トヨタ FJクルーザー 試乗レポート/森口将之(1/3)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:茂呂幸正
日系アメリカントヨタ車の凱旋です!
もともとアメリカ向けとして開発されたのに、なぜか日本でも人気になり、発売に移される。
そんな経緯で登場した国産車がいくつかある。日産ムラーノやスカイライン・クロスオーバーはその代表だ。FJクルーザーも、そもそもは北米専用車として2006年に生まれた。
しかし一部の国内ユーザーがファッショナブルなデザインに注目し、並行輸入で手に入れて乗り回すようになった。そこで国内仕様の投入となったわけだ。
ベースはランドクルーザー・プラドで、4リッターV6エンジンや5速ATのギアボックスは共通だ。しかしラダーフレームはホイールベースが100mm短縮され、トレッドは逆に拡大されている。4WDシステムはプラドがフルタイム式なのに対し、オフロード走行を重視したFJクルーザーはパートタイム式としている。
4635×1905×1840㎜のボディサイズは、プラドと比べると125㎜短く、20㎜幅広く、10㎜低い。車両重量は同じエンジンを積むプラドより200kgも軽く、このクラスのSUVではめずらしく2tを切っている。
つまりFJクルーザーはプラドのメカニズムを流用し、ボディを載せ換えただけの安直なモデルではない。しかも同じようにレトロデザインをまとったミニやフィアット500がプレミアムな位置付けなのに対し、FJクルーザーの314~324万円という価格は同じエンジンを積むプラドより50万円以上安い。
北米向けとして開発されたFJクルーザーだったが、結果的には現在の日本の自動車業界にいちばん必要な、安くてカッコよくてこだわりも感じられるクルマに仕上がっているのである。
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