トヨタ 新型プリウスは果たして「買い得」なのか ～現行プリウスと比較～(4/4)

「Toyota SafetySense P」の採用など、安全面は大きく向上

装備で注目されるのは安全面で、Toyota SafetySense P（トヨタ・セーフティ・センスP）をグレードに応じて標準装着、あるいはメーカーオプションとして設定する。

センサーとしてミリ波レーダーと単眼カメラを採用。前方の危険については、対象が車両であれば高速域まで反応し、歩行者の検知も時速80kmを上限に行う。ロー／ハイビームの自動切り替えも可能だ。

このほか斜め後方の並走車両を知らせるブラインドスポットモニター、低速域での接触事故などを防ぐイテリジェントクリアランスソナー、駐車スペースの認識まで含めて車庫入れを支援するインテリジェントパーキングアシストなどを採用する。

サイド／カーテン／ニーエアバッグは全車に標準装着した。

中間グレードの「S」に希望オプションを加えるのが最も買い得

グレードは前述のようにベーシック「E」「S」「A」「Aプレミアム」があり、「E」を除く3グレードには、17インチアルミホイールなどを装着したスポーティなツーリングセレクションを設ける模様だ。そして後輪をモーターで駆動する4WDも選択できる。

価格は未定だが、予想をすれば「E」が240～245万円、「S」は250万円前後、「A」は280万円前後だろう。ツーリングセレクションは加わる装備に応じて10～18万円の上乗せになりそうだ。

価格が最も安い「E」は現行型の「L」に比べてバイビームLEDヘッドランプが装着され、駆動用電池がリチウムイオンになるから20万円前後の価格上昇になりそう。

ツーリングセレクションは先代プリウスの価格が割高で、さらにベースの「S」は駆動用電池もニッケル水素で変更はなさそうだから、Sツーリングセレクションの価格アップは最小限度だろう。

つまりリアサスペンションのダブルウイッシュボーン化などによって全般的に値上げされるものの、値上げ幅は一律ではない。

ベストな選択は、「S」あるいは「Sツーリングセレクション」。この仕様を選び、安全装備などをオプション装着するのが買い得になると思う。

新型プリウスは買い得か否か、問題は「納期」

新型プリウスは、走行安定性と乗り心地のバランス、燃費性能、さらに安全装備という具合に、今日のユーザーニーズを見据えて、さまざまな機能を向上させる。

価格が高まるとはいえ、総じて買い得と考えて良い。

ただし、実際に買う時は納期の問題が絡む。ディーラーではすでに予約受注を開始しており、相当数の注文が溜まっているからだ。2015年11月の上旬になると、価格を明らかにして正式な受注を行い、メーカーに発注する。

となれば12月中旬以降に展示車を確認したり、下旬以降に試乗を行ってから契約すると、納車までに半年以上を要することも考えられる。なので新型プリウスの購入を考えているなら、なるべく早くディーラーに出向いて商談を開始しておくと良いだろう。

ちなみに早い段階から受注を開始する理由は、売れ筋のグレードや装備が予め分かれば、下請メーカーへの発注などを間違えにくく、発売と生産開始から効率良く納車できるためだ。飲食店が客の注文を聞いてから食材を買いに出かけるような売り方になっている。

この傾向は2009年の現行プリウスあたりから始まり、今ではほかのメーカーも含めて幅広い新型車に広がった。トヨタに限らず、メーカーの効率のためにユーザーが納車を待たされている。となれば受注状況に応じて、納期の短縮も図るべきだ。

「お客様をお待たせしないこと」は、クルマの販売に限らず大切な「もてなし」。

「日本でもっとクルマを売りたい」「クルマ離れに歯止めをかけたい」と思うなら、安全で便利に、楽しく使えるクルマを気持ち良く買えるようにして欲しい。