ロータス 新型エリーゼ 海外試乗レポート(2/3)
- 筆者: 桂 伸一
“フェラーリマスク”へと変貌を遂げた新型エリーゼ
1996年の初代以来、約3万台を世に送り出したロータスの「核」となるエリーゼが、バハールCEO体制になって初のモデルチェンジ(ビッグマイナーチェンジ)を行った。
3モデル中、最もスタンダードなエリーゼ(他はエリーゼR/エリーゼSC)は、1.6リッターにダウンサイジングされた新エンジンを搭載している。試乗の目的はまさにこれだ。
まず大きな変更点は、エリーゼとして3度目の大掛かりなフェイスリフト。
通常、これをフェイズ3(現行はフェイズ2)と呼ぶが「そうは呼ばない」と念押しされた。
ひと目見て“フェラーリマスク”と思っても間違いではない。デザインのトップにフェラーリから、ドナート・ココが移籍して来たからだ。
ボディのスリーサイズに変更はないものの、エッジ角度と面の使い方を変え、ライト形状の変更とLEDデイライトによる眼力も含めて、スタイリングを低く、ワイドに見せている。
着座位置の低いシートは、足を投げ出して肘が軽く曲がる程度のストレートアームによるドライビング姿勢がいかにもスポーツカーらしく、キマっている。
右ハンドルの国で生まれているから、ステアリングもペダル類もシフトレバーの操作系もすべてがジャストフィット。なお、輸入車は左でなければ!という方には左ハンドルも用意される。
ダウンサイジングの理由は「環境対応」と「燃費性能」
排気量を1.8リッターから1.6リッターへダウンサイジングされたエンジンは、ウェールズで製造されるトヨタ1ZR-FAE型で、欧州仕様の「オーリス」に搭載されているモノだ。
それをエリーゼに採用した目的は、「環境対応」と「燃費性能」にある。
まずCO2排出量を1.8リッターの179g/kmから149g/kmにまで低減(ユーロ5へ対応)した。燃費は、欧州の複合モードで6.28L/100km、つまり15.8km/Lとハイブリッドカーの実用燃費に近い数値を1.6リッターガソリンエンジンのスポーツカーで迫ったところが評価できる。
パワーとトルクは、136ps/16.3kg・m。
数字だけを見ると何の変哲もない性能だが、それが車重わずか876kgの“ライトウェイト”に搭載されると、俄然“イキイキ”とスポーツカーの走りが堪能できるから、軽さの勝利である。
ロータスT6と呼ばれるエンジン制御により、アクセル操作に自然に応答するエンジンは、あくまでも扱いやすい特性。
少しのアクセルペダル操作で、飛び出し感の強い日本車的なギミックは全くないオトナの制御だ。
5速から6速へとグレードアップしたギヤボックスと、上限7,000rpmまでを許容する回転が、各ギヤで胸の空く爽快な加速感を味わえる。
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