ミドルサイズミニバン 徹底比較(2/4)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:島村栄二
パノラマオープンドアという新発想
ガイアの後継モデル的な存在だが、むしろ全く新しいミニバンとして開発されたのがアイシス。ボディの基本は5ナンバーサイズに収めたほか、全高も高からず低からずの適度なサイズとして扱いやすいボディとしたのが特徴だ。ラウムなどで採用が始まったユニバーサルデザインの考えを取り入れ、パノラマオープンドアというセンターピラーのない大きく開くドアをボディの左側に設定した。これによる開口部の大きさは圧倒的なもので、ほかのクルマにはないものだ。
搭載エンジンはいずれも直列4気筒で1.8Lがハイメカツインカム、2Lが直噴という設定。4WD車には2Lエンジンだけが搭載される。2Lエンジンは無段変速のスーパーCVT-iと組み合わされ、1.8Lエンジンには電子制御4速のスーパーECTが組み合わされる。エアロパーツなどを装着したプラタナが最上級グレードに位置し、これがわずかな全幅の拡大によって3ナンバー車になる。
車両重量は1400kg台で決して軽くはないが、1.8Lエンジンの搭載車でも十分に良く走る感じ。2Lエンジンの搭載車ならスポーティな走りのフィールが得られる。AT、CVTともショックの少ない滑らかな走りが可能だ。
パノラミックルーフがもたらす明るさと開放感
古くは昭和57年にデビューしたプレーリー以来の伝統を持つ日産の小型ミニバン。当初から手頃な5ナンバーサイズのボディと左右のスライドドアを特徴とするクルマだった。アイシスが採用するセンターピラーレスの構造も、かつて初代プレーリーが両側のドアで採用したものだった。
その後、リバティに変わって今回のモデルからラフェスタに名前を変え、全く新しいミニバンとして登場している。5ナンバーサイズのボディや両側スライドドアの基本コンセプトを継承したのに加え、ラフェスタではパノラミックルーフと呼ぶ大きなガラスルーフを採用する。開閉機構はないが、シェードを開けたときの明るさや開放感の大きさはほかのクルマでは得られないものだ。
搭載エンジンは直列4気筒2LのDOHCで全車ともエクストロニックCVTと組み合わされ、スポーティグレードの20Mは6速マニュアルモード付きとなる。FF、4WDとも20S、20M、プレイフルというシンプルな3グレードの構成で、ベースの20Sでも基本的な快適装備は標準で用意される。動力性能は平均レベルだが、エクストロニックCVTとの組み合わせによって滑らかな走りが得られる。
“6+One”が可能にする自在な室内空間
マツダの小型ミニバンとして作られてきたクルマ。今回のモデルでは欧米への輸出も意識して全幅を拡大した3ナンバー車になったが、手頃なサイズで扱いやすい小型ミニバンという基本コンセプトは変わらない。
今回のモデルでは6+Oneという新しい考え方を採用したのが注目される。小型ミニバンで定員7人のフル乗車になる機会が少ないのだから、まずは大人6人がしっかり座れるだけのスペースを確保した上で、2列目中央の空間を7人目のシートとすることはもちろんのこと、コミュニケーションのための空間としたり、アームレストや収納スペースとするなど、自在な使い勝手を実現した。
しかも伝統的に使い勝手の良さを備えるカラクリシートの採用で、+Oneの空間を容易に変化させることができる。シートを格納するときにシートベルトアンカーが邪魔にならない工夫などもほかにはないものだ。
搭載エンジンはいずれも直列4気筒で、2Lが中心で3グレードが設定され、ほかに2.3Lエンジンの搭載車も設定される。走りのフィールはマツダ車らしいスポーティさを備えるのが特徴。アクセルやステアリングのレスポンス、乗り心地などにそれが良く出ている。
デザイン・スペックの総評
乗降性の良さはパノラマオープンドアを備えたアイシスが圧倒する。老人や子ども体の不自由な人にも乗り降りがしやすい。プレマシーもスライドドアの開口部をMPVよりも大きくし、3列目のシートへの乗り降りがしやすい。ラフェスタはスライドドアの本家ながら、乗降性に関してはやや遅れをとっている。走りはスポーティさを重視するならプレマシー、アイシスは快適性重視で、この点でもラフェスタがやや不利になるのは否めない。
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