コネクテッドカーでどんなことができる? 通信カーナビや走行情報を活用した自動車保険の割引サービスなども増えている
- 筆者: 山本 晋也
- カメラマン:和田清志/トヨタ自動車/日産自動車
最近では、つながるクルマ=コネクテッドカーの普及が進んでいる。ドライバーにもさまざまなメリットがあるコネクテッドカーだが、一体どのようなものを指すのか、またどのようなメリットがあるのかを紹介したい。
コネクテッド分野は今大きく進化してきている
よく言われる「自動車業界100年に一度の変革」については「CASE革命」といった表現をされることもある。このアルファベット4文字が示しているのは「コネクテッド・オートノマス・シェアリング・エレクトリック」であることはご存知の通りだ。
オートノマス(自動運転)やエレクトリック(電動化)については、どのようなメカニズムで、どんな利便性があるのかは理解している人も多いだろうし、シェアリングについてはすでにビジネスとして広まっている。そこで今回は、コネクテッドの部分にフォーカスして、その現在と未来を見ていくことにしよう。
まずはコネクテッドカーの定義だが、総務省の資料によれば『ICT端末としての機能を有する自動車のこと』である。
ICT端末というのはスマートフォンや通信機能を持ったタブレットなどを主に指す言葉で、車両自体が通信機能を持ち、車両の状態などのデータをやり取りできる機能を有したクルマをコネクテッドカーと呼ぶのが適切といえる。
カーナビもスマートフォンとつなげるサービスが普及している
通信型のカーナビ(テレマティクスナビ)も最新の地図データや道路状況といった情報をサーバー側から取得し、それを目に見えるかたちでサービスとして提供するという点においては広義のコネクテッドカーといえる。
移動速度やルートから渋滞の状況であったり、走行可能な道路情報を提供したりということはテレマティクスナビが普及しているからこそ可能になっている情報サービスだ。
ただし、通信カーナビというのはスマートフォンを車内に置いてナビとして活用しているのと重なる部分もあり、コネクテッドカーというよりも据え置き型のICT端末という風に理解もできる。そう考えると、通信型ナビをつけているだけでコネクテッドカーとして評価するのは難しい面もある。
なぜなら、コネクテッドカーとというのは車両情報などを、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されているからだ。
SOSコールが自動で使えるのも車両情報とリンクしているからこそだ
たとえば、最近では装着車両が増えている「SOSコール」だが、ドライバーなど乗員がスイッチを押して救援を要請するという機能だけであれば、単なる電話サービスに過ぎない。
その際、同時に車両の位置情報を自動的に通知できるのがコネクテッドな要素である。さらにいえば、エアバッグが展開するなど大きな事故が起きたときに自動的にSOSコールを発信するというのは、車両情報とリンクしたコネクテッドカーならではの機能といえる。
自動車保険料が安くなる仕組みも!
自動車保険についてもコネクテッドカーが前提になれば大きく変わる可能性がある。現状では交通事故などを起こしてしまうなどして、保険金の支払いがあったかどうかで、保険等級が変わる仕組みとなっている。
コネクテッドカーによる情報提供が損害保険会社になされるようになれば、事故リスクの少ない運転をしているドライバーは保険料が安くなり、逆に危険な運転をするドライバーは保険料が高くなるといったビジネスモデルになり得るのだ。
実際、トヨタではコネクテッドカー用の損害保険「つながる車」は2022年1月から東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損保ジャパンの大手3社でも取り扱いが始まっている。
ここまでは現時点ですでに普及が始まっているコネクテッド機能について触れてきた。次回は、コネクテッドを活用した盗難対策やさらに進化したコネクテッドによって期待されるOTAについて紹介しよう。
【筆者:山本 晋也】
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