上海で発表されたQsインスピレーションは次期「日産 スカイライン」なのか!?

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:桃田 健史・日産自動車

インフィニティが展開する 「Qs」とは何を意味するのか?

「これが、次期スカイラインなのか?」。

インフィニティ Qsインスピレーションを見て、多くの人がそう思ったはずだ。それは、上海モーターショー2019(一般公開:2019年4月18日~同年4月25日)で世界初公開となったインフィニティの最新作である。こうした「インスピレーション」という名の出展車が、最近インフィニティから相次いで発表されている。

2018年1月の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で「Qインスピレーション」を公開。その1年後、2019年1月のデトロイトで「QXインスピレーション」が登場。そして今回の上海モーターショー2019で「Qsインスピレーション」という流れである。

これらを整理してみるとQインスピレーションは、インフィニティ全モデルに対するデザインの母体になっていることが分かる。そこから量産化イメージとして、クロスオーバー系がQXインスピレーション、そしてセダン・クーペ系がQsインスピレーションへと進化していった、という解釈が成り立つ。

となるとQsとは、現行モデルではQ50 (スカイライン)とQ70 (フーガ)を指すことになる。

>>インフィニティ Q・QX・Qsインスピレーションを画像で比較(20枚)

フラットなフロアを強調するインテリア

Qsインスピレーションの実車を見て、最も印象に残ったのはフラットなフロアだ。ここから、パワートレインの特徴を読み解くことができる。

今回の発表資料では、Qsインスピレーションは「AWD電動車」として位置付けてられている。中国市場では、2019年から新エネルギー車(NEV)規制が始まっており、このタイミングでの量産を念頭に置いたコンセプトモデルは電動車であることが必要最低条件となる。AWD電動車というと、2019年3月ジュネーブショーに登場した「IMQコンセプト」で公表された、e-PowerによるマルチモーターAWDを思い出す。

IMQコンセプトは1.5リッターの発電用エンジンを搭載し、前後の駆動軸それぞれにモーターを持つAWDで、前後モーターの合算出力は340馬力、合算トルク71.4kgmを誇るスポーティパッケージだ。Qsインスピレーションのフロアには、そんなマルチモーターAWD搭載車のイメージが合致する。

そもそも次期スカイラインは存在しない? いや、復権する?

では、仮にマルチモーターAWD搭載の次期Q50が、インフィニティブランドを展開する欧米や中国で発売されると、日本では現行Q50のように、インフィニティのロゴを付けたまま日産 スカイラインとして発売されることになるのだろうか?

ここからは筆者の私見だが、仮に日本導入されたとしても、スカイラインという名を使う必要はもうないと思う。この議論は、現行スカイラインの2014年発売時にもあった。当時、アメリカで日産本社の役員と話した際に、そういった社内事情を聞いたのだ。結果的に、国内営業を通じて全国のディーラーからの「まだ、スカイラインという名前で顧客の重要が十分に見込める」という声が優先された格好だ。 

しかし、完全に電動化される次期Q50のコンセプトであろうQsインスピレーションの姿には、スカイラインの面影など全くない。

先日、石川県にある日本自動車博物館で、歴代スカイラインをじっくりと見た。その中には、横浜の我が家にあった懐かしいモデルたちもいた。「そうしたスカイラインという日本車史上における輝かしい軌跡は、博物館の中でそっとしておいて欲しい」。素直に、そう思った。

日本で高級ブランド「インフィニティ」導入はあり得るか

では、次期Q50の日本向け名称をどうするか?

まずインフィニティブランドの日本展開については、10年以上前から何度も日産社内で検討されてきたが、最終的に却下され続けている。今後、ゴーン体制からの変革を経て、そうした過去の判断が覆される可能性はゼロではないだろう。だが、現実的にはインフィニティの名は日本では使わず、結果的に日産「Q50」で良いのではないだろうか?

そして、もしスカイラインという名を使うのであれば、それは「Q50」とは別に仕立てる、日本市場を強く意識したセダンとクーペであってほしい。

[筆者:桃田 健史/撮影:桃田 健史・日産自動車]

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

日産 スカイラインの最新自動車ニュース/記事

日産のカタログ情報 日産 スカイラインのカタログ情報 日産の中古車検索 日産 スカイラインの中古車検索 日産の記事一覧 日産 スカイラインの記事一覧 日産のニュース一覧 日産 スカイラインのニュース一覧

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる