ホンダ N-BOXに新しく追加された「スロープ仕様」は“第3のN-BOX”だ!【バリアフリー2018展】(2/2)
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:茂呂 幸正
「福祉車両」にとらわれない、「スロープが付いたN−BOX」というモデル
今回のN−BOX スロープ仕様の大きな特徴は、多機能を利用して車いすがゆったりと乗れる福祉介護用途以外に、スロープを利用して自転車や重い荷物もラクに積載出来ることを利用して、買い物やレジャーにも使用出来る「便利なクルマ」としても活用できることにある。しかもベースのN−BOXが本来持っている大人4人が快適に過ごせる広い室内空間や荷物がたくさん積める美点はそのままだ。スロープ機能を有効に活用する「重量物積載仕様」として、車いす専用装備である電動ウインチや手すりなどを持たない仕様も用意されている。
ところで、これまでのスロープ付きの車両だと「別ラインナップで特別にしつらえた福祉車両」という印象が少なからずあるのは確か。でもN−BOX スロープ仕様では既存仕様と同じくノーマルのN−BOX、精悍でスポーティなN−BOX カスタムの両方が選べ、さらにボディカラーもN−BOXの1トーン:10色/2トーン:4色、N−BOX カスタムの1トーン:7色/2トーン:5色という豊富なカラーバリエーションを全て選択することが可能。4WDも選べるのはN−BOX+と同じだ。外観上の差異もリアのハッチドア周辺のみで、細かく見るとハッチゲート開口部が下まで切れていてオープナーがナンバー下に移植されているのだが、言われなければ全くわからないレベルになっている。
つまりホンダは福祉や介護に用いられることを想定して開発したN−BOX スロープ仕様を「福祉車両」として捉えるのではなく、N−BOXに用意された3つの室内バリエーションの一つとしてラインナップに加えていることに注目したい。
そのためカタログでもスロープ仕様はカタログの端っこの「福祉仕様」「車いす仕様」という扱いはせず、しっかりと既存の2バリエーションと同列同サイズで掲載されている。N−BOX+の車いす仕様車でもカスタムが選べたのだが、ホンダも「スロープ仕様の登場でN−BOXのラインナップが完成」と発表していることからも、福祉仕様という枠にこれまで以上にとらわれないクルマにしたいという意気込みが感じられるのだ。
バリアフリー展でホンダは各種の福祉車両の展開や取り組みを紹介
そのほかバリアフリー2018展では、ホンダはステップワゴン/フリード+のスロープ仕様、フィットの助手席回転シート仕様、ステップワゴン スパーダのサイドリフトアップシート仕様、フリードの助手席リフトアップシート仕様などの実車や、各種運転補助装置を実際に体験出来るモックアップ運転台、福祉車両を販売するオレンジディーラーの紹介、歩行訓練機器「歩行アシスト」を体験するコーナーなど福祉や介護に関する取り組みを展示した。
歩行アシストは装着後数歩歩いただけで装着者の歩行のクセを左右のモーターに内蔵された角度センサーで瞬時に検知して読み取り、制御コンピューターがモーターを駆動して股関節の屈曲による下肢の振り出しの誘導と伸展による下肢の蹴り出しの誘導を行う。
ASIMO(アシモ)で培った2足歩行理論と技術が応用されたシステムで、全国各地のリハビリ施設、病院などでリハビリに使用されている。
N-BOXスロープ仕様に息づく「ホンダ・スピリッツ」
発表時のブリーフィングでは、ホンダを世界有数の自動車メーカーに育て上げた本田宗一郎氏の「技術というものは、人間に奉仕する手段の一つでございます。その技術によって人に喜んでいただくということこそ、本当の技術でございます」という言葉が引用されていた。
今回登場したN−BOX スロープ仕様も、まさしく技術を用いて車いすでの移動を快適にするクルマ、車いすを乗せる側もラクになれるクルマとして開発された。ホンダのクルマはとかく新型車への期待値が大きく、ミニバンや軽の利便性が高いクルマだけじゃなくスポーツカーやスポーティカーも作って!という声が常に少なからずある。
でも、N−BOXをはじめとしたNシリーズのクルマたちは、本田宗一郎氏の言葉の通り、広さや使い勝手を革新的で斬新な技術で生み出している。そう考えた時、N−BOX スロープ仕様も独創性とアイデアに満ちたホンダらしさに溢れたクルマなのだということに気づく。ホンダはスポーツカーだけに非ず。本田宗一郎氏が遺した数多くの「ホンダ・スピリッツ」は、確かに今なお息づいていると感じた。
[Text:遠藤イヅル Photo:茂呂 幸正]
N-BOXスロープ仕様の動作を動画で解説
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