三菱 eKワゴン 試乗レポート

  • 筆者: 西沢 ひろみ
  • カメラマン:小宮岩男
三菱 eKワゴン 試乗レポート
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次世代のスタンダートを目指したeKワゴンは、軽自動車の新しいジャンルを築いた。

企画開発から発売まで21ヶ月という超短期間で生まれた、新しいジャンルの軽自動車がeKワゴンだ。主流のトールボーイモデルやワンボックスカーに対して、居住性を最優先したパッケージングは、まさに小さなミニバンの印象。全体的な質感も高く、ダイムラークライスラー社の「クオリティ・ゲート方式」の導入が大きく貢献しているようだ。セミトール&ロングルーフが特徴のスタイルは、ディオンの弟分的な雰囲気を放つ。立体駐車場への入庫が可能な全高 1550mmもウリのひとつだ。軽初のセンターメーターを採用したインテリアは、スケルトンブルー素材の配置がアクセント。アイディアを生かした豊富な収納も見逃せない。

タウンユースの2WDと生活四駆の乗り味は、明確に差別化されている。

eKワゴンのパワーユニットは3気筒S0HC12バルブエンジン+3速AT。37kW/62NmのスペックはNAエンジンとして一般的な数値だ。市街地走行での軽快な加速感は、トッポBJよりも多少軽い車重のおかげ。勾配のきつい上り坂ではかったるさを伴うが、スムーズな走行フィールが味わえる。だが高回転域までエンジンを回すと途端に印象は悪くなる。エンジン音がかなり大きめで、なおかつシフトアップの変速ポイントが低いエンジン回転域に設定されているからだ。シフトアップポイントが若干高めになる4WDの方がスピードのノリはいい。ただし中速域からの加速の伸びは、50kgの車重増が影響しているのは否めないだろう。

販売台数の8割を占めるという2WDの乗り味は軽快感を演出したもの。大きな段差を超えるとやや硬めのショックはあるけれど、基本的に誰にでも乗りやすさが感じられるはずだ。豪雪地帯向けの4WDは路面への接地感が高い安定志向。雪道での性能を重視したため、最小回転半径ギリギリでUターンするとブレーキング現象が生じるのが気になる。

大人が4人ちゃんと座れる居住空間は、軽自動車の概念をくつがえした広さだ。

とにかく驚かされるのが、前後席ともに十分なフットスペース&ヘッドクリアランスが確保されていること。大柄な男性でもゆったり座れる、大きめのシートサイズも好感が持てる。フロントシートはアームレスト付のベンチタイプ。リアシートはやや立ち気味の姿勢ながら、リクライニング機構を備えているし、クッション部の位置が高いおかげで視界は良好だ。その分、ラゲッジスペースの使い勝手はいまひとつ。リアシートの背もたれはヘッドレストを付けたままで分割可倒ができるが、フロアとの段差が残ってしまう。小物も収納できる上、フラットフロアになるオプションのラゲッジボックスが欲しくなる。ネーミングにもこだわった面白&便利グッズは、移動可能なプチごみ箱や、ドアトリムの仕切りであるとともにガラス面の霜も取れる霜とりクン。助手席からは見づらいが、従来のメーターの位置に取り付けるカーナビもアイディアものだ。

クラスを超えた仕上がりが魅力。それだけに快適クルージングが味わえるターボが欲しい。

短期間の開発と聞くと、なんだか“やっつけ仕事”に思えるけれども、eKワゴンは想像を超える高いレベルで仕上がっていた。これまでの三菱の軽自動車は、ライバル車を意識しすぎて機能よりも個性を主張していたきらいがある。その点eKワゴンは、あくまでもユーザーの嗜好を取り入れた万人向けに作られた。これが成功の鍵となったのだろう。とはいえeKワゴンが100%の出来栄えかというと、そうではない。これだけの居住性と使い勝手を持ち合わせれば、誰だってロングドライブに行きたくなる。けれども制限速度が100km/hに引き上げられた高速クルージングとなると、エンジン性能に物足りなさを感じるのが本当のところ。もちろん、このクルマに絶対的な速さやワクワクするターボ感は必要ない。だけど、低中速域のトルクを膨らませるサポート役としてターボの搭載は必須だろう。今後に期待がかかる。

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筆者西沢 ひろみ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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