【試乗】ヨコハマタイヤ”ADVAN dB V552”|最新プレミアムコンフォートタイヤの静粛性を徹底検証

プレミアムセダン市場の拡大を受けADVAN dBが新世代に進化

ヨコハマタイヤでは、1998年より”dB”(デシベル)の名を冠する静粛性に注力したタイヤをラインアップしている。さらに2009年には、走り系のブランドであるADVAN(アドバン)と合流した、”ADVAN dB”を世に送り出した。今回紹介するのは、その後継モデルとなる最新版の「ADVAN dB V552」(アドバン デシベル ブイゴーゴーニ)だ。

このところセダンタイプのクルマの販売が年々減少しているのはご存知のとおり。ところがそのうちプレミアムセダンは増加傾向にある。そのプレミアムセダンをはじめ、ミニバンやエコカーなどを愛用する静粛性を求めるユーザーに向けたプレミアムコンフォートタイヤとして、「車内の空気を変える、かつてない静粛性」をコンセプトに開発されたのが、同新製品である。その性能を確かめるため、同社のテストコースへと向かった。

荒れた路面でADVAN dB V552の静粛性を徹底検証

まずは、その静粛性の進化を確認。ADVAN dB V552と従来型ADVAN dBを履かせたトヨタ クラウンロイヤルを、舗装してから時間が経過して、もう張り替えなければならない状態になった路面を再現したテストコース内の特殊路で乗り比べたところ、違いは予想以上に明白だった。さすがは従来品比で騒音エネルギーを32%も低減したというだけのことはある。

低周波を発する非常に悪い路面から、途中で中周波を発するやや悪い路面に切り替わり、そこを60km/h一定で走行すると、V552のほうがマスクしたかのように全体的にザー音やガー音などのロードノイズの音量が小さいことがわかる。また、路面の変わり目を越えたときの変化がずっと小さい。さらに、目地や突起を越えたときのキャビティノイズ(パカンという残響する音)も圧倒的に小さい。そうした大きな違いを感じたのだが、そもそも荒れた路面ではない、普通の路面を移動しているときの音も、V552のほうがだいぶ小さいことにも気づいた。これはかなり静かだ。

>>ADVAN dB V552のテスト風景を画像で見てみる

円旋回路でADVAN dB V552のウェットグリップ性能をチェック

ADVAN dB V552がいかに静粛性が高いかがわかったところで、つづいてはスキットパッドを定常円旋回し、ウェット性能の進化を確認。なお、V552は大半のサイズでウェットグリップ”a”グレードを達成している。

30Rの円に沿って走り、そこからアンダーステアやオーバーステアの出方をチェックしてみたところ、V552はずっと粘り腰のグリップを発揮し、従来型dBに対して1割ほど限界車速は高いことが確認できた。

走ってみた感覚としても、たしかにグリップ感は段違い。それだけウェットグリップが高いことに違いない。これには、よりシリカの分散性を高めた新開発のコンパウンドが効いているに違いない。

クラウンの場合、VSCを切るとある程度は滑りを許容するが、最終的にはスピンしないように横滑りを抑えて強制的にアンダーステアにもっていくよう制御する。

V552とADVAN dBはともにコントロール性に優れる点では共通しており、タイヤの滑り出しとVSCの介入タイミングの兼ね合いで、ドリフト円旋回については低い車速で挙動が出る ADVAN dBのほうが実はやりやすい気もしたが、どちらが安全性が高いのかは、いうまでもない。

高速周回路でADVAN dB V552の静粛性と操縦安定性を実感

続いて、テストコースの高速周回路で、レクサス LS、メルセデス・ベンツ E220d、トヨタ カムリ、プレミアムミニバンのトヨタ ヴェルファイアの4台で、ADVAN dB V552の高速走行時の操縦安定性をチェックした。

セダン勢は、やはりどれも静粛性は非常に高く保たれていた。走りについては、中でもLSとのマッチングは秀逸で、素直な操縦性と乗り心地のよさが際立っていた。

唯一のミニバンであるヴェルファイアも、静粛性は期待どおり優れていた半面、ミニバンに装着することも念頭に、サイドなどを補強したと聞いていたものの、やはりミニバン専用タイヤほどの剛性感はなく、動きは大きめではあった。とはいえ、けっして不満を感じるほどではないことは念を押しておきたい。

その点について開発関係者によると、従来品を発売した頃はADVANの下に入ったことから走りにも力を入れていたが、現在は別にADVANスポーツという銘柄もあるので、走り重視派はそちらに任せて、ADVAN dB V552は基本に立ち返って静粛性と安全性により特化させたという。

235/50R18というサイズはLSと同じだが、このサイズはどちらかというとプライオリティを置いたのはセダン系となる。ただし、プレミアムミニバンの存在はむろん無視できず、ミニバン装着率の高い特定のサイズについては、ミニバン向けに特性を調整しているとのことであった。

一般路に出てADVAN dB V552を総合評価する!

そして、ADVAN dB V552を装着した車両単独でテストコース周辺の一般道を走行し、総合的なフィーリングを確認した。

試乗車の日産 スカイライン ハイブリッドは、OEMのランフラットタイヤに比べると、V552のほうが圧倒的に静かで乗り心地もしなやか。やや荒れた路面でもOEMタイヤで感じた当たりの硬さ感や微振動がなく、入力を包み込むような優しさがある。もっと音がしそうに見える荒れた路面でも静かだったのは、テストコースでも味わった印象のとおり。またノーマルでは、中立付近にやや曖昧な遊びがあってから急激に横Gが立ち上がる印象だったところ、切り始めのフィーリングもよくなっている。タイヤに適度なしなやかさがあることが上手くマッチンングしているのだろう。

また、細いサイズ向けにプロファイルを最適化したV552を履かせたホンダの軽ハイトワゴン、N-BOXも試してみると、静かで乗り心地のよい印象は同じ。ただし、重心高が高くトレッドが狭いため挙動が大きく出やすい軽ハイトワゴン特有の性質に対しては、OEMタイヤのほうが手当てされている感もあったが、静粛性と快適性ではずっと上回る。そのあたりはマッチングの問題とご理解いただきたい。

とにかく、ここまで静粛性を極めたタイヤというのはなかなかない。しかもウェットグリップと乗り心地の快適性という大きな価値も身に着けている。とりわけプレミアムカーを愛用するユーザーには、そのありがたみをより高めてくれる、こうしたタイヤが存在することを、ぜひ広く知っておいて欲しい。

[レポート:岡本幸一郎/Photo:横浜ゴム]

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筆者岡本 幸一郎

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

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