ホンダNSXの「X」の意味、知ってますか?
NSXの起源は、1983年ごろに始まったミッドシップ駆動方式の基礎研究だった。最初はシティ、次いでバラードスポーツCR-Xをベースに試験車を開発。アメリカでは上級のアキュラブランドの展開、欧州ではF1第2期参戦で市販のイメージリーダー車が欲しいということになり、1985年からミッドシップスポーツカーの開発をスタート。
当初は2L4気筒エンジンを積んだアルミボディ車だったが、性能面や北米での販売を考慮してV6搭載に変更。ボディも拡大した。
こうして開発を進め、1989年2月のシカゴオートショーでのプロトタイプ車発表に際してアメリカ側で「NS-X」と決めた。社内での開発コードは別で、NS-Xは対外的なコードネーム的な愛称のようだ。このNS-Xの知名度が上がり、市販時に “ハイフン”だけを取って「NSX」という名称になった。
実験する過程でステップアップして経験もできる=eXperience
その結果、2011年にアメリカ人のテッド・クラウス氏が開発責任者に任命され、日米合同チームで開発が進められた。開発に際して初代NSXの開発責任者を務めた上原繁氏に会ってNSXらしさや伝統について話を聞いたという。
「とにかく新しい技術でどんどんエクスペリメント=実験しなさいと私たちに言ったのです。それが(初代NSXの)X=experimentの意味なんです。でも上原さんは私たちに、あなた方はもっとエモーショナルなものにフォーカスしなければいけないと言いました。私たちのコンセプトのなかではNew Sports eXperimentが基礎にあります。その上に私たちはもっとエモーショナルなeXperience(エクスペリエンス=経験)を提供したい。一番大事な “実験”という基礎の上に、ステップアップして経験もできる。でも、その2つはつながって存在しています」とテッドは話す。
新時代のスーパースポーツ体験=New Sports eXperience
NSXのスピリットは新しい考え方で新技術に果敢にチャレンジし、新しい価値を創り出すこと。「人中心のスーパースポーツ」という初代の思想は2代目にも承継されている。
新開発の3.5LV6ツインターボエンジンと3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」、複合素材による軽量スペースフレームによって、既存のクルマとは異なる“操る喜び”を実現した。こうした新しい体験こそ、このクルマの価値というわけで、2代目NSXはNew Sports eXperience「新時代のスーパースポーツ体験」という新たな解釈を行った。
[著者:吉川雅幸]
「車名博物館」には目からウロコの車名の由来が沢山!
タイトル:車名博物館 PART1
著者:吉川雅幸
発行:八重洲出版
定価:1,500円+税
体裁:四六判・164ページ(カラー16ページ)
発売:2016年11月17日
この記事にコメントする