ホンダF1が後半戦から投入予定の次なる“タマ”は準備ができた!どうなるF1戦線(2/2)
- 筆者: 山口 正己
今シーズンの勢力図ではメルセデスが圧倒
当然、コースの違いによって、成績に違いが出る。簡単に言えば、まっすぐに走るだけなら基本的にエンジンパワーの優劣で勝負は決まるけれど、サーキットは、元々“回路”という意味、まっすぐだけでなくカーブもある。
そうなると、コーナリング性能の違いが速さや、脱出してからの加速力やブレーキングの能力が差になってくる。コーナーのスピードは、車体のポテンシャルで決まるが、エンジンと車体の組み合わせの得手不得手が出る。
今シーズンの勢力図では、まずはメルセデスがトップに君臨し、レッドブルとフェラーリがそれを追う形だ。この序列は、どのコースでも同じ。メルセデスは、どこでも速いが、レッドブルとフェラーリの力関係は、コースによって、変動する。
そして気になるのが、マクラーレン・ホンダのポジションだ。得意なコースがもちろん存在する。マクラーレン・ホンダは、ハンガリーGPの週末、全セクションでフェルナンド・アロンソが7位という結果を残した。トップ3に続く位置だ。マクラーレン・ホンダが得意なコースだったということだ。
しかし今後、どのコースでもそのポジションかと言えばそうではない。コースによってポジションは違ってくる。8月9日のインタビューで、ホンダF1レーシングの長谷川祐介F1プロジェクト総責任は、復帰初年度より格段に進化したマクラーレン・ホンダのポテンシャルについて、「エンジンパワーだけで言えば、現状はメルセデス、フェラーリ、ルノーに次いで4番目」と厳しい見かたをしているとコメントした。
ホンダの次の“タマ”はベルギーGPから実戦投入?
ハンガリーGPで7番手だったのは、平均スピードが比較的低く、新舗装された路面がスムーズだったからだ。つまり、8月27日決勝のベルギーGP以降(スピード比較表の☆印)を見ると、マクラーレン・ホンダの活躍が期待できそうなレースが見えてくる。
まずは、平均速度が低めのメキシコGPやシンガポールGP。シンガポールのマリナ・ベイは、路面がバンピーだから若干苦戦を強いられるかもしれないが、スーパーハイスピードのイタリアGPやベルギーGPよりも期待値は高くなる。とはいえ、ハイスピードコースで「まったく太刀打ちできないと諦めているわけではない」と長谷川F1プロジェクト総責任は言った。
すでに確認段階になっている次の“タマ”を投入する準備ができているからだ。その“タマ”は、早ければ後半戦の開幕となるベルギーGPから実戦投入できるかもしれない。
今シーズンの目標を、トップ10が残る予選Q3進出に置いていたホンダは、まずはそこを突破した。新たな“タマ”を投入したからといって、いきなり優勝戦線には加わるわけではないが、トップ3に続くポジションには期待したい。
高速だがテクニカルな10月9日の鈴鹿に向けて、ホンダの後半戦の行方が気になり、ますます寝苦しくなる夏である。
[Text:山口正己]
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