日産 新型ノートe-POWER試乗レポート|e-POWERが巻き起こす、大きなパラダイムシフトとは(2/4)
- 筆者: 五味 康隆
- カメラマン:小林岳夫
1.2リッター3気筒エンジンでは駆動せず、あくまでも発電用に徹する
前述した狙いを定めて造られているのだから、ノートe-POWERの走りは気持ち良いに決まっている。
ノートe-POWERは1.2リッター直列3気筒エンジンを搭載しているが、直接的にはタイヤを回さないし、機械的に繋がっていないので回せない。タイヤを回す駆動力源は、電気モーターだけ。そして、その電気モーターを生み出すのが、その1.2リッターエンジン(+発電モーター)という訳だ。
クルマに詳しい方なら、これが”シリーズハイブリッド”とすぐに解るだろう。発想としては、EVに発電機を積んで航続距離を延ばす”レンジエクステンダー”が原点とも言える。そこからEVの充電機構を外し、かさばるバッテリーも、ノートで好評の積載力と居住性を犠牲にしない程度の大きさにし、エネルギー効率を求めたら・・・実に魅力的なシリーズ式ハイブリッド ”e-POWER”が誕生したと言うわけだ。
その上等な走りは ”脱・コンパクトカー”と呼ぶに相応しい
体感すれば解るが、バッテリーやモーターなどハイブリッド化に伴い重くなった約100kgの重量で、クルマ全体に重厚感が増す。さらにバッテリーをクルマの重心に近い前席の直下に置いて、低重心化も達成。ハンドルを切ると、ガソリンモデルのノートよりも素直に曲がるのだが、どうやらバッテリー搭載に伴うブラケット補強などが、ボディ剛性にも寄与したそうだ。
また電気で静かに走る領域が多いので、むしろ余計な雑音も聞こえやすくなる。そのための騒音対策も万全で、ノート e-POWERではフロントの遮音ガラスなどの遮音アイテムに加えて、吸音アイテムも各所に追加された。
高級車ユーザーにも注目して欲しい、質の高い走り
騒音対策で注目したいのは、フロアパネルに制振材のメルシートを追加していること。フロア振動が抑えられ、全体的なしっとり感にも寄与していると思われるが、微振動収束の早い高級車的なしっとり乗り味が強く得られていた。この乗り味だけでもノート e-POWERは買いだ。
昔は高級車に乗っていたが、今は大きいクルマはいらない。でも慣れ親しんだ高級な乗り味は欲しい・・・そんな要望を叶える乗り味だと言える。ちなみに高級車的乗り味を求めるなら、絶対に上級仕様の”メダリスト”グレードがオススメ。前席ガラスの厚みが15%以上も厚くなるなど静粛性と制振をさらに磨いており、その差は街中での走行から明確に感じられるからだ。
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