スバル フォレスター歴代モデル徹底解説|ターボが人気の初代SF系から最新SK系まで、スバルの人気SUVの歴史をひも解く
- 筆者: 小鮒 康一
- カメラマン:オートックワン編集部・SUBARU
スバル フォレスター歴代モデルを振り返る
スバルの魅力と言えば、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDを採用した低重心かつ安定した走りだろう。一度乗ればその魅力をすぐ体感することができるが故に、「スバリスト」と呼ばれる多くのフォロワーを獲得したというわけだ。
そんなスバルだが、実は長らくSUVというジャンルの車種を持っていなかった(OEMモデルはあったが)。
1990年代にはレガシィやインプレッサをベースに最大地上高をアップさせ、SUVテイストの外観を与えたグランドワゴン(レガシィ)やグラベルEX(インプレッサ)を投入していたが、満を持して1997年に登場したのがクロスオーバーSUVのフォレスターだ。
初代フォレスター(SF系)[1997年デビュー]
1997年2月にデビューした初代フォレスターの源流は、1995年に開催された第31回東京モーターショーに展示されたストリーガにある。当時デビュー済だった初代インプレッサをベースに250PSの2リッターターボエンジンを搭載した同車は「新ジャンルのマルチスポーツ4WD」と称し、「いろいろ遊べるスポーツカー」と当時のパンフレットには書かれていた。
そして登場した初代フォレスターは、ストリーガと同様にインプレッサをベースに250PSを発生するEJ20型水平対向4気筒ターボエンジンを搭載しており、すべてのグレードで4WDを採用していた。最低地上高は200mmと余裕のある数値で、ステーションワゴンの利便性とSUVの走破性を兼ね備えた、まさに“クロスオーバーSUV”にふさわしいスペックを持っていたと言えるだろう。
また一部グレードのMT車にはトランスファーに低速副変速機を付け、ギヤ比全体をドライバーの要望に応じて走行中に2段階で切り替えられるデュアルレンジを採用をしていた。
当初は2リッターターボのみでスタートしたフォレスターだが、1997年7月には2リッターNAモデルが、1998年9月には2.5リッターNAが追加されたほか、2000年5月にはSTIの手によってローダウンが施され、オンロード性能を向上させた「S/tb-STi」がリリースされるなど、素性の良さゆえに多くの仕様が追加されている。しかし、一貫して4WDモデルのみというラインナップは変わることはなかった。
2代目フォレスター(SG系)[2002年デビュー]
SUVのよさと乗用車(ステーションワゴン)のよさをクロスオーバーさせた初代フォレスターはヒット作となったが、2002年2月に2代目がデビューする頃には他社からも大小さまざまなクロスオーバーSUVが登場し、多くのライバルが存在する時代となっていた。しかし、フォレスターはライバルの動向にもブレることなくあくまでキープコンセプトの正常進化というマジメなルートを選択している。
ラインナップは先代に引き続き、EJ20型の2リッターNA(SOHC)とターボ(DOHC)の2種類。先代途中で追加されていた2.5リッターのEJ25型は一旦姿を消している。ターボモデルはスペック的には220PSへとデチューンされているが、これは乗りやすさを重視したセッティングに変更したためである。
デビューから8カ月後の2002年10月には、ターボモデルに新たに「クロススポーツ」というグレードが追加されるが、これはオンロードにおける走行性能を強化したモデルで専用サスペンションや全高を抑えたルーフレールを装着し、立体駐車場にも入れる全高1550mmを実現したモデルだった(のちにNAモデルにも設定された)。
そして2004年にはピュアスポーツSUVを目指して開発した「STiバーション」が登場。このモデルに搭載されたEJ25ターボは、2003年に北米向けフォレスターに搭載されたものをベースにチューニングを施したもので、265PS/38.5kgf・mを発生し、専用の6速マニュアルが組み合わせれていた。そしてブレーキにはブレンボを採用し、タイヤもポテンザRE030を装着。これほどオンロードを意識していながらも、最低地上高は170mmというところがピュアスポーツ“SUV”たる所以だった。
3代目フォレスター(SH系)[2007年デビュー]
2007年12月に3代目へとフルモデルチェンジを果たしたフォレスターは、「Best Balance for Active Life」という商品コンセプトのもと、このクルマによってユーザーのライフスタイルがアクティブでさらに楽しいものとなる最良の1台を目指し、あらゆる部分が一新された。
