湖の氷の上をFFミニバンで爆走! 誰でも楽しめる氷上トレとは(1/2)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:オートックワン編集部
新型スタッドレスで氷上性能を試す!
ゴール地点のパイロンボックスが近づく。「もうブレーキ踏んで!」
ゴゴゴゴゴ…っと唸るABSの作動音。「完全停止させるためにはABS任せにしないで、ブレーキ踏力を若干緩める方がいい。よし、良い感じ」……タイムは!?
「2分17秒6!!!」
……なっ!? マジか!!
>>PROSPEC Winter Driving Parkの様子を写真でみる
「氷上トレーニングに行きませんか?」
と、オートックワン編集長のY氏が嬉しそうに電話を掛けてきたのは1月下旬のこと。なんでも話題のスタッドレスタイヤ「iCE GUARD iG60」(通称:アイスガード6)を新調したから、その走りを確かめてみたい! というのである。
確かに横浜ゴムのアイスガード6は、昨今の激しいスタッドレス戦争においても傑出した存在。いまユーザーに最も求められている氷上性能の高さはもちろんだが、大げさにいうと雪上でも夏タイヤのように、自然なハンドリングで走れてしまう素晴らしいスタッドレスである。それだけに、雪道や氷上の走り方に慣れていないY編集長にもアイスガード6の真価をバッチリ体感してもらうのはよいことだと思った。
また筆者はここ数年、仕事以外でも個人的に年初は氷上を走ることにしている。雪上よりもさらに路面μが低い氷上を走ることで、ハンドルやブレーキ、アクセルといった操作系を繊細に操作する感覚をカラダへとしみこませるのは、一年のいいスタートになるのである。
というわけでY編集長には二つ返事でOKを出したのだが…。これが最終的に、プロドライバーやラリースト、プロのトレーナーたちをも巻き込んだトライアルとなってしまうとは、思いもよらなかった。
毎年抽選になるほど人気の氷上トレーニング
今回訪れたのは、長野県佐久群立科町にある「女神湖」。参加したのは「2018 ice GUARD6 & PROSPEC Winter Driving Park」というイベントである。
このイベントはプロスペックが主催する氷上トレーニングで、その歴史はもう20年以上の実績を誇っている。そのカリキュラムは後ほど詳しく説明するが、プロにアドバイスをもらい、ときに同乗試乗してもらえることから毎年かなりの応募者が殺到し、抽選になってしまうほど人気なのだという。
それもそのはず、これを主催するのは元ラリードライバーでAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会長でもあった日下部保雄さん。われわれモータージャーナリストの大先輩であると同時に、モータースポーツを通してヨコハマタイヤの開発にも深く携わってきた氏が主催しているイベントだから、とにかく走って楽しいメニューが盛りだくさんなのである。
さて今回Y編集長が持ち込んだ車両は、FF(2WD)のホンダ ステップワゴン。
読者のみなさんは「こういう走りのイベントにスポーツカーや4WDセダンで参加しなくてダイジョブなの!?」と思うかもしれないが、ミニバンだって楽しめる。それこそが氷上トレーニングの良さである。
参考までにこのトレーニングに参加するクルマの資格は、車重が2トンを上回らないこと。これは当然ながら、湖面に張った氷を割らないためだ。そして当日は気温の上昇が心配されるくらい快晴な空模様となってしまったが、氷自体は厚みが40cm相当というベストコンディションとなった。
気温こそ低めだけれど、雪がまったく降らなかったこともあって、湖上は視界がクリアな巨大スケートリンク状態。通常なら雪壁で導線を作ったりするところが、全てパイロンによって仕切られていた。
コースには湖面の約半分ほどを使って「ブレーキング&スラロームエリア」と「アクセルワークエリア」、そして「ハンドリングエリア」の3セクションが設けられており、ここにインストラクターが常駐して、参加者の運転を見ながらアドバイスをしてくれる。
当日の参加台数は20台。3チームに分かれ午前/午後4セッションを走り、最後は「カーチェイス」とハンドリングコースを利用した「タイムアタック」のアトラクションで締めとなる。筆者がこのレッスンに参加して素晴らしいと思ったのは、一日たっぷりと走れてしまうこと。しかも1セッション/1時間のなかでなら、どのコースへ行っても構わない、という自由な方法が採られていたことだった。
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