THE NEXTALK ~次の世界へ~ トヨタ ハイブリッドカー開発責任者・小木曽聡インタビュー(2/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
改めて聞く。ハイブリッドカーは次世代車の本命か?
ハイブリッドカーの話を聞く前に、マツダが2010年秋に発表した、エンジン車で飛躍的に燃費を向上させるスカイアクティブについて、まず小木曽聡に聞いてみよう。
その第1弾となるデミオが、2011年6月に発売された。リッター30km/L(10・15モード)というデミオの燃費性能は、初代プリウスのリッター28km/Lを超えている。なおかつ、同じエンジン排気量のホンダ・フィットハイブリッドの159万円より19万円安い140万円で売り出された。それでもなお、ハイブリッドカーの牙城はゆるぎないのか?
【小木曽聡】:まず、マツダのスカイアクティブには、エールを送りたいですね。燃費競争が盛んになるのは良いことです。レースって、参加者が増えることでレベルが上がっていきますし、競争が盛んになっていくのだと思います。そのレースに新しい参加者が加わってきたのですから、いい勝負になる。ライバルは憎らしい相手ではなく、互いに尊重し合いながら競い合う存在で、それは嬉しいことです。
そのうえで、ハイブリッドカーの燃費というのは、エンジン効率とハイブリッドシステムの掛け算ですから、効率の良いエンジンが登場すればハイブリッドカーの燃費はさらに伸びることになります。エンジン効率の向上がハイブリッドカーの燃費性能の一部を担っているのですから、マツダの取り組みはハイブリッドカーにとっても良いことなのです。そのうえで、我々は絶対に負けないという思いでいます。
次世代車の構想とシステム開発段階を含め、ハイブリッドカーに関わって18年の歳月に及ぶ小木曽聡のハイブリッドカーに対する姿勢は、上記コメントの通り、不動明王のように微動だにしない。
その揺るぎない自信は何処から来るのか? ハイブリッドカーの価値とは何か?
【小木曽聡】:初代プリウスを開発する際の、当初からの狙い通り、「ハイブリッドカーの価値」は、次の2つに、凝縮されています。
①燃費を良くして環境の負荷を減らす
②エネルギー資源の負荷を減らす
初代プリウスの構想段階から18年関わってきて、なお、それを超える価値は、他にありません。ハイブリッドカーをやればやるほど、燃費と排ガスの改善をどこまで高めていけるか?に、尽きると思います。そのうえで、お客様にとっては、エンジン車では得られない、電気で走る良さや気持ちよさといった、ドライバビリティや乗り味が、ハイブリッドカーの価値として加わります。
企業にとっては、いまの自動車メーカーというのは、クルマの黎明期のように電気自動車があり、ガソリンエンジン車があり、蒸気機関自動車があった時代と違って、単一のエンジン車をこの50年くらいずっと作り続けてきているわけですから、そこに新たに登場したハイブリッドカーの量販は、技術的に扱う範囲を広げる物づくりをもたらし、また会社組織に柔軟性を与えます。
技術面では、モーターやバッテリーという「パワーエレキ(駆動用電気部品:筆者注)」が必要になり、電気部品をしっかり作れなければなりません。ただ、この点については、ハイブリッドの前に電気自動車の開発があって、1980~1990年代にモーターやバッテリーの技術を量産へ持っていけるようしっかり押し上げてきたので、それを1990年代の終わりにハイブリッドカーへ展開したという時代の流れがあります。
1990年、米国カリフォルニア州で、ZEV(Zero Emission Vehicle)法案が可決された。これは、1998年以降、カリフォルニア州で新車を販売するには、排ガスゼロのクルマ、実質的には電気自動車を併売しなければならないという法律だ。
電気自動車の販売比率は、年を追うごとに、1998年の2%、2001年の5%、2003年の10%と上がっていく予定になっていた。このため、GM、フォード、クライスラーというアメリカのビッグスリーの他、日本のトヨタ、日産、ホンダの各社は、市販可能な電気自動車の開発に躍起になった。
このときの、モーターやバッテリー開発が、初代プリウスの誕生と、量販へ向けた後ろ盾になったと小木曽聡は言っているのだ。
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