僅か“1日”で完売するほどの圧倒的な人気!スバリスト視点で見る「スバル WRX STI S207」徹底解説(4/5)

僅か“1日”で完売するほどの圧倒的な人気!スバリスト視点で見る「スバル WRX STI S207」徹底解説
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EJ20の魅力は、今もまったく色褪せず!

続いては、エンジン。

毎回、WRX STIベースのSTIコンプリートカーが出るたびに「ついに最後か!?」とウワサされるEJ20ユニットにも、伸びしろはまだありました。

正直、もうそろそろ退役して新世代のFAかFBに・・・などと思うこともありますが、乗れば、即時全面降伏。

退役云々について語るのは、長年にわたり鍛え抜かれた戦う強心臓への敬意が足りなさすぎであることを激しく後悔させられます。

各気筒一発ごとの燃焼が積み重なって炸裂するパワー感を伴いながら、天井知らずに8000回転まで回り切るダイナミックなフィーリングを味わうと、退役どころか「WRXのエンジンは、未来永劫これで良い!」と叫びたくなる魅力は今もまったく色褪せず。

これからもまだまだ味わい尽くしたくなる珠玉のユニットEJ20に、満を持しての入魂チューニングが施されました。

まずは、オーナーの所有する悦びを高め、「S」が買えない人を羨望させてやまない効果の高い構成部品のバランス取りを実施。

これはスバルのエンジンに限りませんが、バランス取りされたエンジンの回転フィールの気持ち良さは筆舌に尽くし難いほどの甘美な世界にて、これだけでも100万円ぐらい余分に支払う値打ちがあると感じられます。

そして専用ボールベアリング・ツインスクロールターボや専用低背圧パフォーマンスマフラー、通気抵抗を50%と大幅に低減させた排気システム&専用エキゾーストパイプリヤ、STI製強化シリコンゴム製インテークダクトなどにより、市販EJ20最強の328馬力を発揮。

この328馬力を7200回転という高回転で発生するところに、未知なる官能の世界への扉があるのでしょう。

ボールベアリング・ツインスクロールターボということで、S206や過去のスペックCでも味わえた、アクセルペダルとタービンが繋がったかのようなタイムラグのない鋭敏なレスポンスが予想されますが、STIが掲げたポイントは「トルクコントロール性の高度な調律」。

アクセルを踏もうと思った瞬間からブーストが立ち上がるかのような、極めて繊細、かつ上質感を伴う過給音が聞こえてきそうです。

さらにSTIは「回転フィールの向上は『S』としてのこだわり。滑らかにストレスなくまわる『S』に相応しい〝贅沢なフィーリング〟を実現した」と述べているので、ここは過度に期待をしても良い部分でしょう。

S206に対しては、最大トルクの発生領域を高回転域まで幅を広げ、低速域からの分厚いトルクと高回転域の伸びを確保。扱いやすさと気持ち良さを両立させたとありました。

これが26年の集大成として最後のEJ20になったとしても、是非に及ばず。それこそ未来永劫にわたって大事に乗り続けるべき、世界遺産的な存在として、S207の価値をさらに引き上げる要因となります。

パワーアップされたとはいえ車重の参考値は1,550kgもあり、加速力の炸裂感でいえば、パワーウレイトレシオがわずか4.16kg/psだったS202ほどではないでしょう。しかし、S207はS202時代のように蛮勇を奮うことを愉しむクルマではありません。重さと引き換えに、本気で真っ向から欧州の高性能車と勝負できる車格を磨き上げました。

軽さはそれだけで武器になりますが、重さは高額車に相応しい重厚さももたらします。また、冒頭でも述べたように、現行型WRX STIは実戦で勝利を重ねており、現状ではスペックCの必要性がないことからも、重量の大きさはとりたてて指摘すべき問題ではないかも知れません。

WRXの車重の大きさの是非については、またの機会に。

外装では、大型フロントアンダースポイラーやリヤバンパーエアアウトレットが「S」の佇まいを表現。 圧倒的なパフォーマンスを大径ホイールとブレーキが象徴。これぞまさに、ドイツの高性能セダン的なギラギラ感が上手く表現できています。

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マリオ 高野
筆者マリオ 高野

1973年大阪生まれ。免許取得後にクルマの楽しさに目覚め、ヴィヴィオとインプレッサWRXを立て続けに新車で購入。弱冠ハタチでクルマローン地獄に陥るも、クルマへの愛情や関心は深まるばかりとなり、ホンダの新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、ダイハツ期間工(アンダーボディ組立て)などを経験。2001年に自動車雑誌の編集部員を目指し上京。新車情報誌やアメ車雑誌の編集部員を経てフリーライターとなる。編集プロダクション「フォッケウルフ」での階級は「二等兵」。記事一覧を見る

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