日産が新型車を出さないのはナゼ!? その裏には日本市場の特殊性が
- 筆者: 国沢 光宏
2018年の新型車はゼロ! その背景を関係者に聞いてみた
明らかに異常な日産の新型車枯渇事情、日本だけの現象だった!?
今年、日産はついに新型車を1車種も出さなかった。
マツダやスバルの規模であれば新型車を出さない年があっても不思議ではない。日産と同等の規模を持つホンダですら、クラリティPHEVとCR-V、N-VAN、そして年内にインサイトを発売する。もう少し遡っても、日産の新型車はリーフのみ。どんな「基準」を持ってしても日産の新型車枯渇状態は異常だと思う。
なぜか? 日産の開発関係者に聞いてみた。すると最大の理由は「日本専用車の開発規模を大幅に絞っています」。続けて「海外向けには新型車の開発を従来通り行っています。先日もアメリカ向けにアルティマを発表しました」。さらに「ホンダさんを見ても解る通り、アメリカ向けに開発したクルマを日本で販売してもお客さんが興味を持ってくれません。日本市場は特殊なんです」。
まともに売れているのは4車種のみ! 新車を出さないのも一つの戦略?
考えてみたら、現在日本で売れている日産車は軽自動車を除けばノートとセレナ、エクストレイル、リーフの4車種のみ。驚くことにノートとセレナの2車種だけで日産の販売台数の半分以上! エクストレイルとリーフを加えたら76%になってしまう。新型車を出さないから売れないのか、出さない方が効率的なのか意見分かれるところながら、日産としては後者を選んだ。
もしかすると収益率を考えたら、日産の選択は正しいのかもしれない。新型車を開発するコストだけでなく、売るためのコストだって膨大。そもそも新型車出したって100%売れる確率など無いですから。
ただ野球に例えれば、失敗を恐れず積極的に振っていかないと点など取れない。結果、収益率よくなっていっても絶対的な販売台数が下がっていってしまう。
トヨタを見ると、2013年に国内で152万6千台を売り、昨年は158万台に伸ばした。一方日産を見ると、2103年が45万7千台で昨年39万3千台。e-POWER効果によりノートとセレナは絶好調ながら、全体の台数で大きく落ちてしまっている。台数が下がればディーラー規模の維持も難しくなってくることだろう。ホンダと同じく軽自動車を増やしてカバーしていくのだろうか?
国際戦略車の未来は明るいが、あのミニバンに不安の影?
今後どうなるだろう。エクストレイルとリーフは国際戦略車種のため定期的なフルモデルチェンジを行っていくと思う。ノートも欧州仕様のマーチを後継モデルに当てる可能性大。
問題になるのがセレナ。現行モデルも基本骨格は2005年に出た3代目モデルのままである。そろそろ全面刷新しなければならないタイミングだ。ただ、販売は依然として好調なのでまだ引っ張ると思う。
いずれにしろ日産ファンからすれば、新型車出ないで寂しい状況が続きそうだ。
[筆者:国沢 光宏]
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