新型ノートの“e-POWER”(イーパワー)ってどんな仕組み!? トヨタやホンダのハイブリッドとも比較してみた(2/2)

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e-POWERの新型4WDには高出力な後輪用モーターを新採用

新型ノートの後輪をモーターで駆動する4WDモデルは2020年12月に発表され、2021年2月に納車を伴う発売となる。2020年11月24日の新型ノート発表時点では、まだ価格やグレード体系などは発表されていないが、こちらも従来型から大きく進化している。

先代型ノート e-POWERの4WDでは、後輪に装着されたモーターの最高出力は4.8馬力、最大トルクは1.5kg-mであった。低速で雪上など滑りやすい路面での坂道発進を助ける程度の性能だった。

新型ノート e-POWERの4WDモデルが採用する後輪のモーターは、最高出力を68馬力に強化した。走破力が高まり、後輪のモーターも回生を行って充電するから、燃費の面でも有利になることが期待される。

エンジンはあくまで発電専用! 直接の駆動をさせない理由とは

その一方でe-POWERの基本メカニズムは従来と変わらず、第2世代e-POWERでも高速時にエンジンがホイールを直接駆動する機能はない。

ホンダ フィットやインサイトなどが搭載するe:HEV(イー・エッチ・イーブイ)は、以前からこの機能を備えて高速巡航時の燃費を節約するが、e-POWERは第2世代でも採用されなかった。ブレーキペダルを踏んだ時に、回生力を強めるブレーキ協調制御も行わない。

e-POWERの基本的な機能は、第2世代になってもシンプルだ。その理由を開発者に尋ねると、以下のように返答された。

「エンジンと駆動輪を直結させる機能があると、巡航時の燃費節約には有利だが、本格的に効果が高まるのは時速160キロ前後の高速領域だ。新型ノートは基本的に国内向けで、左ハンドル仕様も用意していない。走行速度が低い状態で使われるから、直結させる機能も採用しなかった。また多くのお客様がエコやスポーツモードで走行しており、回生力が強いため、市街地ではフットブレーキはほとんど使われない。そこで協調制御も用意しなかった」。

直接駆動も行うホンダ式に比べ製造コストや軽量化の面でも有利

コスト面ではどうなのか。

「エンジンと駆動輪を直結させる機能、ブレーキの協調制御を採用しなければ、その分だけコストも下がる。スペースが節約され、重量も軽くなる。インバーターを新設計にして、小さく、軽く造った背景にもコストの低減がある」。

つまりe-POWERを第2世代に進化させた理由として、低コスト化もあるわけだ。メーカーにとっては、このメリットが一番の理由かも知れない。

ノート e-POWERをトヨタ ヤリスやホンダ フィットと比較

動力性能&比較

■日産 新型ノート e-POWER X(FF)

システム最高出力:116馬力/車両重量:1220kg/WLTCモード燃費:28.4km/L

■トヨタ ヤリス ハイブリッド G(FF)

システム最高出力:116馬力/車両重量:1060kg/WLTCモード燃費:35.8km/L

■ホンダ フィット e:HEV HOME(FF)

システム最高出力:109馬力/車両重量:1180kg/WLTCモード燃費:28.8km/L

WLTCモード燃費ではヤリスが圧勝

動力性能はほぼ横並びだが、車両重量はトヨタ ヤリス ハイブリッドが圧倒的に軽い。後席や荷室が狭い代わりに、車両重量はノートを160kg、フィットを120kg下まわる。

ヤリス ハイブリッドは、新開発されたTNGAプラットフォームによる軽量化と、新しいハイブリッドシステムの相乗効果により、WLTCモード燃費も35.8km/Lと突出した数値だ。WLTCモード燃費をベースに計算すると、ヤリス ハイブリッドの燃料代は、ノートの79%で済む。

ちなみにヤリスでは、1.5リッターノーマルエンジン車のWLTCモード燃費も、Gが21.4km/Lに収まる。この数値自体、ハイブリッドに近い。

ヤリスのハイブリッドシステムは、従来からのTHS IIを進化させたものだ。ノートやフィットのように、エンジンは主に発電、駆動はモーターという役割分担ではないが(エンジンも通常の走行を含めて直接駆動を行う)、軽量や摩擦抵抗の軽減などによって優れた燃費数値を達成した。

コスパではフィット優勢! 3者3様の運転感覚も実際に試乗して確かめたい

価格は装備の違いを補正すると、ノートとヤリスはほぼ横並びで、フィットは少し割安だ。運転感覚の違いも含めて、ヤリス、フィット、そして新型ノートの3車は、実際にディーラーで乗り比べて判断すると良い。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:小林 岳夫・NISSAN]

▼【こちらも併せてチェック!】ノート e-POWERとヤリス、フィットを徹底比較▼

日産 新型ノートの内外装を動画でもサクッと見てみる!【MOTA TV】

日産 新型ノート X[FF/ハイブリッド] 主要諸元(スペック)

ボディサイズ:全長4045mm×全幅1695mm×全高1505mm/ホイールベース:2580mm/車両重量:1220kg/乗車定員:5名/エンジン種類:HR12DE型 直列3気筒 ガソリン DOHC(発電用)/総排気量:1198cc/最高出力:82ps(60kW)/6000rpm/最大トルク:10.5kg-m(103Nm)/4800rpm/使用燃料:無鉛レギュラーガソリン/駆動方式:FF(前輪駆動)/フロントモーター種類:交流同期電動機/フロントモーター最高出力:116ps(85kW)/2900-10341rpm/フロントモーター最大トルク:28.6kg-m(280Nm)/0-2900rpm/動力用主電池:リチウムイオン電池/タイヤサイズ:185/65R16/燃料消費率:28.4km/L[WLTCモード燃費]/メーカー希望小売価格:218万6800円(消費税込)

日産/ノート
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新車価格:
229.9万円306.4万円
中古価格:
17万円344.6万円
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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