トヨタ自動車 製品企画本部 センチュリー 開発主査 清水 勉 インタビュー(2/5)

トヨタ自動車 製品企画本部 センチュリー 開発主査 清水 勉 インタビュー
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後席のために

まずは単刀直入に、センチュリーとは、どのような乗用車なのか?

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【清水勉】トヨタの初代主査である中村健也さんが、クラウンを立ち上げたあと、初代センチュリーを創られました。トヨタにとっては、クラウンと並んで、歴史を語るうえで重要な位置づけのクルマです。

また、後席を重視したクルマでもあります。6対4で、後席に比重があります。とはいえ、ドライバーに苦労をかけさせない、走りやすさを備えたクルマにしてあります。走行性能については、後席に座る人に迷惑をかけない、静かでコントロール性のあるクルマに仕立てています。

センチュリーは、日本独創のクルマと言えるのではないでしょうか。日本人が大事にしてきた「しつらえ」や「もてなし」といった味を備えています。きょうの取材に際して、一日をかけて、歴代センチュリーを製造している関東自動車工業(7/1よりトヨタ自動車東日本株式会社)の工場や工房などを見て戴いたのも、センチュリーの精神をご理解いただけば、いろいろご納得いただけるのではないかという「おもてなし」の気持ちからです。

こうして皆様を工場にお迎えすることも、センチュリーの精神そのものと言えます。

センチュリーの購入を検討する上で実際にクルマが作られている工場を見学したいという要望があれば、それにこたえている。

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【清水勉】日本独創のクルマであるという一つの特徴に、お気付きの、後席の乗り降りのしやすさがあると思います。そういう気配りですね。走行中も、ある程度のロール(カーブで車体が傾くこと:筆者注)はしますが、大きく傾くことはなく、後席の人に負担をかけない乗り心地に仕上げています。

前後ドアの間のピラー(支柱:筆者注)根元に、靴ベラ置き場があったのにお気付きでしょうか?長く乗っていると靴を脱ぎたくなることもあるかもしれません、そういう場合を考慮した気配りです。あるいは、天井の両サイドにあるアシストグリップも、他車と違って長いモノがついています。どのような体格の方でも、ご高齢の方でも、手が届いて体を支えられるように、後席のお客様へあらゆる準備をしておく配慮の表れです。

そこが、「しつらえ」であり「もてなし」なのです。

実際、センチュリーの後席の乗り降りのしやすさには驚かされた。ショーファーカーとして長いドアであるにもかかわらず、狭い乗降場所で、無理なくすっと体を外へ出せたのであった。清水勉主査の説明を聞くと、なるほどと納得させられる。

センチュリーの後席背もたれは、後輪のホイールハウスの制約を受けない配置となっている。このため、体を前へ屈ませなくても、体をそのまま横へずらせば外へ出られるのだ。また、サイドシル(ドア内側の車体骨格構造部)も床と同じ高さに整えられ、足を持ち上げずに外へ足をおろせる。そうした細かい一つひとつに、気配りが行き届いている。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

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