メルセデス・ベンツ 新型Gクラス「G350d」 試乗|新しい“G”にはディーゼルこそが相応しい(2/2)

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非常にパワフルだが荒々しさは微塵も感じさせない

ソフトにアクセルを踏み込んだだけで、2.5tのボディはスムーズに走り出す。

1200rpmという低い回転で600Nmもの最大トルクを発揮するエンジン特性には粗雑さがまったくなく、9速となったATのスマートなシフト制御によって、素早く速度を乗せて行く。それは実にしつけが行き届いた、上質な加速である。

出足におけるマナーの良さに感心しながらアクセルを踏み込むと、パワー感が着実に盛り上がって行った。

ただパンチ力という点においては、S400dほどの圧倒感はなかった。もちろんこれは、Sクラスに対しおよそ300kg以上の車重の違い(4WDモデル比)が大きく影響しているのだろう。

単純に速さを求めるならばやはり、先行発売された「G63」(585PS)や、「G550」(422PS)の4リッターV8ツインターボを選ぶべきである。

しかしこの、トルクで走らせる実用的な粘り腰こそ、Gクラスのキャラクターには合っていると私は思う。

新型Gクラスのキャラクターにディーゼルがマッチする理由とは

Gクラスは5代目へと生まれ変わる際に、大幅にオンロード性能を向上させた。その全てを書き連ねることはできないが、まずボディはひとまわり大きくなって、室内空間が本当に快適なものとなった。先代はコマンド・ジープ由来のタイト感がマニアックだったが、車体の割に室内空間はちょっと狭かったのだ。しかし新型では運転席と助手席の距離感が適切なものとなり、良い意味で室内が広くなった。

さらに足回りはフロントサスペンションがリジッドアクスルからダブルウィッシュボーン化され、ラダーフレームながらも快適な乗り心地と素直な回頭性を得た。またステアリングもラック・アンド・ピニオン式へと改められ、コーナーで切ったハンドルを自ら戻すような、ウォーム・アンド・ローラー式の独特な操作を強いられなくなった。

そんな本格クロカン4WDの性能と見た目を維持しながらも、その操作性をSUVの域にまで高めたGクラスには、今回のディーゼルエンジンがベストマッチだ。

ある意味“味わい”として乗り手が受け入れていた先代の、やや緩慢な操縦性とディーゼルユニットの組み合わせは、より冗長さを上乗せするようなところがあった。

しかしより現代的な扱いやすさを得たシャシーにディーゼルユニットを組み合わせることで、真の意味でG350dは穏やかなキャラクターを得たと思うのだ。

とはいえそのハイポジションな着座位置が織りなす運転は未だにアドベンチャー感が強く、これがなまくらに乗用車化されたのではないことは保証する。

“昔のクルマ”を現代の技術で復活させた稀有な実例

よくクルマ好きの間で、「昔のクルマを現代の技術で復活させたら最高なのに!」という話をするのだが、G350dはまさにこれを実践した一台だ。

スクエアなルックスはレトロ感たっぷりだが、LED化したヘッドライトがその印象を現代的に引き締める。さらに室内へと乗り込めば、現行メルセデスの標準様式である12.3インチモニターの二丁掛けが、フルデジタルな近未来感を演出する。

レトロな乗りものを未来的に仕上げる様は、ジブリやアキラの世界観である。一見するとその組み合わせはミスマッチに思えるが、だからこそ極端なギャップが最高にかっこいい。

こうした現代化がスポーツカーなどよりすんなりできたのも、Gクラスがクロスカントリー4WDだからだろう。サイズアップしても違和感がなく、駐車場問題以外ではこれが歓迎されるからだと思う。

そして何よりメルセデスが、長らくGクラスのキャラクターを守り抜いてきたからこそ、これが可能となったのである。

そんなGクラスにとって今回のクリーン・ディーゼルは、価格のバランスと共にベストマッチする。先代は7割以上のユーザーがG350dを選んだというが、新型でもそれは変わらないはずである。

[筆者:山田 弘樹/撮影:MOTA編集部]

>>Gクラスらしさを維持しながらモダンに生まれ変わったメルセデス・ベンツ 新型Gクラス「G350d」を画像で見る

メルセデス・ベンツ Gクラス G350d 主要スペック比較表

車種名

Gクラス

グレード名

G350d

価格(消費税込み)

1192万円

全長×全幅×全高

4660mm×1930mm×1975mm

ホイールベース

2890mm

駆動方式

4WD

車両重量

2460kg

乗車定員

5名

エンジン種類

直列 6気筒 DOHC ディーゼルターボ

総排気量

2925cc

エンジン最高出力

210kW(286PS)/4600rpm

エンジン最大トルク

600Nm(61.2kg・m)/1200rpm

トランスミッション

9速AT

使用燃料

軽油

燃料消費率(JC08モード燃費)

--km/L

燃料消費率(WLTCモード燃費)

9.9km/L

燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)

7.9km/L/9.8km/L/11.2km/L

タイヤサイズ

265/60R18[標準仕様]

メルセデス・ベンツ/Gクラス
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新車価格:
2,110万円2,110万円
中古価格:
340万円2,798万円
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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

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