日本版コンシューマレポート-ホンダ フィット ユーザー試乗レビュー-(3/6)
- 筆者: 桃田 健史
フィットのユーザー評価・レビュー/インテリア
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フィットの狙いは「開放感」だ。
データを見ると、そうしたホンダの思惑がドンピシャリと成功している。「広さ」では、30代で4.5点、全年代でも4.0点、乗車分布構成が大人3人以上で4.5点と高得点。
広さの秘密は、センタータンクレイアウト。従来、後席下に配置する燃料タンクを前席下に移動。これで、後席でも室内高1,290mmを確保している。
さらに、ボディを1,415mmとワイドトレッド化。初代「フィット」から受け継がれたホンダの独創的なアイディアが、さらに進化したカタチだ。
また、実際の広さ以上に車内が開放的に感じるワケは、従来比で3倍まで拡大された三角窓。外観の特徴でもある、スーパーフォワーディングフォルム(キャビン全体を目一杯、前に持っていった形状)が、車内から前方への開放感を演出する。
「運転席からの前方視界」も、「年齢分布」「乗車構成分布」ともに平均値が4.2点と高得点だった。筆者も先日、改めて「フィット」を試乗してみて、ホンダの強烈な設計思想を再認識した。コンパクトカーのなかで「フィット」の開放感は、別格である。
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ただ、データを細かく見ていると「運転席からの斜め前方視界」では、「年齢分布」「乗車構成分布」ともに平均値が3.7点。40代では3.2点となった。
これは、三角窓越しの視界ではなく、ボンネット越しの視界の評価だと言える。つまり、「前方視界が物凄く良い」と感じるのは、端的な前方視界だけでなく、車内のデザイン造型全体が作り出す「開放感」のおかげだ、といえる。
また、収納、乗り降り、各種操作類の位置や使い勝手など、インテリアの各種要素で、「年齢分布」「乗車構成分布」によるバラツキが少ない。これは、大衆車であるコンパクトカーにとって、最良の結果である。
こうして好評な「フィット」で、あえて意地悪く「アラ探し」をするならば、データでも現れているように、「質感の第一印象」だ。「年齢分布」「乗車構成分布」ともバラツキがある。また、「デザインの第一印象」で40代が2.6点と厳しい。
こうした評価の原因は、「外観は無難でニュートラルなのに、インテリアは結構スポーティ」という、車内外の「イメージギャップ」にあると思う。「中性的とか、女性向けっぽい可愛いイメージ」の外観にしては、インテリアは「若者向けで男性っぽい」と思われるのかもしれない。
そして「スポーティさ」はパッと見た感じ(=第一印象)では、「そっけない」「冷たい」「高そうではない」という、ネガティブな発想に走りがちだ。
だが、一旦走り出してしまうと、車内の広さ、開放感、そしてスポーティさが「心地良く融合」していく。「フィット」のインテリアは、「適度なスポーティさ」であるため、中高齢者でも「若々しいクルマの楽しさ」を満喫出来る。
こうした「さじ加減」が、ホンダは実に上手い。