新型アウトランダーPHEVはどんな仕上がり!? エクリプスクロスPHEVに試乗してわかった期待したいこととは!?
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:島村 栄二・三菱自動車工業
2021年12月中旬に発売される予定の三菱 新型アウトランダーPHEV。すでに北米市場で発売されているガソリンモデルがデビューしており、内外装デザインは早くも日本でも大注目されている。そこで今回は、同じPHEVのパワートレインを搭載している現行モデル、エクリプスクロスPHEVに試乗し、PHEVの魅力。そして新型アウトランダーPHEVに期待したいことを考えてみたい。発売まであと少し、一体どんな進化を遂げるのだろうか!?
エクリプスはもともとスペシャリティクーペ! 現行エクリプスクロスはその名に恥じない仕上がりだった
ついつい昔話をしちゃうのはオッサン特有の悪い癖。解っちゃいてもやっぱり触れてしまうのは、根っこにあるのが大切なことだと感じてるから。何がって、三菱エクリプスクロスという名前が持ってるバックグラウンドである。
エクリプスとは1989〜2006年まで(北米では2012年まで)三菱のラインナップに存在した、流麗なスタイリングを持つスポーティなスペシャルティ・クーペ(とスパイダー)の名前だった。
エクリプスクロスは三菱の伝統そのもの! イマドキのスペシャリティークーペだ
2017年にデビューしたエクリプスクロスは、その名を受け継いだモデル。エクリプス”にクロスオーバーSUVを意味する“クロス”がプラスされて、“エクリプス クロス”である。
昔のエクリプスのカッコよさを知る世代としては、その名を継承したのがSUVであることに最初は戸惑いを覚えたものだったが、実車を前にして、ステアリングを握ってみて、すんなり納得できた。
エクリプスクロスが、スポーティといえる乗り味を持った“今”風のスペシャルティ・クーペとして作られてることが伝わってきたからだ。
三菱は、自分達の良き伝統を時代に合わせたカタチに変化させつつこのクルマに継承させていたのだ。軸足の置き場がフラ着いてなかったという点でも、それはとても大切なことだと思う。
大規模マイナーチェンジでPHEVを追加!
そのエクリプス クロスにマイナーチェンジが行われ、PHEV(プラグインハイブリッド)モデルが登場したのは2020年12月のこと。兄貴分にあたるアウトランダーPHEVのフルモデルチェンジが間近に迫った今、エクリプスクロスPHEVに乗ってみたくなった。
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エクステリアを大幅変更! これからの三菱車はこのデザインに!?
発売当初のエクリプスクロスもなかなか凝ったスタイリングデザインが施されていて、悪くないなとは思っていた。が、現行モデルはもっといい。
フロントのオーバーハングが35mm、リアのオーバーハングが105mm、計140mm全長が拡大されたことで、クーペとしてより伸びやかで無理のないシルエットを得ることができたのがひとつ。
そしてフロントグラスからノーズに向かっての傾斜角が穏やかになって、顔つきに厚みが増したことがひとつ。特徴的だったリアの上下2分割のウィンドウが廃止となって、シンプルな構成とされたことがひとつ。全体的に大人びた落ち着きのようなものを手に入れた感じだ。
大規模変更もひとめでエクリプスクロスとわかるのはお見事
従来のちょっと尖ったイメージと軽快感の漂うスタイリングも捨てがたいが、人によってはクセが強いと感じられたかも知れない。
ギラリとしてメッキのパーツも全体的に少なくなり、ヘッドランプとフォグランプがバンパーに埋め込まれて引き締まった表情を見せるようになったことも落ち着いた印象を作り上げるのに貢献している。
だが、マイナーチェンジとは思えないほど大きな変更の手が加わっていても、エクリプスクロスであることが一発で判る。なかなか巧みだな、と素直に思わされる。
注目のPHEVモデルは現行アウトランダーPHEVと同じ! 最大のポイントは走行モードの拡充
大人びたイメージをあえて持たせたのは、PHEVモデルの価格が384万8900円〜と、従来のガソリン/ディーゼルモデルより高額な方向にシフトしたことと無関係ではないだろう。
ランエボで培ったノウハウを投入! S-AWCの制御はお見事
PHEVモデルのパワートレーン系は、先にアウトランダーPHEVに搭載しているユニットそのものと考えていい。128psと199Nmを発揮する2.4リッターMIVECエンジンと、フロント側が82psと137Nm、リア側が95psと195Nmという2基のモーターの組み合わせだ。
ふたつのモーターを細かく電子制御することで4輪それぞれの駆動をコントロールする、三菱でいうところのS-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)が採用されてるのは、いうまでもないだろう。
走行モードは全5種類!
