三菱 デリカ歴代モデル徹底解説|働くクルマから遊びのクルマへの華麗なる転身の歴史!?

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:オートックワン編集部

働くクルマから遊びのクルマへの華麗なる転身!? 歴代デリカを振り返る

2018年は三菱 デリカの誕生50周年ということで、三菱自動車は1年を通してさまざまなキャンペーンを実施するという。そこで今回はそのキャンペーンをより一層楽しむためにも歴代デリカの歴史を振り返ってみたい。

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初代デリカ(1968年デビュー)

三菱 デリカの歴史の始まりは1968年7月。そもそもデリカの名前は「デリバリーカー(運ぶクルマ)」が由来となっているように、商用トラックからのスタートだった。

当時の日本ではボンネットを持ちフロント部分にエンジンを搭載するボンネットトラックが主流だったところ、現在のようなキャブオーバータイプで3名乗車が可能な小型トラックは時代を先取るものだった。

9人乗りのコーチ(ワゴン)の登場はトラックから遅れること1年後の1969年のこと。すでに3列シートやツートンカラー(モノトーンもあり)が用意され、1972年にはポップアップルーフを備える「デリカキャンピングバン」も追加されるなど、すでに1970年代の時点で現在のミニバンのような使い方を想定していたのには驚かされる。

そして1974年になるとマイナーチェンジが入り、ファニーな丸目2灯から、モダンな雰囲気のダーク系のグリルに4灯式ヘッドライトが埋め込まれたタイプへと変更がなされた。

2代目デリカ・スターワゴン(1979年デビュー)

2代目になると車名が“デリカ・スターワゴン”へと変更。これはまさにワゴンの一番星になるようにと願いが込められた名前となっていた。実際、ボディサイズは5ナンバー枠いっぱいまで広げられ、エンジンも1.6リッターへ拡大。

1980年には新たに1.8リッターエンジンとハイルーフ/サンルーフ仕様車を追加し、翌年には最上級グレードにコラムATやパワーステアリング、反転式対座シート、マルチサウンドコンポなどを装着してレクリエーションビークル(RV)としての魅力を年々増していった。

そして1982年10月には、小型キャブオーバー車としては日本初となる4WD車を追加。初代パジェロ譲りのハイ/ローレンジの切り替えができるトランスファーを採用したパートタイム方式で、フリーホイールハブやリアLSD、電動ウインチといった本格的な装備もオプションとして設定されていた。これが現在まで続くデリカの“SUVミニバン“のイメージのスタートとなっている。

ちなみに、こんにちまでデリカの冬の風物詩となっている特別仕様車“シャモニー”もこの2代目デリカの時に登場している(1985年10月)。シャモニー(Chamonix)の名前の由来は、フランス・モンブランの麓にあるシャモニー=モン=ブラン(Chamonix-Mont-Blanc)という地名で、5代目デリカ・シャモニーのバッジにはモンブランのイラストが描かれている。

3代目デリカ・スターワゴン(1986年デビュー)

それまでのフレーム付ボディからモノコックボディへと大きな変貌を遂げた三菱 デリカの3代目だが、衝突安全性の向上や室内のウォークスルーを実現するセミキャブオーバー式とはならず、引き続きフルキャブオーバー式を採用している。

しかし、モノコックボディとなったことで、ボディ剛性や軽量化に配慮することが可能となった。また、デザイン面でも先代の角ばったものから、やわらかなカーブ形状で構成された「ソフトキューブスタイル」と呼ばれる新デザインが採用されている。

3代目デリカの4WD車は、先代と同じく徹底したオフロード性能と快適性を追求し、ホワイトで統一したフロントガードバー、サイドステップ、リアアンダーガード、15インチホイールを装着し、精悍なイメージを強調。一方の2WD車のハイルーフ車には、後席ルーフ左右をガラス窓とした「クリスタルライトルーフ」及びフロントサンルーフをオプション設定し、明るく開放的な居住空間を実現して、商品力をアップしていた。

1989年には2.4リッターガソリンエンジンを追加し、2WD車のみだったハイルーフ及びクリスタルライトルーフ車を設定。1993年2月には今回、デリカD:5にも設定された特別仕様車“ジャスパー”が初登場している。

なお、3代目デリカは4代目登場後も1999年まで併売されていた。また、3代目デリカをベースにした車両は現在でも台湾の中華汽車にて生産が続けられ、現行車種となっている。

4代目デリカ・スペースギア(1994年デビュー)

先代となるデリカ・スターワゴンが併売されていたこともあり、4代目デリカは“スペースギア”という名前が付けられている。これは日常生活やレジャーのための身近なギア(道具)感覚で愛着を持ってもらえるようにと、この名前が与えられている。

4代目ではついにフルキャブオーバー式からフロントエンジンレイアウトを採用。これによりフラットフロアとなり、ウォークスルーや多彩なシートアレンジも実現している。実は、開発当初は先代と同じフルキャブオーバー式で行く予定だったが、1989年の東京モーターショーに展示されたトヨタ エスティマの先進的なレイアウトを見て、「このままでは太刀打ちできない」と急遽レイアウトを変更したという逸話が残っているそうだ。

搭載されるエンジンは、現時点ではデリカシリーズ唯一のV6エンジンとなる6G72型3リッターエンジンを始め4種類が設定され、ボディサイズもハイルーフと標準ルーフの違いだけではなく、全長の異なる標準ボディとロングボディが用意され、かなりのワイドバリエーションとなっている。

1999年には時代のニーズに合わせ、両側スライドドア車を新たに追加し、2002年には平成12年排出ガス規制が施されたV6・3リッターガソリンエンジンの4WD車にラインナップを集約して2007年のデリカD:5登場まで販売が続けられていたロングセラー車だった。

なお、旧型の3代目デリカが併売されていたことによって商用バンがややこしい状態になり、3代目がデリカバン、4代目がデリカカーゴという名前で併売されていた。さらに4代目のモデル途中の1999年にデリカの商用車シリーズのみ、マツダ・ボンゴのOEMとなり、より一層ややこしさに拍車をかけている。

5代目デリカD:5(2007年デビュー)

2005年の東京モーターショーに登場した「Concept-D:5」のイメージを踏襲した5代目デリカが登場したのは2007年1月のこと。「D:5」とはデリカの5代目モデルという意味のほか、「5」はミニバンシリーズのラージサイズカテゴリーも示している。

ミニバンの優しさとSUVの力強さの融合をテーマにした5代目デリカは、乗員をしっかり守るボディ構造として、環状骨格構造の新開発「リブボーンフレーム」を採用し、自動車アセスメントの衝突安全性能試験総合評価は最高6スターを獲得している。

4WDシステムにはデリカ初の電子制御4WDを採用し、路面状況や走行条件に応じて、前後に駆動力を自動で適切に配分することを可能としている。デビュー当初は4WDのみのラインナップでエンジンも2.4リッターのみだったが、2007年5月には2WD車が、2010年1月には2WD車に2リッターガソリンエンジンがそれぞれ追加されている。

2013年1月には歴代デリカユーザーからの根強い要望に応える形で、2.2リッタークリーンディーゼルエンジン搭載モデルを追加。デリカらしい高い走破性とディーゼルエンジンの力強い走りが融合する形となっている。そして、2018年4月にデリカD:5としては初めてエクステリアデザインに変更がなされ、より一層力強くアクティブなイメージのフロントフェイスとなった。

[Text:小鮒 康一/Photo:オートックワン編集部]

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小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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