日産 リーフ e+(イープラス) 試乗|航続可能距離570kmをマーク! ハイパワー版リーフの実力を徹底評価(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田 清志
テストコースでリーフ e+を徹底試乗!【気になるところ】
圧倒的な動力性能の向上に車体剛性や足回りが追いついていない面も
ただし動力性能と走行安定性のバランスは良くない。リーフe+はノーマルグレードに比べてボディ剛性と安定性を高めたが、それ以上に動力性能が勝るからだ。
リーフはカーブを曲がる時に4輪それぞれにブレーキを作動させ、車両を積極的に内側へ向ける制御を行う。この作動もあってリーフe+は良く曲がり、旋回軌跡を拡大させにくいが、後輪の安定性は少し頼りない。危険を避けるために曲がっている最中にアクセルペダルを戻したり、少し素早い車線変更を行ったりすると、後輪の接地性が削がれやすい。
昨今の足まわりの考え方は、安定性を重視して、曲がりやすさよりも後輪の接地性を優先させるのが常識だ。それなのにリーフは、ノーマルグレードも含めてグリップバランスが少し前輪寄りだ。高性能版リーフ e+はこの傾向が特に強い。
先代からキャリーオーバーしたプラットフォームの限界を感じる
現行リーフは、プラットフォームとボディの主要部分を先代型から流用しており、潜在的な性能があまり高くない。そこにリーフ e+ではさらに強力な動力性能を組み合わせたから、安定性の実力が露呈した。
車両重量も重い。ノーマルグレードは1490~1520kgだが、e+は1670~1680kgに達する。実際にカーブを曲がる時も、ボディの重さを意識させられた。この点を開発者に尋ねると「ボディとのバランスから、リーフe+は限界的な性能を与えている。これ以上のパワーアップは、もはや無理だ」という。
乗り心地は閉鎖されたコースを走る分には悪くないが、カーブの手前でハンドルを切り込んだ時などに、ボディがやや唐突に傾く違和感があった。これも安定性の不満に結び付いている。
燃費重視のタイヤや、サポート不足で柔らかいシートも改善の余地あり
タイヤの設定も影響した。試乗車のタイヤは17インチ(215/50R17)で、銘柄はダンロップ・エナセーブEC300だ。指定空気圧は250kPaになる。転がり抵抗を抑えた低燃費指向のタイヤで、サイズもあまり太くないから、動力性能を高めるとグリップ性能が不足しやすい。
シートにも足まわりと似たことが当てはまる。前席は着座位置が高めで、周囲は良く見えるが、ボディの傾き方を強く感じやすい。座り心地は柔軟で心地好いが、座った時に着座姿勢がいまひとつ落ち着かない。そのためにカーブを曲がる時のサポート性も良くない。
後席も同様だ。体を深く沈ませる独特の座り心地はリーフの特徴だが、沈み切ったところで、体をもう少し確実に支えて欲しい。シートを改善すると、独特のリラックス感覚が生じて、電気自動車の静かな走りと優れた相乗効果を生み出すだろう。
つまりリーフに必要なのは、パワーアップではなく、走行安定性、乗り心地、シートを改善して、車両全体のバランスを整えることだ。動力性能は40kWh仕様で十分だから、質を高めることに力を注いで欲しい。
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