走行モードはエコ、ノーマル、スノー、グラベル、そして何とターマック! だ。ぶっちゃけ、グラベルはアウトランダーPHEVではロック、ターマックはスポーツに相当するモードであるに違いない。
単に呼び方が変わっただけ……と解っていても気持ちが上がるのは、三菱がラリーの世界で大活躍をしていたブランドであることを嫌というほど知ってるから。
そして三菱の開発陣がそれに誇りを持ってるのを、こういうところから窺い知ることができた気がしたから。
街中はほとんどEV走行! 静粛性もピカイチの仕上がり
走らせてみて最初に「おっ?」と思ったのは、車体のしっかり感が増していたこと。PHEVを追加するにあたって、ボディ剛性の見直しにも手が入れてきたというわけだ。
バッテリー残量が充分な状態では電気のみのEV状態で走らせようとするし、それ以外の大半もエンジンは発電に徹してモーターのみで走る仕立て。なので普通に走っている限りでは車内は常に静かだし、モーター駆動のクルマならではの滑らかさと重厚さを感じさせてくれる。
そのうえ乗り心地が思っていたより遙かに柔らかで快適なこともあって、エクリプスクロスが一段階ほど高級感を増したような気すらしたほどだ。
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もはやSUVにあらず! その走りはまるでスポーツカー
とはいえ、単に快適なSUVというわけでもない。アクセルペダルを深く踏み込んでの加速を試みると、エンジンとモーターの両方のチカラが同時に立ちあがる。
そしてS-AWCが巧みに働いて4つのタイヤで余すところなくしっかり路面に伝え、馬鹿っ速とまではいかないまでも、充分に爽快といえるレベルの勢いと伸びを見せてくれる。元気のいい走りだって全く苦手としてないのだ。というか、むしろ得意分野といえるかも。
その印象は、ワインディングロードに滑り込んでターマック・モードで走ってみると、さらに強くなる。いや、これが見事なくらいに気持ちよく曲がってくれるのだ。
ノーズはスイッと素直にインを向く。車体は素早く正確に回転しようとする。綺麗に安定したまま滑らかにコーナーをクリアして、素早く加速する。その一連の流れが、ちょっと信じられないくらいにSUV離れしていて、まるでスポーツカーであるかのように素晴らしい。
レースシーンで培った技術をエクリプスクロスに注入
S-AWCの働きはおそらくここでも充分に活きていて、前後のトルク配分や前輪左右のトルクベクタリングなども効いてるのだろうが、どのタイミングで何がどう効いてるのかは判らないくらいに自然に曲がりたがっていく。
とにかく面白いくらいにクルンクルンと旋回してくれるから、曲がりくねった道を走るのが楽しくて仕方ない。試しにスタビリティコントロールをオフにしていくつかのコーナーをトライしてみたら、リアをジワリとスライドさせながらもしっかりトラクションを確保しながらコーナーを素早く駆け抜けていく。
これってランサー・エボリューションのシリーズだったっけ? と思えるくらいのコントロール性と運動性能を味わわせてくれたのだ。そう、ここでも自分達の良き伝統を時代に合わせたカタチに変化させつつクルマに継承させている三菱の想いのようなものを強く感じて、僕はちょっと感動しちゃったのだ。
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見た目・走行性能は文句なしのデキ! 新型アウトランダーPHEVにも期待大
エクリプス クロスPHEVのクルマとしての出来映えは、スポーティな走りにこだわりたいドライバーをも納得させちゃうほどのレベルにある。乗り心地だってなかなかのものだ。もちろんSUVとしての使い勝手だって、ちゃんと確保されている。
スタイリングもアク抜きされた感じで、より多くの人が自然とカッコいいなと感じられるようになった。さらには必要とあらば急速充電だってできる。なかなか完成度は高いのだ。これで充分でしょ、と感じられるくらいに。
新型アウトランダーPHEV発売間近! これまでにない完成度の予感
もちろんこのクルマはこのクルマでしっかりとオススメできる領域にあるということを大前提としたうえで、ちょっとばかり気になるのは、まもなくの発表となる見込みの新型アウトランダーPHEVの存在。エクリプスクロスPHEVの完成度の高さを体験した後なだけに、新型アウトランダーPHEVへの期待感がどうしても自然に膨らんできちゃうのだ。
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【筆者:嶋田 智之/撮影:島村 栄二・三菱自動車工業】
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