新型プレリュードの予想価格は550〜600万円? ディーラー取材で判明「買いたくても買えない」理由とは
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:佐藤 正巳/小林 岳夫/森山 良雄/和田 清志/本田技研工業/トヨタ自動車/MOTA編集部
発売が近づくホンダ 新型プレリュード。その全貌が明らかになるにつれ、最も注目を集めているのが「予想価格」でしょう。
販売店などへ取材を行ったカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんによると、新型プレリュードの予想価格は550万〜600万円。なぜ高価となるのか、その理由について専門家の視点で徹底解説します。
さらに気になるのは「購入できるのか」という点でしょう。そこで販売店への取材で明らかになった販売方法と狙い目の入手方法についてもまとめました。
予想価格は550万~600万円!ライバルはフェアレディZ
ホンダ 新型プレリュードの予想価格は550万~600万円となる可能性が濃厚です。
この価格は、歴代モデルを知るファンほど驚きが大きいでしょう。例えば、1996年発売の5代目プレリュード「SiR タイプS」の価格は約265万円。日本の平均所得が当時と大きく変わらない中、新型は約2倍の価格帯と予想されます。
開発者は「2代目や3代目のプレリュードをご存知の方にも新型に乗って欲しい」とコメントしていますが、当時を知るファンにとっては、この価格設定に大きな隔たりを感じるかもしれません。
さらに、この価格帯は現行の日産 フェアレディZ(ベーシックグレード:549万7800円、快適装備が備わるバージョンT:595万9800円)とほぼ同等です。
かつてのスペシャリティクーペが、国産本格スポーツカーと肩を並べる価格になるというのも、時代の変化を感じさせます。
新型プレリュードはなぜ高価に? 価格を裏付ける3つの理由とは
では、なぜ新型プレリュードは600万円に迫る高い価格設定となるのでしょうか。その理由を3つ解説します。
理由1:タイプR譲りの本格的な足回り
新型プレリュードのプラットフォームはシビックがベースですが、その成り立ちはノーマルグレードとは一線を画し、スポーツモデルである「タイプR」と極めて高い共通性を持っています。
まず、全幅1880mmというワイドなボディは、シビックタイプR(1890mm)に匹敵します。これはトレッド(左右のホイール間隔)がタイプRに準じていることを意味し、コーナリング時の高い安定性の基盤となります。さらに、走行モードの選択に応じてショックアブソーバーの減衰力を変化させる「アダプティブダンパー」も装着。これもタイプRに準じた高度な装備です。
そして最も注目すべきは、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)です。シビックの2735mmに対し、プレリュードは2605mmと、実に130mmも短縮されています。 これにより、峠道などでは車両の向きを機敏に変えることが可能になります。
その半面、短いホイールベースは走行安定性の確保が難しくなり、特に制動しながらのコーナリングでは後輪の接地性が下がりやすくなります。 しかし、開発者によると「もともとシビックはボディ剛性が高く、プレリュードではタイプRの足まわりを組み合わせました。サスペンションの設定も煮詰めているため、走行安定性も十分に確保されています」とのこと。高度なシャシー性能と緻密なセッティングが、この価格の理由の一つなのです。
理由2:新感覚の走りをもたらす最新e:HEV
パワーユニットは、直列4気筒2Lエンジンを主に発電に用いるハイブリッド「e:HEV」です。しかし、これも既存のシステムに留まりません。
最大の特徴は、スポーツモードでパドルシフトが使える「S+シフト」の存在です。
e:HEVは構造上、高速巡航時以外はエンジンが直接タイヤを駆動することはありません。にもかかわらず、減速側のパドルを操作すると、エンジン回転数が高まってタコメーターの針が跳ね上がり、モーターによる回生ブレーキの減速感も強まります。
実際にエンジンとホイールは繋がっていなくても、あたかもエンジンブレーキをかけたかのようなエンジン駆動車風の制御を擬似的に演出。ホンダはこのシステムによって、e:HEVならではの「非日常的なクルマの楽しさ、操る喜び」を表現しています。単なる燃費志向のハイブリッドではない、専用開発のシステムが搭載されているのです。
理由3:快適性と実用性を両立した専用設計
プレリュードは、クーペとしての非日常感だけでなく、日常の使い勝手にもコストをかけた専用設計が施されています。
前席の着座位置はシビックと基本的に共通で、クーペとしては高め。スポーツカーにありがちな乗り降りのしにくさを解消しています。
さらに驚くべきは、運転席と助手席でシートの造りが明確に異なる点です。
運転席はドライバーの体を支えるべく両側のサポートが相応に張り出しますが、助手席はあえてサポートを控えめにし、拘束感を抑えリラックスできる座り心地を重視しています。シートもサポートのでっぱりが小さいため、スカートを履いた方でも乗り降りがしやすいでしょう。
クーペでは荷物置き場になりがちな後席も、大人の着座を想定。頭上と足元の空間は狭いものの、後席乗員の足が前席の下に収まりやすいため、片道15分程度の距離なら4名乗車も可能です。
視界にも配慮されており、インパネの上面が平らで前方を見やすく、ボンネットも視野に収まるため、ボディの先端位置や車幅も分かりやすい設計です。これもまた、操る喜びにつながる重要な要素と言えるでしょう。
エクステリアにおいても、オプションのテールゲートスポイラーは「空力効果はあまり狙っていない」というファッション的な位置づけで、スタイルへのこだわりが伺えます。
これらの細部への作り込みが、価格に反映されているのです。
販売店を取材! 購入は抽選? 狙い目は「Honda ON」
新型プレリュードは生産は国内の寄居工場で行いますが、関税に支障がなければ北米と欧州を中心に販売され、日本での販売台数は生産総数の15%程度です。つまり海外向けのクルマです。
そのため価格だけでなく、入手難易度も高くなる可能性が指摘されています。ある販売店の関係者は、その内情を次のように語ります。
「新型プレリュードの売り方は、ほかのホンダ車とはかなり違います。国内の割り当て台数が非常に少なく、当初は1店舗に1台、あるいはそれ以下です。したがって購入できるお客様を抽選で決めるとか、今まで弊社と付き合いのあるお客様に限るなど、限定的な販売方法になる可能性があります。誰でも自由に買えるクルマではなさそうです」
この現場の声を踏まえると、ホンダ販売店との付き合いがないユーザーにとっては、オンラインストアの「Honda ONリミテッドエディション」が狙い目となりそうです。こちらは先着順での受付となるため、2025年9月と予想されるサイト公開後、 迅速な申し込みが鍵となります。
高価となった新型プレリュード、価格に見合う価値はあるか
新型プレリュードの「550万〜600万円」という価格は、一見すると高価に思えます。しかしその背景には、タイプR譲りの走りや最新のe:HEV、そして快適性を追求した専用設計など、価格に見合うだけのこだわりが凝縮されていることがお分かりいただけたでしょう。
スポーティな走りと日常の快適性、そして優れた燃費と操る喜び。このように相反する要素を高い次元で両立させるアプローチは、かつてのCR-Xや初代プレリュードから続く、ホンダの伝統的なクルマづくりそのものです。
新型プレリュードは、その伝統の延長線上にありながら、単なる過去の名車の復活に留まりません。これは現代の技術で「スペシャリティクーペ」というジャンルを再定義する、ホンダの挑戦と言えるでしょう。
高価で入手困難なモデルとなりそうですが、その価値を深く理解するファンにとっては、まさに待望の一台です。だからこそ、その熱意に応え、一人でも多くのファンの手に届くような配慮を期待します。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。


















