神回避も見せた!これぞスバル魂!ニュル24時間レースでみせた連覇への情熱(2/3)
- 筆者: 川端 由美
- カメラマン:富士重工業
参戦159台!スバル「WRX STI」は第2グループからスタート
そんなわけで、私が応援することに決めたのは、トップカテゴリーでは黄色いくまちゃんのマークがかわいいハリボ レーシングチームが駆るメルセデス・ベンツAMG「GT3」と、群馬の雄であるスバル「WRX STI」とあいなった。
158台のレーシングカーが一緒に走るため、ピットは4チームでの共有となる。後方のチームテントであらかたの作業を済ませて、ピット内では譲り合っての作業となる。
相性のいいチームと組めるかどうかも、実は勝敗に関わってくる。トヨタやフォルクスワーゲン・グループのように、複数台体制で出場ができるチームはピットを独占できるのだが、スバルのようにクラス優勝を果たしたチームでも、単独での参加であればピットは共用だ。
20度近くまで気温が上がる好天の中、パドックから続々とレーシングカーがコースに入って行く。このとき、参戦する159台と共に観客もコースに入って、贔屓のチームのマシンを間近に見られるのには驚いた。レース開始1時間前になっても、まだ人でごった返している。本当にレースが定刻通りに始まるの?と心配になったけれど、30分前になったら屈強なマーシャルがロープを持って現れて、観客をすっかりコース外に送り出してしまった。
しつこいようだが、159台でのスタートである。スタート時刻である午後3時30分を前に、3組にわけてのフォーメーションラップが始まる。ハリボ レーシングチームが駆るメルセデス・ベンツAMG「GT3」はもちろんトップグループでのスタートだ。群馬の雄であるスバル「WRX STI」は、56位からのスタートなので、第2グループの前方でフォーメーションラップに入る。
コース上にまさかの雹!そこでスバル「WRX STI」が神回避
レース序盤でアウディ「R8 RSS」は7位まで転落してしまった。さらにレース開始から約20分で、3位と4位でタンデム走行していたメルセデス・ベンツAMG「GT3」のうち、8号車が大きく順位を落としてしまう。
そして、レース開始後45分ほどで雨がちらつき始めたのが、大波乱の幕上げとなった。ピット付近は曇り程度だったが、コースの裏側にあたる一帯ではどしゃぶりの雨が降り始めて、下りコーナーで川のような流れができて、スピンするマシンが続出した。
さらに、レース開始から約1時間ほどで、突然、コース上が真っ白になった国際映像が配信されてきた。事故で火災が発生し、消火器でも撒き散らしたのか?と思いきや、まさかのヒョウ。直前に雨が降りだしたこともあって、多くのチームはスリックタイヤで戦っていただけに、下りのコーナーに差し掛かったマシンがまずは1台クラッシュしてしまった。
間が悪いことに応援していたスバル「WRX STI」がその直後に画面に入ってきた。国際映像には上位チームばかりが映るので、24時間レースのアプリで、スバル「WRX STI」の位置状況を追っていたのだけれど、こんな最悪のタイミングでブルーとピンクのSTIカラーに塗られたマシンを目にするとは!と、目を覆いそうになった。
が、すごいのはここからだ。前方のマシンが姿勢を崩したのに気づいたのが、ドライバーのカルロ・ヴァンダムはすぐさまマシンの姿勢を変えて、なんとか車両1台分開いている空間をすり抜けてクラッシュを回避したのだ。
その後しばらく、ツイッター上で“神回避”のコメントがツィートされることになる。
さらに神がかった幸運は続く。赤旗でのレース中断となったタイミングがよかったようで、3時間のレース中断後、午後7時30分にレースが再開されてペースカーが抜けたあと、スバル「WRX STI」が一時的ではあるが、総合トップに躍り出たのだ。赤旗中断の直前まで、ライバルたるアウディ「TT」が先行し、差がなかなか縮まらなくてヤキモキしていただけに、幸運の女神の存在を感じずにはいられなかった。
マシンを降りたあと、イケメンのカルロさんに近づいて、“神回避”の模様を詳しく聞いてみると、本人も「奇跡的だ!と思うタイミングでウォールと前車の間をすり抜けられた」とのことだ。
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