ホンダ 新型N-VAN 試乗│誰もが子供の頃に思い描いた夢を実現してくれるクルマ

◯◯◯になりたい、が本当に叶えられるクルマ

国内累計販売台数200万台越えを誇る、ホンダの大人気軽自動車「N」シリーズが手掛けた次の一手は「軽バン」、つまり商用ベース車。その名もズバリ「N-VAN」だった!

これがもう、なんというか、ものすごく心くすぐられるパッケージなの(悶絶)。商用とか自家用とか、そういう線引きを一挙に越えて「なにこれイイ!欲しい!」と思わせるパッケージ力。

この魅力の源がどこにあるのかと考えたらば、“夢の実現”というキーワードに行き着いた。新型N-VANを前にしたら、きっと誰もが子供の頃に思い描いた夢を、もう一回見直しちゃうんじゃないかと思う。

お花屋さんになりたかった。

パン屋さんになりたかった。

深津絵里ちゃんみたいな移動式カフェやりたい(これ私の夢!笑)。

もしくは、スナフキンみたいに、流浪の民になりたかった(これもいいなぁ)。

それらの夢に必要な空間と使い勝手が、そして起業時にはきっと乏しいはずの経済力をアイディア次第でビジネスチャンスに変えてくれる機動力が、新型N-VANには実現可能な“現実”として詰まっている!

いや、夢物語じゃない。新型N-VANを相棒に本当に叶えちゃう人、今後たくさんいると思うのです。

>>仕事仕様から車中泊仕様まで!新型N-VANを画像でチェック(168枚)

オフロードバイクや段ボール71個、ビールケース40個が詰める積載性

まずご覧下さい、このスペース!これだけあればどれだけのモノを積めるのかと言えば、なんと段ボール71個(380mm×310mm×280mmのもの)、ビールケースなら40個という、異次元の収納力。ね、カフェだって車中泊だって、なんだって出来ちゃいそうでしょう。

実際に毎日軽バンを使用して仕事をしている“プロ”たちに会いに行き、クルマを見せてもらい、そして取材をすることで見えた「本当に使いやすいプロユースの軽バン」を実際作ったらこうなりました、という究極の形状は、趣味方面だって守備範囲だ。

たとえばさすがホンダ、2輪との親和性も極めて高く、オフロードバイクとして人気の高いCRF125Fなんて、軽々と飲み込んでしまう。

ちなみにオフロードバイクって、重量こそ軽いけれど、車高も高いしそれなりのサイズ感がある。CRF125Fは全長1,860mm×全幅770mm×全高1,075mm。これがまるっと入る。驚愕。もう維持費も高価な登録車のワンボックス積載車なんて要らん!と思うライダーも多そうだ。

簡単で操作で、サクサクシートアレンジ

使い勝手に多様性があるからこそ注目したいのは、使い手を選ばない、シートアレンジの簡単さだ。

まず助手席、後部座席ともにフルフラットにするためにはヘッドレストを取り外す必要があるのだけど、助手席のものは助手席側のドアポケットに、後部座席のものはリアゲート付近に専用の収納スペースが用意されていて無くす心配ナシ。

それから、シートアレンジに必要なレバーやベルト状フックなどはすべてオレンジ色になっていて視覚的にもかなり解りやすく、取扱説明書を読まなくてもサクサクとシートを畳める。

これ、デザインとして黒一色の内装にオレンジのアクセントがピリッと効いてオシャレだし、さらに操作も解りやすくしているなんて、ダブルミーニングで素晴らしい!とデザイン担当の方に言ったら、実はこのオレンジという色、デザイン以上の効果があり、色弱者に最も見えやすい色なんだそう!もっと上行く理由が存在したことに感激してしまった。

アレンジ自体もシートが軽く、女性の私でも鼻歌がてら片手でOKの楽チンさで、これも嬉しい。

ただ、完全なるフルフラットにするために必要な、助手席と後席の隙間を埋めるために必要な“ブリッジボード”の機構だけ、扱いにコツが要りそうだ。

着座状態のときには助手席の下に収納出来るのだけど、これが案外フレキシブルでなく、ちゃんと垂直に差し込まないとナナメに刺さって中で引っかかり、引き出すのに案外手子摺ってしまう。改善希望!

N-BOXと同じFFレイアウトにより低床化を実現

もう一つのウリ、助手席側のピラーレス大開口。

すでに他車トール系軽ワゴンでも存在する手法だけれど、軽バンではもちろん初めてとなる。この背高で見ると、開口の迫力がもんのすんごいことに!

実用例として、具体的になにがすごいって、コレがあれば先述のバイクだって、モノによれば頭から入れて頭から出せるかもしれない!ってこと!

私、バイク乗りの端くれだが、どんなに車重の軽いバイクだって、取り回しには毎回不安がつきまとう。リアゲートからバックでそろそろ&ヨロヨロとビビりながら重いバイクを出さなくていい、それだけで立ちゴケ(というか運搬中ゴケ)に対する不安要素が半分くらいは必ず減る!

