THE NEXTALK ~次の世界へ~ トヨタ自動車 田中義和 チーフエンジニアインタビュー(4/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
スマートグリッドを正しく理解しよう
電気自動車はもちろんのこと、プラグインハイブリッドカーにおいても、車載バッテリーや発電機能を使い、クルマから家へという電力供給が可能になる。これまで、止まっている間は何の役にも立たなかったクルマが、止まっているときにも役立つクルマとなる。そうした新たな価値への期待も高い。
【田中義和】スマートグリッドについて、そうしたヴィークル・トゥ・ホームの効果がもてはやされていますが、個人的には、今の世の中の捉え方はまだ無理があるのではないか?と思うところがあります。勿論、将来的にはそういう方向性があるのは事実でしょう。しかし、今はまず、ホーム・トゥ・ヴィークル、すなわち電動車に、いかに上手に充電を行うかを十分考慮する必要があります。
とくに震災後、地域を問わず全国で節電が問われるようになり、ピーク時の電力利用をいかに抑えるかといったとき、電動車に充電を行うことで問題が生じたということになれば、普及自体が難しくなります。
そこで、無計画に充電するのではなく、地域社会の電力使用に応じた充電を行うことをトヨタでは考えています。まず電力利用の少ない時間帯にタイマー充電を行うとともに、もし家の電力使用が増えた場合には、一時的に充電を止めることも行うようにしています。
クルマ単体での適正充電の取り組みの他、トヨタは、トヨタホームとともに、一軒の家や、町内という地域の中で電力需給を平準化し、完結できる仕組みを検証している。そうした住宅67棟を、トヨタホームは豊田市内で販売している。
ちょっとしたことではあるが、トヨタホームのスマートハウスでは、防犯カメラを利用し、充電中のクルマに、いたずらされにくいような機能も採り入れられている。充電という手間をかける際の安心が盛り込まれている。
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