メルセデス・ベンツ CLA 海外試乗レポート/小沢コージ(2/2)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
今を捨てて未来を取る作戦なのか?
走りは基本、これまたAクラスと共通で車重、特にリアが30~35kg分増えてる分、主にダンパーチューニングを変えてあり、若干硬めになっている。
だが、乗り味は実質Aクラスと同程度を狙っており、さらに日本仕様に搭載されるエンジン「CLA180」に搭載される、122hp&200Nmのピークパワー&トルクの直噴1.6リッター直4ターボや、「CLA250」に搭載される同じく211hp&350Nmの直噴2リッター直4ターボも当然Aクラスと同じ。ギアボックスも7速G-DCTと同じで全車アイドルストップ機能付きである。
で、これがまたかなりスポーティなのだ。新型Aクラスからしてヨーロッパで乗った時から本質はしっかりめでダイレクト、いい路面では滑らかという感じだったが、それがほどよく熟成された感じになっている。
基本はしっかりめ。日本のかつての高級車みたいにユルユルなところはなく、しかりAクラスで時折見せたゴツゴツ感が減っている。
さらにステアリングフィールはFFらしからず非常にナチュラルで破綻無く、しっとりとした質感と共に全スピード域で確実に効く。
エンジンはスペックほど低回転からトルクがドカンと出る感じはないが、自然とスピードが出ている。全体に今までの古典的メルセデス風味を感じさせつつも、極力スポーティに見せているフシが伺える。
要は老舗のレストランの味なのだが、しっかりと現代的な演出がなされているのだ。 そして結果、全体としてはCクラスとはまるで違った商品になっている。というのも優先順位が露骨に違うのだ。最も大切なのは「カッコ」、次に「走りのキモチ良さ」が来て、最後に「実用性」と続く。
昔はまずは「実用性」と「走り」があって、最後に「カッコ」が来たが、まるで反対。確かにメルセデス・ベンツではあるが、今までのメルセデスとは全然違うのだ。
そして恐ろしいのは、今後このクラスがCクラスを喰う可能性があることだ。最大のキモは価格で、欧州でCLA180が2万8977ユーロから。日本でもおそらく300万円前半から発売されるであろう。これはほぼ400万円から始まるCクラスと比べ、かなり安く、こちらに移行する客の多さが想像できる。
もちろん、リアシートの広さを考えるとダンゼンCクラスだ。だが、この新しくもメルセデスらしいデザインや走りを考えると、間違いなく若い人はコチラを指向するだろう。
なんというか世界に増えつつある“ちょっとリッチなカッコつけヤングファミリー”がこの方面に進むかもしれないのだ。
世界的に少子化が進む現代。もしこのクルマがトレンドとなれば、クルマ界はまた少し変わるに違いない。
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