バイクが出入れできるくらいなんだから、人や荷物は言わずもがなだ。

それから、その積載のしやすさには、“低床”という事実も貢献し、これも地味にスゴい。荷物の積み降ろしのしやすさ、人間の乗降性、どちらも低床でないとやや不便だし。

これらの新型N-VANのセールスポイント

1.大積載量

2.大開口

3.低床

を叶えるため、新型N-VANはN-BOXのプラットフォームをベースとしつつも、専用設計がなされている。

従来、軽バンでは、運転席を前端に配置させて荷室を長く取るために、床下にエンジンをレイアウトすることが多い。

それを2代目N-BOXと同じFFレイアウトにすることで低床を叶えている。FF化によって犠牲になった室内長分は、ホンダの特許技術であるセンタータンクレイアウトや工夫されたシートレイアウトでカバーしているのだ。

この低床・低重心が、走りにもかなりの好影響を及ぼしていることにも言及しておきたい。

日常的に±400kgの重量変動をする軽バンならではの使われ方を研究し、セッティング

試乗ではNA、ターボ、(双方CVT)に試乗が叶ったのだが、どちらもコーナリング時のふらつきが背高のわりにはかなり抑えられていて驚いた。

ターボは空荷、NAは「平均的にこれくらいの荷物を積んでいるというユーザーデータから算出し、この重量でサスペンションのセッティングを行ないました」という100kgのウエイトを積んだ状態での試乗になったのだが、どちらもキャビンはいい感じにフラット。ロール軸があまり高い位置にないからこそ叶えられる、スッと切れ味のいい旋回だ。

だからといってもちろんガチガチではなく、軽バンにありがちな、空荷だとバンバン荷室が跳ねるようなチープさとは無縁。これも、“1名乗車のときもあれば2名乗車フル積載もあり、日常的に±400kgの重量変動をする”という軽バンならではの使われ方を研究し、セッティングを出した恩恵なのだとか。

特にリアのトーションビームは、ベース車であるN-BOXよりも大幅に強化し、幅の広いスプリングレートを得られるようにしている。

他にも専用フロア構造やハイテン化、軽商用トップクラスの出力を誇るエンジンに同社初となる商用車用CVTなど、走りに妥協は一切なし!

結果的に室内空間は至極静かで、技術のすべてが静粛性にも高く貢献しているのだけど、「商用車だからこそ、ハンズフリー通話に耐えられる静粛性を求める声が大きかったのです」との言葉にハッとした。仰る通りでございます。仕事のクルマで仕事が取れなきゃ意味ないですもんね!

商用ベースながら、シンプルなのにどこかヒネリの効いたデザイン

気になる「NA、ターボどっちがいいのか問題」だけど、結論から言えばNAでも静かでパワフルでしたよ、ということ。

取材当日は車外温度が35度を越える猛暑日。よって、クーラーもフル使用で、私、カメラマン小林せんせ、そして編集部モッチーの3人乗車。

NAはさらにこれに100kgのウエイトを搭載した状態だったのだけど、坂道もしっかり登るし、後ろから押したくなるくらいに進まない、という一昔前の軽NAエンジンみたいな非力さはないから、ほぼフラットな道しか走行しない人はノンターボで充分。

対して、山間部など高低差がある居住エリアの方や、高速道を頻繁に走る人はやっぱりいくら頼りがいがあるとはいえノンターボはプチストレスになると思うから、ターボ一択で! さらに4WDという選択肢も双方に用意されている。

グレードは商用向けのシンプルな「G」「L」、そして乗用向けに装備やボディーカラーに選択肢のある「+STYLE」(ハイルーフの「+STYLE FUN」とロールーフの「+STYLE COOL」の2タイプ)。

どれにも安全運転支援システム「ホンダセンシング」が標準装備となる。

商用ベースながら、シンプルなのにどこかヒネリの効いたデザインもNシリーズらしい“粋”だとおもう。働くことは楽しいこと。だからこそ、快適な労働環境を提供したかった、その制作側の心意気に大拍手!

この新型N-VANで夢を叶える人がたくさん生まれますように!

[Text:今井 優杏/Photo:小林 岳夫]

ホンダ 新型N-VANの主要スペック

ホンダ 新型N-VANの主要スペック

グレード

L Honda SENSING

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

無段変速オートマチック(トルクコンバーター付)

価格(消費税込)

134万1360円

全長

3395mm

全幅

1475mm

全高

1945mm

ホイールベース

2520mm

車両重量

950kg

乗車定員

2名(4名)

最大積載量

350kg(4名乗車時は200kg)

エンジン

水冷直列3気筒横置 DOHC

排気量

658cc

最高出力

39kW(53PS)/6800rpm

最大トルク

64N・m(6.5kgf・m)/4800rpm

燃費(JC08モード)

23.8km/L

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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