく普通の車になった。

アクアがまさに万人向けの車であるのを考えれば、ハンドリングの変更は確かに真っ当な変更と言えると思う。 ちなみにタイヤが太くなったせいなのか、ハンドルの重さは車庫入れなどのパーキングスピードも含め全体的に重くなっている。

そしてアクアのハンドリングで不満なのが、初期型の標準サスペンションから続くハンドルのセンター(中立)付近の落ち着き、シッカリ感に欠ける点である。乗り心地と同様にツーリングパッケージでは問題なく、真っすぐ走るのが大変とか気を遣うというほどではなく、慣れればそれほど気にならなくなってはくるのだが、改善を望みたい。

また今回は夜間の高速道路、郊外路を走ったため積極的にハイビームを使うオートマチックハイビームもテストできた。

アクアのオートマチックハイビームは、高速道路だと先行車との距離を考えると積極的にハイビームを使い過ぎと感じこともあり、郊外路でも見通しの悪いブラインドコーナーだとハイビームからロービームになるタイミングが遅いと感じこともあった(これはやむを得ない部分もあると思うが)。

しかしそれ以外では、まずまず他車の迷惑にならない範囲でハイビームを積極的に使っているように感じた。ただし人通りの少ない夜間の郊外路ならあまり心配ないにせよ、歩行者や自転車に対して不快感を与えないような対策も必要だと思う。

新型アクア実燃費レポート|総合評価

トヨタ 新型アクア

トヨタアクア(2017年マイナーチェンジモデル) 総合実燃費:27.6km/L

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マイナーチェンジされたアクアは、燃費に関しては「もう熟成されつくしているだろう」と思っていた1.5リッターのハイブリッドシステムのまま、細かな改良の積み重ねで体感できるほど燃費を向上させたことには敬意を表したい。

しかし、車としての質に関しては良くはなったものの、ライバル車には見劣りすると言わざるを得ない。しかもノートe-POWERやデミオディーゼルといった強いキャラクターを持つモデルが出てきたこともあり、アクアは装備内容を考えると価格に割高感もある。「今あえてアクアを買う理由って、燃費とスタイルくらいしか浮かばない」というのが筆者の率直な評価だ。

もし今トヨタから低燃費なコンパクトカーを買うなら、アクアよりドライブフィールが良く、室内も広いヴィッツハイブリッドも比較対象とした方がいいだろう。トヨタ全ディーラー扱いのアクアに対し、ネッツ店でしか売っていないという不利はあるが、検討する価値はある。

今回は厳しいことをかなり書いたが、これはメイドイン東北のアクアが一家の一員にいる筆者なりのエールである。アクアの次の大きな改良はおそらくフルモデルチェンジとなると思うが、その時には質も備えたコンパクトカーになっていることを強く願いたい。

[レポート:永田恵一]

>>【燃費レポート】ホンダ 新型フィットハイブリッド 燃費レポート

※アクア初期モデルのデータは上記の記事に記載

>>【燃費レポート】トヨタ 新型プリウスの“実燃費”を先代プリウス・アクアと比較してみた

>>【燃費レポート】日産ノートe-POWERの実燃費をテスト!

トヨタ アクア 主要スペック【2017年マイナーチェンジモデル】

トヨタ 新型アクア

新型アクア Gソフトレザーセレクション 主要スペック
主要諸元Gソフトレザーセレクション
新車価格208万9800円
乗車定員5名
全長4,050mm
全幅(車幅)1,695mm
全高(車高)1,455mm
車両重量1,090kg
ホイールベース2,550mm
エンジン種類直列4気筒
排気量1.496L
エンジン最高出力54kW(74PS)/4,800rpm
エンジン最大トルク111N・m(11.3kgf・m)/3,600〜4,400rpm
トランスミッション電気式無段変速機
モーター最高出力45kW(61PS)
モーター最大トルク169N・m(17.2kgf・m)

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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