トヨタ 新型プリウスは果たして「買い得」なのか ~現行プリウスと比較~(3/4)

トヨタ 新型プリウスは果たして「買い得」なのか ~現行プリウスと比較~
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新型プリウスの燃費は37~40km/L、現行プリウスより6~7km/L向上

トヨタ 新型プリウス

グレードは大きく分けてベーシックな「E」、中級の「S」、上級の「A」、最上級の「Aプレミアム」を設定する模様だ。

この内、「E」は車両重量が上級の2グレードよりも50kgほど軽く、駆動用電池はリチウムイオンとすることで、JC08モード燃費は史上空前ともいえる「40km/L」をめざす。

ほかのグレードは、価格を割安に抑えた「S」がニッケル水素電池、「A」はリチウムイオンを使って、JC08モード燃費は「37km/L」を目標としている模様だ。現行プリウスのJC08モード燃費は、最も価格の安い「L」が「32.6km/L」、「S」と「G」が「30.4km/L」だから、新型プリウスの「S」と「A」は「6.6km/L」、「E」は「7.4km/L」の向上となりそう。

なので数値上は、新型になると燃料消費量を18%ほど節約できる。エコカー減税については、全車が免税の対象だ。

リアサスペンションがトーションビームからダブルウィッシュボーンへ

トヨタ 新型プリウス

新型プリウスでは、プラットフォームを一新する。TNGAと呼ばれるコンセプトに基づき、基本骨格から見直す。

スポット溶接の打点間隔を狭くしても不都合が生じないレーザースクリューウェルディング、構造用ボディ接着剤などの新技術を使うことで、車両重量を増やさずにボディのねじり剛性を約60%向上する。

サスペンションは、フロント側は現行プリウスと同じストラットによる独立式。リア側は、現行型はトーションビームの車軸式であったが、新型プリウスではダブルウイッシュボーンの独立式に変更する。

ダブルウイッシュボーンはトーションビームに比べて構造が複雑でスペースも必要とするが、新型プリウスは前述のように駆動用電池を現行型の荷室床下から後席の下へ移した。この変更もあってダブルウイッシュボーンの採用が可能になった。

トヨタ 新型プリウス

このほかステアリング周辺の支持剛性を高めることも特徴だ。前後に独立式のサスペンションを配置し、ボディ剛性も60%ほど高まったから、走行安定性と乗り心地がバランス良く向上する。

ちなみに現行プリウスの運転感覚は全般的に大人しい。操舵感は少し曖昧で、峠道などを積極的に走ると、後輪の接地性や走行安定性に不満はないものの、旋回軌跡が拡大して曲がりにくく感じる場面がある。

新型プリウスではこのあたりを改善して、走行安定性を低下させずに、操舵角に忠実に曲がる設定にするようだ。

これは特別な話ではなく、トヨタのTNGAが目指す方向もマツダやスバルに似ている。クルマが進化して商品としての熟成が進めば、同じ方向を目指すのは当然の成り行きだろう。どのクルマにとっても、走行安定性と乗り心地を調和させ、自然で気分良く運転できることが大切になるからだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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