フィアット 新型パンダ試乗レポート/大谷達也(2/2)

フィアット 新型パンダ試乗レポート/大谷達也
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イタリアンコンパクトカーにはマジックがかけられている

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前置きがすごく長くなりましたが、ヨーロッパでは昨年発売された3代目パンダが、日本でも発売されることになりました。

スタイリングは背高ノッポになった2代目の流れを汲むものですが、そこは何といってもパンダ。四角の角を丸く落とした“スクワークル”と呼ばれる独特の形状をクルマのいたるところに用いることで、「初代に比べればはるかに立派。でもカワイラシイ!」デザインに仕立てられているのです。

ボディサイズは2代目よりちょっとずつ大きくなっていますが、フォルクスワーゲン「up!」より全長で約10cm、全高で約5cm大きいだけ。つまり、狭い路地でも取り扱いやすいコンパクトサイズだといえます。

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ただし、ここがイタリアン・マジックなんですが、運転席に腰掛けると「オヤ?」と思うくらい広々しているんです。

イタリアのコンパクトカーって、シートに腰掛けたときに背筋がすっと伸びるような姿勢になります。といっても、無理やり正しい姿勢に座らされるのではなく、ちょうどダイニングのイスに腰掛けているような感じ。

これに比べると、ホテルのロビーなんかにあるソファーはもっと寝そべった体勢になりますよね? 両方の腰掛けている姿勢を天井から眺めると、ひとりが占有する床面積はダイニングのイスのほうがずっと小さくて済むことがわかります。

それに、長い時間を過ごすなら、ダイニングのイスに腰掛けているほうが実はラクチン。イタリアのコンパクトカーは、このようにやや立ち気味な姿勢で座らせることで、コンパクトながらも余裕のある室内空間を作り出しているのです。

ドライバーの目の前に位置するウィンドースクリーンも最近のクルマにしては珍しくきりっと立ち上がっているので、こうしたところからも室内の広さを実感できました。

インテリアのデザインもオシャレですね。正直、すっごい高級に見えるように作られているわけではありません。反対にすごくカジュアルでポップなイメージなんですが、このデザインを見ているだけでも、少し気持ちがウキウキしてきます。

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あくまでも黒子役に徹しているエンジン

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エンジンは500(チンクエチェント)にも積まれている2気筒 900ccターボのツインエア。そうそう、あのパタパタ音を立てながら走るかわいらしいヤツです。

でも、パンダでは500ほどパタパタ音は聞こえてきませんし、2気筒特有のバイブレーションも感じられません。「ツインエアのキャラクターを積極的に押し出そう」とする500と、「エンジンはあくまでも黒子役に徹する」というパンダで、少し開発方針が分かれたのかもしれませんね。

でも、いままで4気筒エンジンに乗り慣れてきた人には、パンダのほうが違和感は少なくてお勧めかもしれません。

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このエンジン、排気量はたったの900ccですが、低速域から力強いトルクを生み出してくれるので走りは軽快。たとえば首都高で目の前の遅いクルマを追い越そうとするときなんかでも、素早くスムーズに加速してくれます。しかも、80km/hくらいのスピードなら燃費は20km/Lを軽く越えちゃいそうなくらい。つまり、最新のパンダは環境にもお財布にも優しいクルマなのです。

ギアボックスはクラッチとシフトをドライバーの代わりに機械が操作してくれるロボタイズドタイプ。

フランスやイタリアのコンパクトカーではお馴染みの形式ですが、フィアットはこの手のギアボックスを開発した経験が豊富なだけに、ギアチェンジはとにかくスムーズ。動作もまずまず素早いし、「ギアチェンジしようか、やめとこうか……」と悩むこともありません。ロボタイズドタイプのオートマチックとしてはトップクラスの仕上がりだと思いました。

国産軽自動車やコンパクトカーでは到底味わえない安心感

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乗り心地はいいですよ。2代目パンダも足回りがソフトで、路面のゴツゴツをほとんど感じさせませんでしたが、その代わりローリングといってコーナーでクルマが外側に大きく傾く傾向がありました。それがこの3代目ではローリングを抑え、その分乗り心地もやや引き締まった方向に変わっていたものの、それでも実に快適で、安心感の強いハンドリングに仕上がっていました。

そのしっかり感は日本の軽自動車やコンパクトカーでは到底味わえないもの。見た目は安っぽくても、こういうクルマの本質に関わる部分は手間ひまコストをかけて作られているところがフィアットのすごさだと思います。

そうそう、パンダは後席の中央にも3点式シートベルト用意するなど、安全装備がとても充実しています。それに、ボディの70%に高張力鋼板以上の頑丈なスチール素材を使っているほか、クルマが横転したときに屋根を支えることになるAピラーには、熱間成型といって日本車では滅多に使われることのないコストのかかる手法で作り、クルマの強度を高めています。

フィアット パンダ

見た目は高そうじゃないけど、いい素材を使って質の高いクルマに仕上げられたパンダ。その味わいは、素材のおいしさを丁寧に引き出したイタリア料理にそっくりといえるかもしれません。

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大谷 達也
筆者大谷 達也

1961年、神奈川県生まれ。エンジニア職を経験後、1990年二玄社に就職し、CG編集部に配属となる。以来、20年間にわたり同誌の新車情報、モータースポーツに関する記事を企画・編集・執筆。2010年3月フリーランスとなる。現在もCGの編集・執筆業務に携わる傍ら、ENGINE、GENROQ、東京中日スポーツ新聞、レーシングオンなどにも寄稿。日本モータースポーツ記者会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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