物語のカギは黄色いワーゲンバス!? オススメのクルマ映画「リトル・ミス・サンシャイン」
- 筆者: まるも 亜希子
自動車評論家 まるも 亜希子が選ぶオススメ映画「リトル・ミス・サンシャイン」
クルマって一緒にいるうちに、いつの間にか心のよりどころになっていたり、離れていた人たちとの距離を縮めてくれたり、ドアを閉めた瞬間に素直な自分に戻してくれたりしてくれますよね。
私にとってクルマはずっと、そんな存在であり続けてきました。だから映画で印象に残っているクルマたちも、同じような役割を果たしているものが多いのです。
そんな私がおすすめする映画は「リトル・ミス・サンシャイン」です。
“クルマっていいな”を感じられる作品
この映画では、派手なカーアクションはないし、名車と呼ばれるクルマだって全く出てこない(笑)。けれど、エンドロールが流れる頃には、「クルマっていいな」と感じたり、大好きな人たちと、どこか遠くへドライブに出かけたくなったりするはず。そんな映画です。
主人公は、頑張り屋なのにどこかちょっとズレている、小さな女の子のオリーブ。オリーブは、すごく無邪気で可愛くて、観ているこちらは不思議と応援したくなっちゃう、チャーミングな7歳の子。そんなオリーブを見守るフーバー一家の父、母、祖父、伯父、兄は、みんなどこかに問題を抱えながら生きています。
物語のカギを握るのは黄色いワーゲンバス!?
ある日、オリーブはカリフォルニアで開催される美少女コンテスト“リトル・ミス・サンシャイン”に出場することに! でも飛行機代はとても出せないし、どうする?
そこで登場するのが、黄色のフォルクスワーゲン「タイプII」、そう、ワーゲンバスなのです。しかも、相当なオンボロの! 「えっ、これに家族みんなで乗って行くの?」とザワつく中、フーバー一家の住むニューメキシコ州アルバカーキから、コンテストの行われるカリフォルニアまで、1287kmもの長い長いロード・トリップがスタートします。
ワーゲンオーナーなら分かる!? “ワーゲンあるある”を感じさせられる作品
ひとクセもふたクセもある家族が、オンボロバスの中でずーっと一緒。騒ぎが起きないワケがないですよね。色々な問題にぶつかり、罵り合い、涙して乗り越えながら、旅が続くにつれて、だんだんと家族の心がほぐれはじめ、ぬくもりが戻り、お互いのありのままを認め合っていく。そんな様子がジワジワと伝わってきて、静かな感動を呼びます。
そしてかなりいい味を出してくれるのが、ご想像通りのワーゲンバス。実は私は免許を取って最初に乗ったクルマが古いワーゲンだったのですが、周りのワーゲン乗りにはタイプIIに乗っている人もたくさんいて、一緒にツーリングに行くと必ず起きたトラブルとか、それでもなんとか工夫して走ったことなんかが、鮮明に蘇ってくるのです。
「そうそう、あるある!」なんてひとりで画面にツッコミを入れたり、もう懐かしさでいっぱいになってしまいました。昔の日本車だって似たようなトラブルが結構あったので、同じような気持ちになる人もたくさんいるのではないでしょうか。そんなところが、クルマ好きならではのこの映画の楽しみ方かもしれません。
最後まで観れば“ものすごいモノ”が見られる!?
さて、このオンボロバスが起こすアクシデントであったり、突然に襲ってきた別れなどもあったりで、肝心のコンテストに間に合うかどうか、かなりピンチを迎えてしまうフーバー一家。それを、みんなの気持ちをひとつにしてなんとか乗り切り、オリーブはいよいよコンテスト出場へ……。
ここからはもう、ネタバレはやめておきましょう。ひとつ言えるのは、“ものすごいモノが見られる”、ということです。最後にはきっと、皆さんの心にもサンシャインが輝く、とっても素敵な映画です。
[筆者:まるも 亜希子]
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