トヨタ アリオン 試乗レポート

トヨタ アリオン 試乗レポート
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5ナンバーサイズを守る貴重な存在のセダン

イメージ
フロントスタイルリアスタイル

アリオンは旧コロナの系譜を受け継いだオーソドックスな4ドアセダン。兄弟車にはプレミオがあるが、プレミオはコロナの直系でトヨペット店での販売なのに対して、アリオンはトヨタ店での扱い車種になる。プレミオの購買年齢層は60代が主体となっているのに対して、アリオンはもう少し購買層を若返らせたいとの意図の下にデザインされ、保守的なプレミオに比較するとスポーティな意匠となっている。

インテリアの造詣は基本的に共通だ。車体は従来のプレミオ/アリオンからのキャリーオーバーだが、細部をリファインしており、さらに国内専用モデルの強みを生かして5ナンバーサイズを守っていることがこのクルマの特徴だ。どんどんクルマが大きくなる中でプレミオ/アリオンの存在は貴重でもある。エンジンは新開発の1.8リッターの2ZRと大改良された1.5リッター 1NZの2本立てとなっている。

スポーツ感を打ち出したデザインと、誰でもすぐに使える利便性

インパネ
フロントシートリアシート

アリオンはスポーティをキーワードに、フロントエンドを大胆にスラントさせ、横長ヘッドランプとメッシュのラジエターグリルで力強さを出し、さらにオーバーハングを短くして精悍な印象を与えている。サイドビューはトヨタ流に強いウエッジラインを入れず、滑らかな面でリアビューに流れている。こちらも一体感があり、リアコンビネーションもスクエアでキレのよいデザインだ。

アリオンはアクシオにも通じるデザインテーマながら、さらにスポーツ感を強く打ち出しており、コロナ時代を含めて、最近の中ではもっともスポーティなデザインを与えられている。

インテリアは基本的にはプレミオと共通で、いたってシンプルな構成で、誰でもすぐに使える利便性が特徴だ。いかにもこの世代に向けてのクルマらしく、面倒なことはさせないといういかにもトヨタ的な親切さだ。

あえて主張をしない落ち着きのある走り

エンジン
シフトメーター

オーソドックスな3ボックスセダンで、アリオンの使用想定範囲で乗る限り、破綻のない落ち着いたクルマだ。5.3mの最小回転半径もさることながら見切りのよいボディで、大きな死角もないのが好ましい。

エンジンは1.8リッターでフリクションを徹底して低減して燃費を向上させ、合わせて軽量化も進めている。ドライバビリティも吸排気可変バルブタイミングの採用もあって、中速トルクがたっぷりしており、山道でも粘り強い加速が可能で、さらにアクセルのレスポンスも上々だ。好ましいのは右足首の動きに無用に反応しないことで、ゆっくり走ることも苦痛にならない。

大改良された1.5リッターはピストン回りのフリクションを低減して、吸排気系をチューニングしたことで、こちらも燃費の向上が著しい。さすがに登坂ではもう少しトルクが欲しくなるが、フラット路面なら十分妥協できる。ハンドリングは違和感はないが、逆に感激するような面白さもない。特に主張しないのがこのクルマの持ち味だと言えよう。

全グレードをCVT化し、燃費性能を向上

フロントグリルリアランプ

トランスミッションは全グレード、CVT化を図り、その完成度はさらにあがっている。日本メーカーは燃費改善のためにCVT化が進んでいる。2リッター以下の燃費改善にはCVTは効果的と考えられており、日本メーカーの方向は間違っていないと思う。燃費はかなり向上しており、10・15モードが1.8リッターのFFで17km/Lなのは大きな進歩だ。

安全面でも安全対応ボディや追突時の鞭打ち軽減シート(WILコンセプト)、歩行者傷害軽減ボディなどを採用している。ただサイドカーテンエアバッグはまだオプションだし、姿勢制御装置のVSCはオプションでも選べないのは残念だ。ニーズがまだ及ばないのだと思うが、せめてオプション選定はできるようにしてほしい。

お勧めグレードは1.8リッターのA18Gパッケージで、15インチタイヤの乗り心地、ハンドリングのバランスが取れている。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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