トヨタ 新型スープラ 3モデルにイッキ乗り! 公道試乗で見えたそれぞれの“個性”とは(3/4)

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RZは価格に恥じないフラッグシップモデルへと仕上がった

こうした努力によって新型スープラ RZは、690万円という価格に相応しいフラッグシップモデルへと仕上がった。確かにそれは高額だが、ベンチマークとした718ケイマン、パワー的にも直接的な比較対象となる「S」モデルに対して172万円も安い価格設定は、トヨタならではである。

ここまでRZのデキ映えに隙がないと、4気筒モデルの存在が霞んでしまいそうだと心配したが、それは全くの杞憂だった。むしろ18インチタイヤを装着し、可変ダンパーを備えた「SZ-R」こそが、多くの人々にとっては本命と言えるかもしれない。

本命は“性能を使い切れる”SZ-R?

SZ-Rの走りは、まさにこのシャシー性能を存分に活かしたものだったからだ。

直列4気筒ターボをフロントに搭載するノーズは明らかにRZよりも軽く、2回転弱のロック・トゥ・ロックを持つクイックなステアリングに対して、まさにリニアな反応を見せる。過敏過ぎずしかしライントレースには正確性があり、思い通りに動くのが実に気持ち良い。

乗車感は突き上げこそないが、この軽さが影響してかバウンス傾向がやや強い。これを若々しさやみずみずしさと取るか、乗り心地と取るかは個人の判断だが、気持ちが若い方なら、気にならない範囲だと思われる。

2リッターの排気量を持つ直列4気筒ターボは、数字だけを追いかければ258psと直列6気筒に見劣りするものの、実際のパワー感に不足はない。

アクセルを踏み出した瞬間から発揮される400Nmの最大トルク。これを8速スポーツATの細かなギア比が受け止め、確実に速度を上げて行く。

シート直後に配置したリアタイヤの蹴り出し感が加速にリニアリティに与える印象は強く、高回転領域ではツインスクロール式のターボチャージャーが根詰まり感なくエンジンを吹け上がらせる。

限界領域での車輌安定性は計りかねるが、かなりの実力派。見栄を張るのではなく、性能を使い切る楽しさが、このSZ-Rにはある。

>>末っ子のSZはチューニングしたい人向け[次ページへ続く]

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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