新型ノートの“e-POWER”(イーパワー)ってどんな仕組み!? トヨタやホンダのハイブリッドとも比較してみた(1/2)

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国内の日産車で最も売れている、コンパクトカーの「ノート」が2020年11月にフルモデルチェンジを実施した。先代モデルで2016年に追加されたハイブリッドシステムのe-POWER(イー・パワー)が好評だったため、新型ではシステムを刷新し第2世代へと進化を遂げた。動力性能や実燃費などが向上した新型ノートのe-POWERとはどんな特徴を持つ仕組みなのか、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が詳しく解説する。

デザインがカッコよくなった! 日産 新型ノートを写真でチェック[画像86枚]

目次[開く][閉じる]
  1. 日産も予想外! 先代ノートの人気を支えたe-POWERとは
  2. 新型ノートの第2世代e-POWERはどこがどう変わったのか
  3. 発電用エンジンの動作に配慮し導入された世界初の機構とは
  4. e-POWERの新型4WDには高出力な後輪用モーターを新採用
  5. エンジンはあくまで発電専用! 直接の駆動をさせない理由とは
  6. ノート e-POWERをトヨタ ヤリスやホンダ フィットと比較

日産も予想外! 先代ノートの人気を支えたe-POWERとは

他社のハイブリッド普及に対処すべく、急きょつくられたシステムだった

2020年11月に発表された3代目の日産 新型ノートで注目されるのは、ハイブリッドシステムのe-POWERが第2世代に進化したことだ。駆動を担当するモーターと制御システムのインバーターが刷新された。

日産のe-POWERは、もともとリーフのEV(電気自動車)システムを活用したハイブリッドシステムで、トヨタを中心にハイブリッド車の普及率が急激に上がっていた国内市場向けに急いで開発された経緯がある。2016年に先代のノートで初めて搭載され、それが日産の予想をも上回るヒット作になった。開発者も「e-POWERの人気がここまで高まるとは思わなかった」という。

そこで日産は改めてe-POWERに力を入れた。新型ノートに搭載されるタイプは第2世代になり、今後は海外にも展開できるように設計を改められている。

プリウスなどのトヨタ式ハイブリッドとはどこが違う!?

e-POWERの特徴は、電気自動車の駆動用電池をエンジンと燃料タンクに置き換えたメカニズムと考えれば分かりやすい。エンジンは発電機の作動に使われ、ホイールを直接駆動することはない。

その点でトヨタが広く採用するTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)IIは、エンジン、発電用モーター、駆動用モーターを搭載して、エンジンの力がホイールの駆動と発電の両方に使われる。つまりTHS IIはエンジン駆動とモーター駆動を組み合わせて効率を高め、e-POWERはエンジンを発電専用にすることで、高効率な回転域を重点的に使えることがメリットだ。両タイプともに異なる方法で優れた効率を追求している。

新型ノートの第2世代e-POWERはどこがどう変わったのか

加減速がより滑らかに

新型日産ノートの第2世代e-POWERは、最高出力を116馬力、最大トルクは28.6kg-mに高めた。先代型は109馬力/25.9kg-mだったので、新型になって最高出力は6%、最大トルクは10%上乗せされている。

制御の仕方も見直され、アクセルペダルの踏み込み量が大きく素早い時は、機敏な加速を行う。またアクセルペダルを戻し始めると、滑らかさに重点を置く。

特に第2世代e-POWERでは、アクセルペダルを戻した時の制御を洗練させた。

e-POWERには3つの走行モードがあり、ノーマルモードに加えエコモード、スポーツモードが設定されている。特にエコ/スポーツの場合、アクセルペダルを戻すと同時に強めの回生充電を行って速度を積極的に下げるが、従来型では減速の仕方が強すぎた。乗員に大きめのショックが伝わり、ドライバーが意図した場所よりも手前で停車することもあった。

新型ノートの第2世代e-POWERは減速を滑らかにして、速度が唐突に下がらないよう配慮している。

エコ/スポーツモードにもクリープ現象を設定

エコ/スポーツモードにクリープ現象を設定したことも第2世代e-POWERの特徴だ。

ATレバーをDレンジに入れてブレーキペダルを緩めると、従来のAT車と同様に徐行を開始する。この現象を利用すると、低速での車庫入れや駐車位置の調節などがしやすい。先代型ノート e-POWERのクリープ現象はノーマルモードだけだったが、新型ではすべてのモードに拡大採用した。

日産/ノート
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中古価格:
17万円316.4万円

発電用エンジンの動作に配慮し導入された世界初の機構とは

加減速の感覚とエンジン回転音の差による違和感を軽減

モーター出力をコントロールするインバーターについては、新たに設計しなおされている。先代型に比べるとサイズが40%小さくなった。重量も30%軽い。

発電機の作動に使われるエンジンも、型式は以前と同じ直列3気筒・1.2リッターのHR12DE型だが、設計は大幅に見直された。

日産では、e-POWERの発電用エンジンとしては2000回転と2375回転の効率が最も優れているという。第2世代e-POWERではこの回転域を多用するチューニングを施した。しかし速度や加速感に関わらず2000回転と2375回転を維持すると、ドライバーや乗員に違和感が生じてしまう。そこで綿密な制御を行った。

そのひとつが、世界初とされる路面状態に応じた発電制御だ。

路面状態と速度から、ロードノイズ(路上をタイヤが転がる時に発する騒音)が大きいと判断された時は、エンジンを積極的に作動させてリチウムイオン電池に充電を行う。発電するエンジン音がロードノイズによって目立たなくなるからだ。

逆に路面が滑らかでロードノイズが小さい時は、エンジンもなるべく停止させて、充電された電気で走る。そうすればノイズが目立たず快適性が向上する。リチウムイオン電池の制御も変更され、滑らかな路面では、充電量が大幅に下がるまで充電を控えることも可能にした。

このようにエンジンの作動を伴う充電は、集中的に行われ、モーターのみの作動による静かな走りを積極的に楽しめる。新しいe-POWERも、従来と同じハイブリッドだが、運転感覚や快適性を電気自動車に近づけた。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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