ベースとなったインプレッサが新しいプラットフォーム「SI-シャシー(Subaru Intelligent Chassis)」になったことで、フォレスターもボディサイズが先代モデルよりも拡大され、よりSUVテイストの強いエクステリアへと変貌を遂げたが、タイヤの切れ角を増やし、5.3m(従来比-0.1m)の優れた最小回転半径を実現し、ミラーtoミラーの間隔は先代より1cm狭められるなど、見た目に反して取り回しは犠牲になっていないのは素晴らしいところだ。
搭載エンジンは2.5リッターターボがなくなり、2リッターモデルは引き続きEJ20型のNAとターボのラインナップとなっているが、NAモデルは待望のDOHC化。これは同時期のレガシィなどに搭載されていたスポーツエンジン(ハイオク仕様)ではなく、実用エンジンという位置づけのため、引き続きレギュラーガソリン仕様となっている。
2010年10月のマイナーチェンジでは、2リッターNAモデルに新世代エンジンとなるFB20型が搭載される大型改良が施された。
そして同じタイミングで再び2.5リッターターボのEJ25型エンジンを搭載した「S-EDITION」が登場。しかしこちらは先代のSTiバージョンのようなガチガチのスポーツグレードではなく、マニュアルモード付E-5ATを採用したほか、専用の足回りをはじめスポーティな仕様装備を施すなど、フォレスターの持つ走りの愉しさをさらに高めたモデルという位置づけだった。
のちにS-EDITIONをベースにSTIが手掛けた「tS」というSTIコンプリートカーもリリースされたが、こちらもマニュアルモード付E-5ATのみとなっている。
4代目フォレスター(SJ系)[2012年デビュー]
4代目となるフォレスターは2012年11月にデビュー。4代目フォレスターは、「SUVとしての本質的な価値の実現」を目指して開発され、スバル独創のシンメトリカルAWDを核に、走行性能、安全性能、環境性能といったクルマとしての基本性能を進化させ、その上で、SUVならではの道具としての使う愉しさと、ストレスなく自由な移動を可能にする走る愉しさを大幅に向上したとされた。
ドライブトレイン系では2リッターNAエンジンは先代から引き続きFB20型が採用されたが、2リッターターボエンジンは「新世代BOXER直噴ターボ"DIT"」エンジンであるFA20型を採用し、最大出力も歴代最強の280PSとなっている。一方で3ペダルMTは2リッターNAに残るのみとなり、それ以外のグレードはターボを含め全てがCVTの「リニアトロニック」となっているのはMT派にはやや寂しい部分だった。
しかし、リニアトロニック車には、エンジン、トランスミッション、VDC等を最適に統合制御し、悪路走破性を高めるAWD制御システム「X-MODE」を装備。急な下り坂でも同じ車速を維持して走行可能なヒルディセントコントロール制御を含め、スイッチを押すだけで、あらゆる路面での走行でも、ドライバーのスキルを問わず、安定した運転を可能にしている。
一方、安全面では大幅に性能アップが図られ、今やスバルの代名詞となった先進安全機能「EyeSight(アイサイト)」を装着したグレードも設定。当初はver.2だったが、2015年10月のマイナーチェンジでD型になったタイミングでVer.3へと進化している。
2013年には撥水ファブリックシートや撥水カーゴフロアボードを採用することで、ウィンタースポーツなどアウトドアでの使い勝手を一段と高め、オレンジステッチで移動を愉しくする明るい室内空間を演出した特別仕様車「X-BREAK」を、2014年には先代に引き続きSTIが手掛けたコンプリートカー「tS」を設定した。
5代目フォレスター(SK系)[2018年デビュー]
まもなく発売がスタートする5代目となるフォレスター。ボディサイズは全長4625mm×全幅1815mm×全高1715mm(ルーフレール装着車は1730mm)とやや大型化している。
グレードはスタンダードな「Touring」、上級グレードとなる「Premium」、アクティブな「X-BREAK」、そしてハイブリッドモデルの「Advance」の4グレードとなり、Advance以外の3グレードは2.5リッターNAのFB25型直噴エンジンが搭載される。そして、フォレスター史上初のハイブリッドモデルとなるAdvanceには、2リッターNAのFB20型直噴エンジンにモーターを組み合わせたもの。e-BOXERというネーミングから、日産の電動車e-POWERのような印象を受けるが、モーター駆動ではない。
燃費性能もJC08モードではハイブリッドモデルが勝るが、WLTCの市街地モードや高速道路モードでは2.5リッターNAモデルが逆転するので、使い方によってチョイスするのがよさそうだ。
残念ながらターボモデルやMTモデルは(いまのところ)存在しないが、年次改良をし続けるスバルのことだから、今後の展開にも目が離せない。
[Text:小鮒 康一/Photo:オートックワン編集部]
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